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【2024年介護報酬改定】訪問リハビリテーションの改定ポイントまとめ

【2024年介護報酬改定】訪問リハビリテーションの改定ポイントまとめ|基本報酬や新設加算を一覧で解説

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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2024年1月22日におこなわれた第239回社会保障審議会・介護給付費分科会により、令和6年度の訪問リハビリテーションにおける介護報酬改定のポイントが公開されました。

本記事では第239回社会保障審議会・介護給付費分科会を参考に、訪問リハビリテーションにおける介護報酬改定について詳しく解説します。今年度の介護報酬改定について、まとめて情報を知りたいという方はぜひ参考にしてください。

訪問リハビリの基本報酬は微増へ、ただし予防はマイナス

訪問リハビリテーションにおける基本報酬は以下のように変更される予定で案が出ています。改定の方針として、訪問リハビリテーションは単位数が微増となりましたが、利用者の状態に応じたより適切な評価を行う観点から、介護予防訪問リハビリテーションの単位数はマイナスされる結果となりました。

区分

現行の単位数
(単位)

改定後の単位数
(単位)
訪問リハビリテーション307308
介護予防訪問リハビリテーション307298

※単位は1回あたり

訪問リハビリの改定スケジュールは6月1日施行に後ろ倒し

2024年度の訪問リハビリテーションにおける報酬改定は、2024年6月1日に施行される予定です。例年通りであれば4月1日に施行されていますが、今年度は同タイミングで施行される診療報酬改定との兼ね合いで後ろ倒しとなっています。

診療報酬改定の施行日が後ろ倒しになった理由には、診療報酬改定に伴う医療現場の業務負担が関係しています。以前までのスケジュールで報酬改定をおこなった場合、改定内容が明らかになってから施行されるまでの期間が短く、現場の業務がひっ迫されることが課題と捉えられていました。このような背景から、診療報酬改定および関連する介護サービスの報酬改定は2024年6月1日におこなわれる予定です。

なお、医療と関係性の薄い介護サービスについては、従来通り2024年4月1日に改定の施行となる見込みです。

訪問リハビリにおける2024年度介護報酬改定の変更点一覧

2024年度の介護報酬改定における訪問リハビリテーションの変更点は以下の通りです。

医療機関のリハビリテーション計画書の受け取りの義務化

リハビリテーション事業所の従業者がリハビリテーション計画を作成するにあたって、利用者の入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書などを入手および内容の把握をおこなうことが義務化される予定です。

医療機関からリハビリテーション事業所に移る利用者に対して、退院後早期から連続的かつ質の高いリハビリテーションを提供することが義務化に至った背景とされています。

退院後早期のリハビリテーション実施に向けた退院時情報連携の推進

医療機関からリハビリテーション事業所に移る利用者に対して、退院後早期から連続的かつ質の高いリハビリテーションを提供することを目的に、退院時共同指導加算が新設される見込みです。単位数や算定要件は以下とされています。

【単位数】

区分単位数(単位)
退院時協同指導加算

600

※単位数は1回あたり

【算定要件】

病院又は診療所に入院中の者が退院するに当たり、訪問リハビリテーション事業所の医師又は理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が、退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導*¹を行った後に、当該者に対する初回の訪問リハビリテーションを行った場合に、当該退院につき1回に限り、所定単位数を加算する

*¹:利用者又はその家族に対して、病院又は診療所の主治の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の従業者と利用者の状況等に関する情報を相互に共有した上で、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い、その内容を在宅でのリハビリテーション計画に反映させることをいう。

業務継続計画(BCP)未策定事業所に対する減算の導入

業務継続計画(BCP)の策定をおこなっていない事業所に対して基本報酬の減算がおこなわれます。減算が導入される目的は、感染症や災害が発生した場合でも必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するためとされています。業務継続計画が未策定の場合以下の減算となる見込みです。

【単位数】

区分減算率
業務継続計画未実施減算
(施設・居住系サービス)
3%
業務継続計画未実施減算
(その他サービス)
1%
関連記事

【2024年4月義務化】介護施設のBCP(事業継続計画)策定のポイントや作成手順を徹底解説!

高齢者虐待防止の推進

利用者の人権擁護および虐待を予防する観点から、高齢者虐待防止措置未実施減算が新設される見込みです。単位数および算定要件については以下となります。

【単位数】

区分減算率
高齢者虐待防止措置未実施減算1%

【算定要件】

虐待の発生又はその再発を防止するための以下の措置が講じられていない場合

  •  虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること
  • 虐待の防止のための指針を整備すること
  • 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
  • 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

身体的拘束等の適正化の推進

身体的拘束などの適正化を図ることを目的に、訪問リハビリテーションサービスでは緊急性を伴う場合以外身体拘束をおこなうことができず、またやむをえず身体拘束をおこなう場合にも、身体拘束の態様や時間、利用者の状況について記録をつけることが義務付けられる予定です。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算の新設

認知症のリハビリテーションを推進することを目的に認知症短期集中リハビリテーション実施加算が新設されます。単位数や算定要件は以下の通りです。

【単位数】

区分単位数(単位)
認知症短期集中リハビリテーション実施加算240

※単位数は1日あたり
※1週間に2日を限度として加算

【算定要件】

認知症であると医師が判断した者であって、リハビリテーションによって生活機能の改善が見込まれると判断された者に対して、医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が、その退院(所)日又は訪問開始日から3ヵ月以内の期間に、リハビリテーションを集中的に行うこと

リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組の推進

リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に推進し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から、リハビリテーションマネジメント加算の区分について見直しがおこなわれます。単位数は以下の通りです。

区分現行の単位数
(単位数)
改定後の単位数
(単位数)
備考
リハビリテーションマネジメント加算A(イ)180180改定後は、リハビリテーションマネジメント加算(イ)として算定
リハビリテーションマネジメント加算A(ロ)213213改定後は、リハビリテーションマネジメント加算(ロ)として算定
リハビリテーションマネジメント加算B(イ)450廃止
リハビリテーションマネジメント加算B(ロ)483廃止
※医師が利用者又はその家族に説明した場合(新設)270リハビリテーションマネジメント加算Bの要件の組換

※単位数は1ヵ月あたり

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訪問および通所リハビリテーションのみなし指定の見直し

訪問リハビリテーション事業所を更に拡充する観点から、介護老人保健施設および介護医療院が訪問リハビリテーション事業所もしくは介護予防訪問リハビリテーション事業所としてのみなし指定をおこなえるようになりました。

なお、訪問リハビリテーションとしてのみなし指定を受けた介護老人保健施設および介護医療院は、それぞれの施設の医師の配置基準を満たすことで、訪問リハビリテーションの医師の配置基準も満たしているものとみなされます。

リハビリテーションの質の向上に向けた評価(予防のみ)

介護予防サービスにおけるリハビリテーションの質を評価する観点から、利用開始から12ヵ月が経過した後の減算の拡大および要件を満たした場合の減算の未実施、および事業所評価加算の廃止がおこなわれます。単位数および算定要件は以下の通りです。

利用開始日から12ヵ月経過した後の減算について

【減算される単位数】

区分現行の単位数
(単位)
改定後の単位数
(単位)
現行区分5
新設要件を満たした場合減算なし
新設要件を満たさない場合30

※単位は1回あたり

【算定要件】

  • 3ヵ月に1回以上、リハビリテーション会議を開催し、リハビリテーションに関する専門的な見地から利用者の状況等に関する情報を構成員と共有し、当該リハビリテーション会議の内容を記録するとともに、利用者の状態の変化に応じ、リハビリテーション計画を見直していること
  • 利用者ごとのリハビリテーション計画書等の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること

事業所評価加算の廃止

【単位数】

区分現行の単位数(単位)改定後の単位数(単位)
事業所評価加算120廃止

退院直後の診療未実施減算の免除

入院中にリハビリテーションを受けていた利用者が、退院後早期に介護保険のリハビリテーションを開始する観点から、退院後1ヵ月に限り、診断未実施減算が適用されなくなります。

診療未実施減算の経過措置の延長等

リハビリテーション計画の作成に当たって事業所医師が診療せず、「適切な研修の修了等」をした事業所外の医師が診療した場合の減算(診療未実施減算)について、以下の見直しがおこなわれる予定です。

  • 事業所外の医師に求められる「適切な研修の修了等」について、令和6年3月31日までとされている適用猶予措置期間を3年間延長する
  • 適用猶予措置期間中においても、事業所外の医師が「適切な研修の修了等」の要件を満たすことについて、事業所が確認を行うことを義務付ける

ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化

退院後早期に介護保険のリハビリテーションを開始することを目的として、介護支援専門員が居宅サービス計画に訪問リハビリテーションを位置付ける際に意見を求めることとされている「主治の医師等」に、入院中の医療機関の医師を含むことが明確化されます。

訪問系サービス及び短期入所系サービスにおける口腔管理に係る連携の強化

利用者の口腔の状態を定期的に確認し、必要に応じて歯科医師や医療機関への連携をおこなうことを目的に、口腔連携強化加算が新設されます。単位数は以下となります。

【単位数】

区分単位数(単位)
口腔連携強化加算50

※単位は1回あたり(ただし算定は1ヵ月に1回まで)

テレワークの取扱い

居宅療養管理指導を除いた全介護サービスにおいて、テレワークについての具体的な考え方が今後示されていく方針であることがわかりました。

前提として、個人情報の適切な管理や利用者へ支障が生じないことを踏まえたうえで、将来的に積極的な導入がおこなわれていく可能性があるといえます。

その他の変更点

その他の変更点として、介護サービス全体を通して、特別地域加算などの対象地域の明確化や見直しなどがおこなわれています。

まとめ|報酬改定に備えて改定のポイントを確認しましょう

2024年度の介護報酬改定について、大枠の方針が明らかとなりました。訪問リハビリテーションにおける今年度の改定は2ヵ月後ろ倒しの6月からとなりますが、できる対応は今のうちから徐々に備えていくことが大切です。

また、今後報酬改定における詳細なQ&Aが公開されるはずですので、情報のキャッチアップも怠らないようにしましょう。

お役立ち資料:介護報酬改定に備えたい方に

介護事業所向けに2024年の介護報酬改定に関する情報をまとめました。
2024年の介護報酬改定に向けて、事前に準備をしておきたいという方は、ぜひご一読ください。
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