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訪問介護の生活援助中心型とは?注意点も解説

2024-06-11

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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介護福祉士やホームヘルパーなどが自宅を訪問して生活を支援する訪問介護サービスは、支援内容によって「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」に分けられています。

今回の記事では、家事などをサポートする生活援助について、身体介護との違いにふれながら、具体的な支援内容やサービスを提供する際の注意点について解説します。

生活援助中心型とは|生活援助と身体介護の違い

生活援助:利用者が日常生活を送ることを支援する

生活援助とは、利用者が日常生活を営むことを支援するサービスのことです。具体的には以下のような支援が挙げられます。

  • サービス準備(生活援助サービスを提供する前に事前準備として行われる):健康チェック(利用者の安否確認、顔色のチェック)、環境整備(換気、室温、日当たりの調整)、相談援助、情報収集と情報提供
  • 調理:食事の支度、配膳、後片付け
  • 洗濯:衣類の洗濯、物干し、洗濯の取りこみと収納、アイロンがけ
  • 衣類の整理・修繕:衣替え、ボタン付けや破れの補修
  • ベッドメイク:布団干し、シーツやタオルの交換
  • 掃除:日常使用する部屋、浴室、洗面所、トイレ、ゴミ出し
  • 買い物:内容の確認、品物やつり銭の確認
  • 薬の受け取り、病院や薬局でお手続きや支払いの代行

身体介護:利用者の身体に直接触れておこなう

身体介護とは、利用者の身体に直接触れておこなうサービスのことです。具体的には以下のような支援が挙げられます。

  • サービス準備(生活援助サービスを提供する前に事前準備として行われる):健康チェック(利用者の安否確認、顔色のチェック)、環境整備(換気、室温、日当たりの調整)、相談援助、情報収集と情報提供
  • 排泄介助:トイレ利用、ポータブルトイレ利用、おむつ交換の介助
  • 食事介助:特段の専門的配慮をしながら調理を行うことも
  • 清拭・入浴、身体整容:清拭(全身清拭)、部分浴(手浴及び足浴、洗髪)、全身よく、洗面等、身体整容(髭剃り、整髪、口腔ケア、耳かき、爪切り)、更衣介助
  • 体位変換、移動・移乗介助、外出介助
  • 起床および就寝介助
  • 服薬介助、内服介助、服薬確認
  • 自立生活支援、重症化防止のための見守り的援助

詳しくは以下の記事で解説しているのであわせて参考にしてください。

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身体介護とは?サービス内容や費用・生活援助との違いを詳しく解説!

「身体1生活1」はどんな意味?|サービス利用時間を解説

訪問介護は、サービスの提供時間によって区分があります。身体介護では「身体1~5」の5段階、生活援助では「生活1~3」の3段階に分けられています。

「身体1生活1」とは、身体介護、生活援助サービスの利用時間がそれぞれもっとも短い段階のことを指します。

身体1とは:1回20分以上30分未満のサービス

身体1は、1日20分以上30分未満のサービスと定められています。利用者が希望する支援や介助が少なく、30分未満で終わる場合は身体1としてサービスを提供します。

入浴介助や移動介助など複数の介護を依頼する場合には、サービス時間ごとに各段階が適応されます。身体介護の5段階の提供時間と加算の単位数は以下の通りです。

サービス提供時間単位数
身体120分以上30分未満163単位
身体230分以上1時間未満387単位
身体31時間以上1時間30分未満567単位
身体41時間30分以上2時間未満649単位
身体52時間以上2時間30分未満731単位

生活2・3とは

生活2とは、以下の区分でのサービスのことを指します。身体介護と同様に利用者の依頼によって必要な時間を設定します。生活援助の段階ごとの提供時間と加算の単位数は以下の通りです。

サービス提供時間単位数
生活援助220分以上45分未満179単位
生活援助345分以上220単位

生活援助中心型の訪問介護をするために知っておくべき3つのこと

1.生活援助中心型の算定要件

訪問介護の生活援助は、要介護1~5の認定を受けている方は利用することができます。同居家族がいる方は、やむを得ない事情がある場合に限り生活援助を受けられます。やむをえない事情と認められる例、認められない例は以下の通りです。

【やむをえない事情と認められる例】

  • 家族が仕事などで長時間不在であり、利用者が必要な家事、世話を行うことが困難であり、日常生活に支障をきたす
  • 家族関係に修復不能な深刻な問題があり、援助が期待できない
  • 介護負担によって家族の共倒れが期待される場合

【やむをえない事情と認められない例】

  • 同居家族が仕事で長時間不在であっても、夜間や休日に対応すれば済ませられる
  • 同居家族も使用する共有部分の掃除は原則認められない(本人の失禁が多く、衛生面、転倒予防の観点からトイレ掃除をする必要性がある場合にはケアプランに位置付けられたサービスであれば認められる。)

ただし、市町村によっては、同居家族がいると生活援助のサービスを利用できないと定めている所もあるので確認が必要です。

2.訪問介護の生活援助は回数制限あり|厚生労働省が定める訪問回数

訪問介護の生活援助は、要介護度ごとに厚生労働省によって1か月間の利用回数が制限されています。

要介護度12345
利用回数27回34回43回38回31回

1回の訪問介護で、身体介護と生活援助を両方行う場合は、回数には含まないことになっています。

3.【必須】訪問回数が多いなら居宅サービス計画書で生活援助中心型の算定理由を自治体に提出

場合によっては、規定の回数以上のサービスを提供しなければならないこともあるかもしれません。その場合、介護支援専門員は、市町村に対して届け出を行う必要があります。

生活援助中心型の算定理由の記載例

生活援助中心型の算定には、厚生労働省による「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」によって、具体的な算定理由を記載する必要があります。定型的な文章では理由として認められなくなりました。

  • 介護者も高齢で筋力が衰えたため→介護をする家族が高齢であり、筋力低下によって行うのが難しい家事があるため
  • 家族が介護疲れを起こすため→家族が介護疲れによって共倒れ等の深刻な問題がおこる可能性があるため
  • 仕事で家族が家にいないため→家族が仕事で不在の間に家事や世話を行わないと、日常生活に支障があるため

上記のように、詳しく理由を記載しましょう。独居の場合や、家族が障害・疾病でサービスが必要である場合であったとしても、本人ができる部分、できない部分を評価したうえでのサービス提供がされているか、障害の程度に妥当な保険給付かどうかを明記する必要があります。

生活援助中心型のよくある質問

生活援助中心型の回数は?

訪問介護の生活援助は、要介護度ごとに厚生労働省によって1か月間の利用回数が制限されています。

要介護度12345
利用回数27回34回43回38回31回

1回の訪問介護で、身体介護と生活援助を両方行う場合は、回数には含まないことになっています。

身体介護中心型とはどういう意味ですか?

身体介護中心型の訪問介護では、身体的なケアや介助が中心になります。入浴、排泄、食事、移動などの日常生活の介助を行います。より詳細なケアを提供します。

介護保険の生活援助の範囲は?

生活援助中心型の訪問介護は、日常生活全般をサポートします。食事の準備、掃除、買い物、社会的交流などを調整していきます。自治体によってサービスの提供範囲が異なるため、ケアマネージャーに確認しましょう。以下は、訪問看護において職員ができることとできないことの例です。

介護内容できることできないこと
掃除
  • 利用者の部屋など、利用者が使用している場所の掃除
  • ゴミ出し
  • 利用者が使用していない場所の掃除
  • 草むしり
  • 庭木の手入れ
  • 換気扇などの大掃除
  • 窓ふき
洗濯
  • 利用者本人の洗濯と収納
  • アイロンがけや衣服の補修
  • 衣替え
  • 家族の衣類などの洗濯やアイロンがけ
調理
  • 利用者の食事の一般的な調理
  • 食事の配膳、片付け
  • 利用者以外の分の調理
  • おせちなどの行事食の調理
買い物
  • 近隣店舗での生活必需品や食品の購入
  • 遠方への買い物
  • タバコ・酒など嗜好品の購入
  • お歳暮の購入
外出支援
  • 通院同行
  • 選挙や納税の同行
  • お墓参りや法事の同行
  • お金の引き出し代行
  • 美容院への同行
その他
  • 薬の受け取り
  • 住民票の代行取得
  • 医療行為
  • ペットの世話
  • 引っ越し準備
  • 来客対応
  • 車の洗車や給油

生活援助にはどんな種類がありますか?

生活援助で行えるサービスは以下の通りです。

  • 具体的な行為:ケアプランに位置付けられている利用者の生活に必要と判断される行為、直接本人を援助する行為
  • 健康チェック:利用者の安否確認、顔色等のチェック
  • 環境整備:換気、室温、日当たりの調整
  • 相談援助、情報収集と提供
  • サービス提供後の記録
  • 掃除:利用者が使用している場所に限る。ゴミ出しや準備、後片付けも行う。
  • 洗濯:利用者の洗濯物に限る。洗濯、乾燥、取り込みと収納、アイロンがけも行う。
  • ベッドメイク:シーツや布団カバーの交換
  • 衣類の整理・被服の修繕:衣替え、被服のボタン付けや破れの修繕
  • 一般的な調理、配下膳
  • 買い物・薬の受け取り

また、以下は生活援助のサービスには含まれないので注意しましょう。

  • 商品の販売・農作業などの生業の援助的な行為
  • 直接、本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為

生活援助中心型の訪問介護では、身体介護はいっさいしてはいけないのですか?

生活援助中心型とは、身体介護よりも生活援助の割合が中心になるサービスという意味合いであり、身体介護を行うこともあります。例えば、利用者の居室を掃除する際には、利用者を寝室からリビングまで移動させるため、体に触れる身体介護を行うこともあるでしょう。

生活援助中心型の制度を理解して安全な介護を提供しましょう

訪問介護の生活援助中心型では、家事などのサービスを提供することで、利用者が住み慣れた自宅で自立した日常生活を維持することが期待されます。利用者の依頼によるサービスであり、個人のニーズに合わせてサービスを提供し、利用者家族の負担軽減にもつながります。

しかし、利用者の自立支援や重度化を防止するために上限回数が設けられていたり、ケアプランに基づくサービスしか提供できないことになっています。また、家族のためにサービスを提供することはできないなどの決まりがあります。

自治体によっても決まりが異なる可能性があるので、不明な点は担当のケアマネジャーに確認しましょう。

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