加算は、質の高いサービスを提供している事業所を評価するために設けられてます。
今回の記事では、加算について、訪問介護における加算と通所介護における加算、そして加算の申請について解説します。
目次
加算は基本となる介護サービスにおいて、より質の高いサービスを提供した際に評価される項目です。
職員体制の強化や専門性の高い人員を配置することで基本報酬にプラスして算定される、いわゆるインセンティブのようなものとして覚えておきましょう。
訪問介護における加算は下表の通りです。
加算名 | 単位 | 要件の概要 |
2人の訪問介護員等の場合 | 基本単位+200% | 利用者1人に対して2人の訪問介護者が介護サービスを提供した場合に算定 |
夜間若しくは早朝の場合 | 基本単位+25% | |
深夜の場合 | 基本単位+50% | 深夜(午後10時~午前6時)の時間帯で指定訪問介護を提供した場合に算定 詳しくはこちら |
特定事業所加算 | 基本単位+3%~20% | |
特別地域訪問介護加算 | 1回:基本単位+15% | |
中山間地域等における小規模事業所加算 | 1回:基本単位+10% | |
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 1回:基本単位+5% | |
初回加算 | 1月:+200単位 | 初回か2カ月以上介護サービスを提供しなかった利用者に対し、サービス提供責任者が同行、または介護サービスを提供した場合に算定 詳しくはこちら |
緊急時訪問介護加算 | 1回:+100単位 | 利用者や家族からの要請により、当初の計画に予定されていない指定訪問介護を緊急で提供した場合に算定 詳しくはこちら |
生活機能向上連携加算 | 1月:+100~200単位 | 事業所のサービス提供責任者が、リハビリテーションを実施している専門の医師や理学療法士などの助言をもとに介護計画を作成、それに準ずる訪問介護を提供した場合。または当該医師に同行するなどして指定介護訪問を提供した場合に算定 詳しくはこちら |
認知症専門ケア加算 | 1日:+3~4単位 | 事業所の利用者、施設の入院患者のうち2分の1以上が対象の認知症の方で、認知症に関する技術的指導が定期的に行えている場合 詳しくはこちら |
介護職員処遇改善加算 | 基本単位+5.5%~13.7% | 事業者が介護職員に対し雇用管理や賃金改善、または研修の機会を与えた場合に算定 詳しくはこちら |
介護職員等特定処遇改善加算 | 基本単位+4.2%~6.3% |
通所介護における加算は下表の通りです。
加算名 | 単位 | 要件の概要 |
感染症・災害による利用者数の減少 | 基本単位+3% | 感染症や災害を理由に利用者が減少した事業所が介護サービスを提供する場合に算定 |
所要時間延長加算 | 時間:+50~250単位 | 9時間以上10時間未満や、13時間以上14時間未満等、サービスを延長した所要時間によって算定 |
生活相談員配置等加算 | 1日:+13単位 | 共生型通所介護の指定を受けた事業所が、相談員1名以上配置し地域に貢献する活動を行った場合に算定 |
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 1回:基本単位+5% | 事業所の実施地域外で指定通所介護を提供した場合に算定 |
入浴介助加算 | 1日:+40~55単位 | 利用者の観察を含む入浴介助を提供した場合に加算 詳しくはこちら |
中重度者ケア体制加算 | 1日:+45単位 | 中重度の利用者を積極的に受け入れ、基準以上の職員を配置した場合に算定 |
生活機能向上連携加算 | 1月:+100~200単位 | 事業所のサービス提供責任者が、リハビリテーションを実施している専門の医師や理学療法士などの助言をもとに介護計画を作成、それに準ずる通所介護を提供した場合。または当該医師に同行するなどして指定通所訪問を提供した場合に算定 詳しくはこちら |
個別機能訓練加算 | 1日:+56~85単位/1月:+20単位 | 専任の機能訓練指導員を配置し個別の機能訓練計画書を作成、および計画の実施により算定 |
ADL維持等加算 | 1月:+3~60単位 | 利用者の日常生活動作を定期的に評価し、機能の維持・向上がみとめられた場合に算定 |
認知症加算 | 1日:+60単位 | 事業所の利用者のうち20%以上が対象の認知症の方で、認知症に関する技術的指導が定期的に行えている場合に算定 |
若年性認知症利用者受入加算 | 1日:+60単位 | 若年性認知症(40歳以上65歳未満)を積極的に受け入れ、利用者の状態に適したサービスを提供した場合に算定 |
栄養アセスメント加算 | 1月:+50単位 | 事業所の従事者、あるいは外部の管理栄養士を1人以上配置し、栄養アセスメントを実施した場合に算定 |
栄養改善加算 | 1回:+200単位 | 栄養改善を必要とする利用者を把握し、低栄養状態からの改善・向上がみとめられた場合に算定 |
口腔・栄養スクリーニング加算 | 1回:+5~20単位 | 利用者の口腔機能を定期的に確認し、健康状態や改善情報等を担当ケアマネジャーに提供した場合に算定 |
口腔機能向上加算 | 1回:150~160単位 | 言語聴覚士等を1人以上配置し、口腔機能向上サービスを提供した場合に算定 |
科学的介護推進体制加算 | 1月:+40単位 | 利用者の心身に関する基本情報を厚労省に提出し、情報をもとにサービスの改善を実施した場合に算定 詳しくはこちら |
サービス提供体制強化加算 | 1回:6~22単位 | 介護福祉士等を一定数配置し、従業員に対する定期的な技術指導を行った場合に算定 詳しくはこちら |
介護職員処遇改善加算 | 基本単位+2.3%~5.9% | 事業者が介護職員に対し雇用管理や賃金改善、または研修の機会を与えた場合に算定 |
介護職員等特定処遇改善加算 | 基本単位+1.0%~1.2% | 事業者が介護職員に対し雇用管理や賃金改善、または研修の機会を与えた場合に算定 |
加算届の受理期間は介護サービスの種別、また、届け出をする加算の内容によっても異なります。
介護サービスの種類、または新規事業所であるかといった違いによって届出の期限が定められています。
また、都道府県・市区町村によっては保険課や福祉課など、各届先の窓口も異なるため事前の確認が必要です。
ここからは、各種介護サービスごとの加算届の受理から算定が開始されるまでの期間を解説していきます。
大事な収益向上の機会を逃してしまわないためにも、各種サービスごとの申請期限をしっかりと把握しておきましょう。
新規指定事業所の場合、申請と同時に加算届を提出したのであれば、一部の加算を除き指定日からの算定が可能となっています。
ですが、『サービス提供体制強化加算』に関しては、3か月以上の運営実績が必須となるので申請と同時に加算届を提出したとしても指定日からの算定はできません。
また、各都道府県・市区町村の新規指定申請を受けようとする場合、事前の相談や電話での予約、新規申請書類等の提出が必要です。
すでに加算を指定済みの事業所が、加算の追加申請、算定内容の変更、あるいは加算の取り下げを行う場合、それぞれ対応が多少異なります。
訪問介護や通所介護サービス等であれば、加算の追加や変更の場合、一部の加算を除き通常通り月の15日以前を期限とし、翌月からの算定開始となっています。
また、各都道府県・市区町村によっては、追加加算の届出を当日必着としている地域もあるため各自治体のホームページ等で事前に確認しておくようにしましょう。
加算の追加とは別に、何らかの事情により加算の要件に該当しなくなった場合には、日時にかかわらず早急に届出を提出してください。
訪問介護、または通所介護等の事業所系サービスの場合、加算届の期限は毎月15日が締め切り日となっています。
提出が月の15日以前であれば算定開始は翌月からとなり、提出が16日以降であれば翌々月からの算定開始です。
例として、4月から算定を希望するのであれば、先月の3月15日までに届出を提出するようにしてください。
ただし、『介護職員処遇改善加算』の場合は、算定開始の前々月までの届出が必要となっているため注意が必要です。
例)3月末日までに届出を提出→翌々月5月から算定開始
訪問看護ステーションにおける『緊急時訪問看護加算』については、利用者の同意があれば、届出が受理された当日からの算定が可能です。
加算名 | 単位 | 要件の概要 |
緊急時訪問看護加算 | 1月:+574単位(ステーション)/1月:+315単位(病院・診療所) | 利用者や家族からの連絡に24時間対応可能であり、かつ緊急時の訪問ができる体制の場合に算定 |
特別養護老人ホームや認知症対応型共同生活介護施設といった施設系サービスの場合、加算届が受理された日の翌月から算定開始となっています。
月の初日であればその月からの算定も可能です。
例として、4月からの算定希望であれば、先月の3月末までに届出の提出が行われていれば問題ありません。
加算の届出に必要となる書類は、サービスや取得する加算によって異なり、また、各都道府県・市区町村によっても若干の違いがあります。
そのため、届出を提出する前には各自治体のホームページ等での確認は必須となりますが、中でも全サービスに共通する基本的な書類は下記の3つです。
①介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
②介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
③加算の要件を満たしていることがわかる添付書類
それぞれ解説していきます。
介護給付費算定に係る体制等に関する届出書(体制届)とは、加算の追加算定、算定内容の変更、加算の取り下げ等が生じた場合に、各都道府県・市区町村に提出する書類です。
事業所番号によって割り振られたサービスの種別により様式が異なっており、法人名での届出が原則となっています。
介護給付費算定に係る体制等状況一覧表とは、取得する加算の種別や事業所の体制状況を記載するための書類です。
事業所が提供するサービスごとに様式が定められており、記載する内容はそれぞれ、「提供サービス」「施設等の区分」「人員配置区分」「その他該当する体制等」といった項目に分類されています。
加算の種別によって添付する書類も異なります。各都道府県・市区町村のホームページ等を参考に、届出に必要な書類を確認しておきましょう。
その他にも、加算の追加や取り下げにより事業所の運営状況や人員体制に変更が生じた場合、「変更届出書」が必要となります。
また、事業者が新規指定と同時に算定を希望するのであれば、「新規指定申請書」を提出する際に上記の書類を併せて届出しなければなりません。
加算・減算の代表的な例とその一覧、受理までの期間と必要となる書類について解説してきました。
事業所経営の観点からも、サービスの質を向上させるという点においても、加算の算定は重要です。
加算の要件をしっかりと理解したうえで、受理期間についてしっかりと把握するようにしましょう。