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実地指導における自己点検シートとは?自己点検シートがある理由や点検項目について徹底解説!

自己点検シートとは点検項目ごとにチェックを行い、介護サービスの向上に役立てるためのシートです。

また、行政の担当者が実地指導を行う場合も、本シートが活用されます。

今回は自己点検シートの特徴と点検項目、実地指導が行われた場合の対応を解説します。

実地指導における自己点検シートとは

実地指導とは地方自治体の担当者が介護サービス事業所に出向き、適正な事業運営が行われているか確認する行為です。

実地指導についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

実地指導・運営指導とは?点検項目・当日の流れ・監査との違いについてご紹介

実地指導において何らかの問題点があり担当者から指導を受けた場合、その問題点を改善した後に改善報告を行う必要があります。

万が一、改善が見られない場合は改善命令を下されたり、最悪の場合介護事業を停止しなければならなくなることもあります。

そのため、事業所の基準・加算要件を自主的に点検する段階から、不備や改善点を洗い出し、是正しておく必要があるでしょう。

自己点検シートは、詳細に点検項目が記載されているので、冷静かつ正確に不備や改善点等を確認し、利用者へのサービスの向上に役立てられます。

市区町村役場ごとに提出期限が異なるので、窓口やホームページ等でよく確認し、期限内に提出しましょう。

自己点検シートの例はこちら

介護サービス事業所等自己点検票(指定居宅介護支援事業)

                                 参考:厚生労働省

参考:東京都

実地指導における自己点検シートにおける主な点検項目

自己点検シートは介護保険サービス事業者が、自らの事業所について基準・加算要件を自主的に点検するためのシートです。

ただし、各事業者が自由に点検項目を設定するわけではありません。厚生労働省では点検するべき項目を明示しています。

点検すべき項目は以下の8点です。

①内容や手続きの説明と同意

②受給資格の有無

③心身状況の把握

④サービス提供の記録

⑤利用料の受領

⑥緊急時の対応

⑦運営規定

⑧勤務体制の確保

それに従い各市区町村役場が提出書類を作成し、窓口やホームページから書類を取得できるようにしています。

                                 参考:厚生労働省

①内容や手続きの説明と同意

事業者が扱っている介護サービスの内容や目的、手続き等、重要な事項に関して、従業員はもちろん利用者等にも同意を得ているのかについて、チェックする項目です。

次のような事項を確認したかについて点検します。

  • 事業の目的及び運営方針
  • 従業者の職種、員数及び職務の内容
  • 営業日及び営業時間
  • サービスの内容及び利用料その他の費用
  • 通常の事業の実施地域
  • 緊急時の対応方法
  • 従業者の勤務体制
  • その他運営に関する重要事項

利用者等の同意に関しては、単に同意書に署名さえしてくれれば良いわけではありません。介護サービスの内容や条件、費用等をわかりやすく伝え、利用者等が納得したうえで同意する必要があります。

②受給資格の有無

利用申込者が認定された要介護状態に応じ、適切な介護保険サービスを受けているかについてチェックする項目です。

利用申込者の被保険者証で次の項目を点検します。

  • 介護保険番号
  • 有効期限等を確認している記録等

③心身状況の把握

サービス担当者会議等を通じ、利用者の心身状況等の把握に努めているかをチェックする項目です。サービス担当者会議の記録で点検します。

サービス担当者会議とは、ケアプランを作成する介護支援専門員(ケアマネージャー)が中心となって開催されます。

次のような話し合い・意見交換が行われます。

  • 施設利用者によりよいサービスを提供するための情報共有
  • ケアプランの作成意図や目標とするイメージの共有
  • 想定リスク・課題解決に向けた意見交換

④サービス提供の記録

利用者に提供した介護サービスの記録、情報提供についての点検です。概ね次のようなチェック内容となっています。

  • 介護サービスを提供した際は、必要な事項を記録していますか。
  • 介護サービスを提供した際は、具体的なサービス内容等を記録するとともに、利用者からの申し出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、情報提供していますか。

サービス提供記録の書類等を参考に確認します。

⑤利用料の受領

利用者負担分の支払をしっかり受け取っているか等の点検です。概ね次のようなチェック内容となっています。

  • 法定代理受領サービスの場合、利用者から利用者負担分の支払を受けていますか。
  • 法定代理受領サービスに該当しない訪問介護を提供した場合の利用料と、居宅介護サービス費用基準額との間に、不合理な差額を生じさせていませんか。
  • 利用者の選定により通常の事業実施地域外でサービス提供を行う場合、それに要した交通費の額以外の支払いを受けていませんか。
  • 利用者の選定により通常の事業実施地域外でサービス提供を行う場合、それに要した交通費の支払いについて、あらかじめ利用者又はその家族に対し、当該サービスの内容及び費用について説明し、同意を得ていますか。
  • サービスの提供に要した費用の支払いを受けた際、領収証を交付していますか。
  • 上記の領収証には、それぞれ個別の費用ごとに区分して記載していますか。

利用者負担分の支払については、請求書・領収書で確認します。

⑥緊急時の対応

緊急時の対応も大切な点検項目です。サービス提供中、利用者に病状の急変が生じたケース等で、速やかに主治医へ連絡したか等をチェックします。

次の書類を参考に確認します。

  • 緊急時対応マニュアル
  • サービス提供記録

⑦運営規定

介護事業所ごとに、事業の目的・運営の方針等の規程を定めているかについての点検です。

次の重要事項の規定に関してチェックします。

  • 事業の目的及び運営の方針
  • 従業者の職種、員数及び職務の内容
  • 営業日及び営業時間
  • 介護の内容及び利用料その他の費用の額
  • 通常の事業の実施地域
  • 緊急時における対応方法
  • その他運営に関する重要事項

事業ごとに備えている運営規程や、重要事項説明書を参考に確認しましょう。

⑧勤務体制の確保

事業所ごとで、適切に利用者へサービスが提供できるような体制か否かを点検します。概ね次のようなチェック内容となっています。

  • 利用者に対し、適切なサービスを提供できるよう事業所ごとに勤務の体制(日々の勤務時間、職務内容、常勤・非常勤の別等)を定めていますか。
  • 当該事業所の介護職員等によってサービスを提供していますか。
  • 介護職員等の資質向上のために、研修の機会を確保していますか。

雇用形態(常勤・非常勤)がわかる文書や研修計画、実施記録等を参考に確認しましょう。

まとめ

自己点検シートをチェックは、利用者に対する介護サービスの質の維持や向上を目的として実施します。点検をしないと、地方自治体に指導やペナルティーを受けるから行う、というわけではありません。

自己点検シートを各事業所が定期的にチェックすることで、事業所の体制やサービスの現状を把握できます。

利用者が今後も安心して介護サービスを利用できるよう、改善点があれば是正していくためのツールとして大いに役立てるべきです。

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