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特定事業所加算

訪問介護の特定事業所加算とは?令和4年最新版

訪問介護の特定事業所加算とは

「特定事業所加算」とは、要介護度の高い利用者や支援が困難な場合においても、質の高い介護サービスを積極的に提供し、厳しい算定条件を満たす運用を実施している事業所に対して支払われる加算です。

特定事業所加算の算定率

訪問介護における算定率は以下の通りです。
Ⅰ〜Ⅴまで設けられている評価区分に合わせて、加算される割合が異なります。

特定事業所加算 Ⅰ:ご利用者の総単位数プラス20%
特定事業所加算 Ⅱ:ご利用者の総単位数プラス10%
特定事業所加算 Ⅲ:ご利用者の総単位数プラス10%
特定事業所加算 Ⅳ:ご利用者の総単位数プラス5%
特定事業所加算 Ⅴ:ご利用者の総単位数プラス3%

特定事業所加算の算定要件

特定事業所の要件は以下の通りです。

【体制要件】

①計画的な研修の実施
全ての訪問介護員等に対し、訪問介護員等ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い研修を実施又は実施を予定していること。

特定事業所加算お役立ち情報
個別研修計画
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介護事業者向けに個別研修計画の目的と要件、ポイントについて詳しくまとめました。
<目次>
1.研修実績の要件を満たすには
2.研修計画書の例
3.個別の目標・カリキュラムの例
4.未履修者に対するオンライン研修動画の活用
5.対応漏れによる返還事例

②会議の定期的開催
利用者に関する情報もしくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。
※テレビ電話等のICTの活用も可能(追加)

特定事業所加算お役立ち情報
定期会議の開催
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特定事業所加算における定期会議の目的や要件、実地指導での指摘事例について詳しくまとめました。
<目次>
1.定例会議の目的と要件
2.運用の手順
3.会議の事例と必要書類(議事録・出席簿)
4.会議の指摘事例・注意点
5.まとめ

③文書等による指示及びサービス提供後の報告
サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること。

特定事業所加算お役立ち情報
留意事項の伝達(指示)・報告
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特定事業所加算における留意事項の伝達(指示)・報告の目的や要件、実地指導での指摘事例などについて詳しくまとめました。
<目次>
1.留意事項の伝達(指示)・報告の目的と要件
2.運用の手順
3.留意事項伝達(指示)のポイント
4.報告のポイント
5.運用の良い事例・悪い事例
6.実際の指導指摘事例
7.まとめ

④定期健康診断の実施
当該指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施すること。

特定事業所加算お役立ち情報
健康診断
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特定事業所加算における健康診断の目的、実地指導での指摘事例などについて詳しくまとめました。
<目次>
1.健康診断要件の説明・目的
2.運営の手順(流れ)
3.受診項目
4.介護の指摘事例・注意点
5.良い事例・悪い事例
6.まとめ

⑤緊急時における対応方法の明示
指定居宅サービス等基準第 29 条第 6 号に規定する緊急時等における対応方法が利用者に明示されていること。

⑥サービス提供責任者ごとに作成された研修計画に基づく研修を実施すること

【人材要件】

⑦訪問介護員等の総数の割合が以下のどちらかを満たしていること
・介護福祉士が 30%以上
・介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、ホームヘルパー1級修了者が50%以上

⑧全てのサービス提供責任者が 以下のどちらかを満たすこと
・3 年以上の実務経験を有する介護福祉士
・5 年以上の実務経験を有する実務者研修修了者もしくは介護職員基礎研修課程修了者、ホームヘルパー1級修了者

⑨サービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、規定する基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること

⑩訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合30%以上であること(※新設)

【重度者対応要件】

⑪前年度、または前3ヶ月で要介護4・5の利用者、認知症(日常生活自立度Ⅲ以上)の利用者、喀痰吸引等の行為が必要な利用者が合わせて20%以上

⑫前年度、または前3ヶ月で要介護3~5の利用者、認知症(日常生活自立度Ⅲ以上)の利用者、喀痰吸引等の行為が必要な利用者が合わせて60%以上

特定事業所加算お役立ち情報
人材要件と重度者要件
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特定事業所加算における人材要件・重度者要件について、計算の注意点や詩的事例について詳しくまとめました。
<目次>
1.人材要件・重度者要件の理解
2.計算の注意点
3.管理のための用語
4.指摘事例
5.良い事例・悪い事例
6.まとめ

特定事業所加算Ⅰ

算定率20%と最も高く、要件が最も厳しい加算です。以下のすべてを満たす運用を行う必要があります。

体制要件 :①、②、③、④、⑤
人材要件 :⑦、⑧
重度者要件:⑪


特定事業所加算 Ⅱ

算定率は10%で、訪問介護事業所がもっとも算定しやすい項目です。
要件①~⑤をすべて満たし、かつ、⑦または⑧のいずれかを満たすこと


体制要件 :①、②、③、④、⑤
人材要件 :⑦ or ⑧
重度者要件:なし


特定事業所加算 Ⅲ

算定率10%で、人材要件を満たさない場合で重度者要件を満たす場合は算定が可能ですが、人材要件を満たす事業所が増えているため、算定している事業所は多くありません。以下のすべてを満たす運用を行う必要があります。


体制要件 :①、②、③、④、⑤
人材要件 :なし
重度者要件:⑪


特定事業所加算 Ⅳ

所定単位数の 5%を加算出来る項目で、全職員の個別研修の実施要件がなく、人材要件及び重度者要件が他の項目と異なります。以下のすべてを満たす運用を行う必要があります。

体制要件 :②、③、④、⑤、⑥
人材要件 :⑨
重度者要件:⑫


特定事業所加算 Ⅴ

所定単位数の 3%を算定できる項目で、令和3年度より新設されています。以下のすべてを満たす運用を行う必要があります。

制要件 :①、②、③、④、⑤
人材要件 :⑩
重度者要件:なし
※新設加算Ⅴは、加算Ⅲ(重度者対応要件による加算)との併算定が可能ですが、加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ(人材要件が含まれる加算)との併算定はできません。

特定事業所加算I〜Ⅳの算定要件の詳細を確認する

 

介護報酬改定(令和3年)における特定事業所加算の変更点

訪問介護の特定事業所加算については、事業所を適切に評価する観点から訪問介護以外のサービスにおける類似の加算であるサービス提供体制強化加算の見直しも踏まえて、勤続年数が一定期間以上の職員の割合を要件とする新たな区分を設けるとされました。

【新設】

特定事業所加算(Ⅴ)所定単位数の 3%を加算

【算定要件:特定事業所加算(Ⅴ)】

○ 体制要件 (※特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)と同様)
・訪問介護員等ごとに作成された研修計画に基づく研修の実施
・利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議の定期的な開催(テレビ電話等のICTの活用が可能)(追加)
・利用者情報の文書等による伝達、訪問介護員等からの報告
・健康診断等の定期的な実施
・緊急時等における対応方法の明示

○ 人材要件
・訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であること
※加算(Ⅴ)は、加算(Ⅲ)(重度者対応要件による加算)との併算定が可能ですが、加算(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅳ)(人材要件が含まれる加算)との併算定は不可。
つまり、加算Ⅲと加算Ⅴとの併用が可能であり、Ⅲを取得をしている事業所で、加算Ⅴの人材要件を満たす場合は13%の加算が得られるということになります。

 

特定事業所加算を取得するメリット、デメリット

メリット

1. 安定した経営の維持が可能
現在、大手の法人を中心に44.2%(2020年)の事業所で取得されており、その加算に加え特定処遇改善加算の取得を行うことで他事業所より多くの賃金を支払うことや、管理者・サービス提供責任者の膨大な作業を削減することに使用されています。

2. 質の良いサービスを提供している事業所であると評価を受ける
特定事業所加算の算定には、研修を充実させることや細かい申し送りが必要となります。
これらは本来、介護事業所として行われなければいけないことではありますが、よりしっかりと行われることが求められるため、ご利用者側が『事業所を選ぶ』際のポイントになります。

3. 職員の採用・定着につながる
特定処遇改善加算の中でも加算率が1番高い『特定処遇改善加算Ⅰ』を算定できます。
訪問介護の特定処遇改善加算Ⅱは4.2%の加算率ですが、特定処遇改善加算Ⅰになると6.3%の加算が受けられます。
これにより従業員に対し、さらなる処遇改善をすることが可能です。
※特定事業所加算Ⅱの取得をしている場合に限る


デメリット

1. 手間がかかる・何をしたらいいのか分からない
特定事業所加算を取得するにあたり、特に多い声が『手間がかかる』『よくわからない』ということです。

2. 実地指導で返還を求められたと聞いて怖い
要件を正しく理解せず、その運用を怠れば返還を求められてしまうのがこの加算です。実際のところ、求められる要件は決して甘くなく、数百万〜数千万円の返還を求められた事例も少なくありません。
自社で正しく運用する自信がない場合は、代行サービスを利用するのも一つの手です

3. 利用者の負担が増える・介護支援専門員からの紹介が減るのでは?
10年ほど前は、まだまだこの加算の認知度が低く、ご利用者も介護支援専門員の皆様も『特定事業所加算を取得している事業所』を選びにくいというお声もありました。
令和4年現在では、大手を中心に特定事業所加算の取得は『当たり前』になってきており、むしろ特定事業所加算の取得がない=賃金が少ないというイメージを持っている介護職員もいます。
介護職員が不足すれば、サービスを提供することは出来ず、ご利用者にとって一番大切な『継続してサービスを提供する』ということが出来なくなります。
ご利用者の負担が増えるのは事実ですが、今まで4,000円の自己負担を支払っていた場合、
加算のⅠで800円、加算のⅡ・Ⅲで400円の負担が増える計算になります。
『800円、400円を支払っても、このヘルパーさんに来てほしい』
『800円、400円負担が増えるなら、このヘルパーにはもう来てもらわなくていい』
多くのご利用者が、800円、400円を支払うことを選ぶことは明らかです。

 

さいごに(特定事業所加算の取得はするべき)

介護報酬改定での変更点を含め、訪問介護の特定事業所加算についてご紹介してきました。

令和3年に新設された特定事業所加算Vに関しては、加算のⅢをすでに取得している、または取得の要件を満たしているということであれば、現在の報酬にプラス13%もの利益が上乗せされます。

月間100万円の売上があれば年に156万円、月間300万円の売上があれば年に468万円もの売上が確保できる計算です。

また、メリットとデメリットでも述べているように比較してみるとメリットの方が大きいのということをご認識いただけたと思います。

もし、まだ取得されていない方は是非以下の資料も参考にしてみてください。

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