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リハビリテーションマネジメント加算とは?算定要件など徹底解説

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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まだ記憶に新しい2021年(令和3年)の介護報酬改定では、複数の加算や算定要件の見直しが行われました。

その中のひとつでもある、リハビリテーションマネジメント加算。こちらも同様に、『自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点』から、大幅に見直されることになりました。

この記事では、そんなリハビリテーションマネジメント加算の単位数から算定要件、また、厚生労働省によるQ&Aなどもまじえてわかりやすくまとめます。 

これから取得を希望している事業者や事業所の方は、ぜひ、この記事を参考に効率的な収益化を目指してください。

リハビリテーションマネジメント加算とは

リハビリテーションマネジメント加算とは、『SPDCA(調査、計画、実行、評価、改善)』というサイクルをもとに、利用者に適したリハビリテーションの管理と、より質の高いサービス提供を目的として創設されました。 

利用者の状態や生活環境、日常生活における活動の質などを考慮したうえで、利用者に適したリハビリテーションの計画作成、および定期的な計画の見直し等が行われていることを評価の対象としています。

また、2021年度の介護報酬改定では、これまでの『加算(Ⅰ)』および、『加算(Ⅳ)』の廃止や組み替えに加え、『加算(Ⅱ)』と『加算(Ⅲ)』の見直しが行われるなど、大きく変更された加算のひとつでもあります。

リハビリテーションマネジメント加算の対象となる介護サービスは『訪問リハビリテーション』と『通所リハビリテーション』の2種となっています。

参考:厚生労働省

リハビリテーションマネジメント加算の介護サービス別単位数

訪問リハビリテーションにおける、リハビリテーションマネジメント加算の単位数は以下の通りです。

加算名

単位数

リハビリテーションマネジメント加算(A)イ

月:+180単位

リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ(新設)

月:+213単位

リハビリテーションマネジメント加算(B)イ

月:+450単位

リハビリテーションマネジメント加算(B)ロ

月:+483単位

 

通所リハビリテーションにおける、リハビリテーション加算の単位数は以下の通りです。

加算名

同意月から6月以内の単位数

同意月から6月超の単位数

リハビリテーションマネジメント加算(A)イ

月:+560単位

月:+240単位

リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ(新設)

月:+593単位

月:+273単位

リハビリテーションマネジメント加算(B)イ

月:+830単位

月:+510単位

リハビリテーションマネジメント加算(B)ロ

月:+863単位

月:+543単位

参考:厚生労働省

リハビリテーションマネジメント加算の算定要件

ここからは、リハビリテーションマネジメント加算の算定要件を説明します。

訪問と通所、それぞれサービスごとに算定要件が若干異なるため注意が必要です。

また、『加算A』と『加算B』、あるいは『イ』と『ロ』によっても、医師との関わりや、『LIFE(CHASE・VISIT)』の活用等により算定できる加算も変わってきます。

対象となるサービス事業者の方は希望する加算の種類をあらかじめ確認し、算定要件を混合してしまわないように気を付けてください。

訪問リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算の算定要件

まずは訪問リハビリテーションにおける、リハビリテーションマネジメント加算の算定要件です。

加算Aと加算Bをそれぞれ表形式で説明していきます。

加算Aの算定要件は以下の通りです。

加算名

算定要件

加算A(イ)

・事業所の医師が、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)にリハビリの目的を共有、および、『開始前、実施中の留意事項』『リハビリを中止する際の基準』『リハビリにおける利用者の負荷』のいずれか1つ以上を指示

・医師、または指示を受けたPT等が、指示内容が上記の基準を満たしていることを明確に記録

・リハビリテーション会議を開催し、利用者の情報を構成員と共有、および会議内容の記録(テレビ会議でも可)

・3か月に1回以上のリハビリテーション会議の開催、および利用者の状況に応じた計画書の見直し

・ケアマネジャー(介護支援専門員)に対し、事業所のPT、OT、STのいずれかが、リハビリの観点から『利用者の有する能力』『自立のために必要となる支援方法』『日常生活おける留意点』に関する情報提供を行う

・事業所のPT、OT、STのいずれかが、居宅サービスの従業者と利用者の居宅を訪問し、その家族と従業者に対して、リハビリの観点から『介護の工夫に関する指導』および『日常生活における留意点』に関する助言を行う

・利用者、またはその家族に対し、リハビリテーション計画の作成に関与した、PT、OT、STのいずれかが計画内容を説明、および同意を得るとともに、説明内容を医師に報告

・上記の要件に適合していることを確認し、記録

加算A(ロ)

・リハビリテーションマネジメント加算A(イ)の要件に適合

・『LIFE(CHASE・VISIT)』を用いて利用者ごとのリハビリテーション計画書等の内容等を厚生労働省に提出し、リハビリにおける適切、有効な実施のためにフィードバックを活用

 

以下は加算Bの算定要件です。

加算名

算定要件

加算B(イ)

・事業所の医師が、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)にリハビリの目的を共有、および、『開始前、実施中の留意事項』『リハビリを中止する際の基準』『リハビリにおける利用者の負荷』のいずれか1つ以上を指示

・医師、または指示を受けたPT等が、指示内容が上記の基準を満たしていることを明確に記録

・リハビリテーション会議を開催し、利用者の情報を構成員と共有、および会議内容の記録(テレビ会議でも可)

・3か月に1回以上のリハビリテーション会議の開催、および利用者の状況に応じた計画書の見直し

・ケアマネジャー(介護支援専門員)に対し、事業所のPT、OT、STのいずれかが、リハビリの観点から『利用者の有する能力』『自立のために必要となる支援方法』『日常生活おける留意点』に関する情報提供を行う

・事業所のPT、OT、STのいずれかが、居宅サービスの従業者と利用者の居宅を訪問し、その家族と従業者に対して、リハビリの観点から『介護の工夫に関する指導』および『日常生活における留意点』に関する助言を行う

・利用者、またはその家族に対し、リハビリテーション計画の計画内容を事業所の『医師』が説明、および同意を得る

・上記の要件に適合していることを確認し、記録

加算B(ロ)

・リハビリテーションマネジメント加算B(イ)の要件に適合

・『LIFE(CHASE・VISIT)』を用いて利用者ごとのリハビリテーション計画書等の内容等を厚生労働省に提出し、リハビリにおける適切、有効な実施のためにフィードバックを活用

参考:厚生労働省

通所リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算の算定要件

ここでは、通所リハビリテーションにおける、リハビリテーションマネジメント加算の算定要件を説明します。

訪問リハビリテーションの算定要件との違いは、主にリハビリテーション会議の開催期間と回数です。

訪問リハビリテーション同様、加算Aと加算Bをそれぞれ表形式でまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

それでは、加算Aの算定要件から確認していきましょう。

加算名

算定要件

加算A(イ)

・事業所の医師が、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)にリハビリの目的を共有、および、『開始前、実施中の留意事項』『リハビリを中止する際の基準』『リハビリにおける利用者の負荷』のいずれか1つ以上を指示

・医師、または指示を受けたPT等が、指示内容が上記の基準を満たしていることを明確に記録

・リハビリテーション会議を開催し、利用者の情報を構成員と共有、および会議内容の記録(テレビ会議でも可)

・リハビリテーション計画の作成において、『同意月から6か月以内であれば1月に1回以上』『6か月を超えた場合は3月に1回以上』のリハビリテーション会議の開催、および利用者の状況に応じた計画書の見直し

・ケアマネジャー(介護支援専門員)に対し、事業所のPT、OT、STのいずれかが、リハビリの観点から『利用者の有する能力』『自立のために必要となる支援方法』『日常生活おける留意点』に関する情報提供を行う

・事業所のPT、OT、STのいずれかが、居宅サービスの従業者と利用者の居宅を訪問し、その家族と従業者に対して、リハビリの観点から『介護の工夫に関する指導』および『日常生活における留意点』に関する助言を行う

・利用者、またはその家族に対し、リハビリテーション計画の作成に関与した、PT、OT、STのいずれかが計画内容を説明、および同意を得るとともに、説明内容を医師に報告

・上記の要件に適合していることを確認し、記録

加算A(ロ)

・リハビリテーションマネジメント加算A(イ)の要件に適合

・『LIFE(CHASE・VISIT)』を用いて利用者ごとのリハビリテーション計画書等の内容等を厚生労働省に提出し、リハビリにおける適切、有効な実施のためにフィードバックを活用

 

以下は加算Bの算定要件です。

加算名

算定要件

加算B(イ)

・事業所の医師が、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)にリハビリの目的を共有、および、『開始前、実施中の留意事項』『リハビリを中止する際の基準』『リハビリにおける利用者の負荷』のいずれか1つ以上を指示

・医師、または指示を受けたPT等が、指示内容が上記の基準を満たしていることを明確に記録

・リハビリテーション会議を開催し、利用者の情報を構成員と共有、および会議内容の記録(テレビ会議でも可)

・リハビリテーション計画の作成において、『同意月から6か月以内であれば1月に1回以上』『6か月を超えた場合は3月に1回以上』のリハビリテーション会議の開催、および利用者の状況に応じた計画書の見直し

・ケアマネジャー(介護支援専門員)に対し、事業所のPT、OT、STのいずれかが、リハビリの観点から『利用者の有する能力』『自立のために必要となる支援方法』『日常生活おける留意点』に関する情報提供を行う

・事業所のPT、OT、STのいずれかが、居宅サービスの従業者と利用者の居宅を訪問し、その家族と従業者に対して、リハビリの観点から『介護の工夫に関する指導』および『日常生活における留意点』に関する助言を行う

・利用者、またはその家族に対し、リハビリテーション計画の計画内容を事業所の『医師』が説明、および同意を得る

・上記の要件に適合していることを確認し、記録

加算B(ロ)

・リハビリテーションマネジメント加算B(イ)の要件に適合

・『LIFE(CHASE・VISIT)』を用いて利用者ごとのリハビリテーション計画書等の内容等を厚生労働省に提出し、リハビリにおける適切、有効な実施のためにフィードバックを活用

参考:厚生労働省

リハビリテーションマネジメント加算の留意点

留意点1)
利用者、または家族に対する説明では、原則として面接による直接の説明が望ましいとされていますが、利用者や家族が遠方に住んでいるなど、やむを得ない理由がある場合には電話等による説明でも要件に適合するものとされています。

留意点2)
リハビリテーションマネジメント加算を取得する際、加算Aと加算Bの同時取得は不可能となっていますが、月によっていずれかの加算を選択することはできます。

しかし、リハビリテーションマネジメント加算におけるそもそもの目的である、SPDCAサイクルを通じた継続的なリハビリの質の管理、という観点から考えると、一度加算Aを取得したのであればその後も加算Aを、加算Bの算定要件を満たしたリハビリテーション計画を作成した場合は、継続して加算Bを取得することが望ましいとされています。

参考:厚生労働省

まとめ

2018年度の介護報酬改定に引き続き、2021年度の改定においても大幅な変更が行われたリハビリテーションマネジメント加算。

LIFEの活用やICTの導入により、今後さらなる見直しの可能性も考えられます。 

まずは基礎となる現行の算定要件や単位数を確実に頭に入れ、以降の改定に柔軟に対応できる環境を整えておきましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについて、わかりやすくまとめました。
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