2024年2月6日に開催された障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第45回)にて、2024年の障害福祉サービス等の報酬改定の内容が定められました。本記事では障害福祉サービスのなかでも障害児支援の報酬改定について解説します。
なお、障害福祉サービス全体における改定ポイントについては以下の記事で解説をしていますのであわせてご参考くださいませ。
【2024年障害福祉報酬改定】改定ポイントまとめ|最新情報を元に一覧で徹底解説
目次
2024年度の障害福祉サービス等報酬改定における障害児支援の改定ポイントは以下の通りです。
児童発達支援センターの中核機能の発揮を促進する観点から、中核機能強化加算および中核機能強化事業所加算の新設がおこなわれます。単位数や算定要件は以下の通りです。
【単位数】
加算区分 | 単位数 |
中核機能強化加算(Ⅰ) | 55~155 |
中核機能強化加算(Ⅱ) | 44~124 |
中核機能強化加算(Ⅲ) | 22~62 |
※1日あたり
【算定要件】
加算区分 | 基本要件 | 算定要件 | ||
イ | ロ | ハ | ||
中核機能強化加算(Ⅰ) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
中核機能強化加算(Ⅱ) | 〇 | 〇 | 〇 | – |
中核機能強化加算(Ⅲ) | 〇 | △*¹ | – |
*¹:いずれか片方
- 基本要件
市町村との連携体制、幅広い発達段階に対応するための支援体制、インクルージョン推進のための支援体制(保育所等訪問支援の実施)、相談支援体制(障害児相談支援の実施)等の確保、取組内容の公表、外部評価の実施、職員研修の実施等
- 算定要件:イ
関係機関との連携やインクルージョンの推進等、地域支援や支援のコーディネートの専門的な知識・経験を有する専門人材を配置し、これらの取組を実施
- 算定要件:ロ
障害特性を踏まえた専門的な支援やチーム支援の実施、人材育成等、障害児支援の専門的な知識・経験を有する専門人材を配置し、これらの取組を実施
- 算定要件:ハ
多職種(保育士・児童指導員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員、看護職員等)を配置し、多職種連携による専門的な支援を実施
【算定要件】
市町村が地域の障害児支援の中核拠点として位置付ける児童発達支援事業所において、専門人材を配置して、自治体や地域の障害児支援事業所・保育所等を含む関係機関等との連携体制を確保しながら、こどもと家族に対する専門的な支援・包括的な支援の提供に取り組んだ場合
適切なアセスメントの実施とこどもの特性を踏まえた支援を確保する観点から、事業所の運営基準の見直しがおこなわれます。
【運営基準】
- 指定児童発達支援事業者は、障害児の適性、障害の特性その他の事情を踏まえた指定児童発達支援の確保並びに指定児童発達支援の質の評価及びその改善の適切な実施の観点から、指定児童発達支援の提供に当たっては、心身の健康等に関する領域を含む総合的な支援を行わなければならない
- 児童発達支援管理責任者は、(中略)心身の健康等に関する領域との関連性(中略)を踏まえた指定児童発達支援の具体的内容、指定児童発達支援を提供する上での留意事項その他必要な事項を記載した児童発達支援計画の原案を作成しなければならない
支援ニーズの高い医療的ケア児への支援を評価する観点から、以下の加算が新設・見直しされます。
医療的ケア児または重症心身障害児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合に算定が可能です。また算定は月8回が限度となります。
【児童発達支援センター、主として重症心身障害児を支援する事業所以外】
児童の区分 | 単位数 | ||
障害児 | 54 | ||
重症心身障害児 | +40 | ||
医療的ケア児 | 医療的ケアスコア16点以上 | +80 | |
その他 | +40 |
※単位数は1回あたり
※医療的ケア区分による基本報酬以外の事業所でも算定可
【児童発達支援センター、主として重症心身障害児を支援する事業所】
児童の区分 | 単位数 | |
重症心身障害児 | 40 | |
医療的ケア児 | 医療的ケアスコア16点以上 | 80 |
その他 | 40 |
※単位数は1回あたり
※重症心身障害児については、職員の付き添いが必要
※医療的ケア児については、医療的ケアが可能な職員の付き添いが必要
共生型サービスにおいて、看護職員等(認定特定行為業務従事者を含む)を1以上配置し、地域に貢献する活動を行っているものとして届け出た事業所において、医療的ケア児に対して支援を行った場合
訪問支援を促進する観点や家族のニーズや状況に応じた支援の提供を促進する観点などから、家庭連携加算および事業所内相談支援加算が統合されます。統合後の単位数や算定要件は以下の通りです。
【家族支援加算(Ⅰ)】
入所児童の家族(兄弟を含む)に対して個別に相談援助等を行った場合に算定が可能となります。
加算区分 | 単位数 | |
居宅を訪問 | 所要時間1時間以上 | 300 |
所要時間1時間未満 | 200 | |
事業所等で対面 | 100 | |
オンライン | 80 |
※単位数は1回あたり
【家族支援加算(Ⅱ)】
入所児童の家族(兄弟を含む)に対してグループでの相談援助等を行った場合に算定が可能となります。
加算区分 | 単位数 |
事業所等で対面 | 80 |
オンライン | 60 |
※単位数は1回あたり
※多機能型事業所において、同一の児に複数のサービスによる支援を行う場合、家族支援加算は、各サービスを合計して(Ⅰ)及び(Ⅱ)それぞれ月4回を超えて算定することはできないこととする
インクルージョンに向けた取組の推進として、運営基準に並行通園や保育所などへの移行などの取り組むことが求められるようになりました。また、具体的な取り組みについて個別支援計画に記載する必要があります。
【運営基準】
- 指定児童発達支援事業者は、障害児が指定児童発達支援を利用することにより、地域の保育、教育等の支援を受けることができるようにすることで、障害の有無にかかわらず、全ての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加・包摂(インクルージョン)の推進に努めなければならない
- 児童発達支援管理責任者は、(中略)インクルージョンの観点を踏まえた指定児童発達支援の具体的内容、指定児童発達支援を提供する上での留意事項その他必要な事項を記載した児童発達支援計画の原案を作成しなければならない
障害児支援については、その他に以下のトピックで改定や変更がおこなわれています。