介護予防居宅療養管理指導は、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士などの専門職が利用者宅に訪問して、指導や助言をおこなうサービスです。このサービスをうまく利用することで、要支援・要介護の状態でも安心して自宅での生活を続けることができます。
今回は、介護予防居宅療養管理指導の概要だけでなく、職種別の単位数や算定要件まで詳しく解説します。ぜひ、最後までお読みください。
目次
介護予防居宅療養管理指導とは、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士などの専門職が、通院できない要支援1・2と認定された利用者宅に訪問して、療養上の指導および管理をおこなう介護保険サービスです。
この介護予防居宅療養管理指導は、国内において、少子高齢化による長寿社会に伴って慢性疾患の利用者が増加傾向です。これらの利用者は医療資源の観点や、在宅にて日常生活を送ることを望んでいることなどから、在宅で専門職が指導をおこなう介護予防居宅療養管理指導が2000年の介護保険開始時とともに創設されました。
実際、介護予防居宅療養管理指導・居宅療養管理指導の請求事業所数、受給者数ともに年々増加しており、今後も変わらず需要が高まると考えられています。
介護予防居宅療養管理指導の対象者は、下記の通りです。
要介護者に関しては、介護予防居宅療養管理指導ではなく、居宅療養管理指導の対象者になります。
介護予防居宅療養管理指導は、下記のように管理指導者と、同じ建物に居住している人数によって単位数が異なります。
管理指導者 | 利用限度回数 | 単一建物居住者1人(単位) | 単一建物居住者2〜9人(単位) | 単一建物居住者10人以上(単位) |
医師(介護予防居宅療養管理指導費(Ⅰ)) | 月2回 | 515 | 487 | 446 |
医師(介護予防居宅療養管理指導費(Ⅱ)) | 月2回 | 299 | 287 | 260 |
歯科医師 | 月2回 | 517 | 487 | 441 |
病院または診療所の薬剤師 | 月2回 | 566 | 417 | 380 |
薬局の薬剤師*¹ | 月4回 | 518 | 379 | 342 |
介護予防居宅療養管理指導費(Ⅰ) | 月2回 | 545 | 487 | 444 |
介護予防居宅療養管理指導費(Ⅱ) | 月2回 | 525 | 467 | 424 |
歯科衛生士など | 月4回 | 362 | 326 | 295 |
*¹:薬局の薬剤師で情報通信機器を用いて行う場合 (月4回を限度)は46単位/月です。
それぞれの専門職における、介護予防居宅療養管理指導の算定要件は、下記の通りです。
- ケアマネジャーに対するケアプランの作成などに必要な情報提供
- 利用者・家族などに対する介護サービスを利用する上での留意点・介護方法などについての指導・助言
- 医師又は歯科医師の指示に基づき、薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、利用者の居宅を訪問して、薬学的管理指導(薬歴管理、服薬指導、薬剤服用状況及び薬剤保管状況の確認等)を行うこと
- 提供した居宅療養管理指導の内容については、利用者・家族等に対して積極的に文書等にて提供するよう努めること
- 提供した居宅療養管理指導の内容について、速やかに薬剤服用歴の記録を作成し、医師又は歯科医師に報告した上で、ケアマネジャーに対するケアプランの作成等に必要な情報提供を行うこと
- 居宅療養管理指導(Ⅰ)については、指定居宅療養管理指導事業所の管理栄養士が、計画的な医学的管理を行っている医師の指示に基づき、居宅療養管理指導を実施した場合に、算定できる。なお、管理栄養士は常勤である必要はなく、要件に適合した指導が行われていれば算定できる
- 居宅療養管理指導(Ⅱ)については、指定居宅療養管理指導事業所の計画的な医学的管理を行っている医師の指示に基づき、当該指定居宅療養管理指導事業所以外の管理栄養士が、居宅療養管理指導を実施した場合には算定できる。
なお、他の指定居宅療養管理指導事業所との連携により管理栄養士を確保し、居宅療養管理指導を実施する場合は、計画的な医学的管理を行っている医師が所属する指定居宅療養管理指導事業所が認めた場合は、管理栄養士が所属する指定居宅療養管理指導事業所が算定することができる- 居宅療養管理指導(Ⅱ)を算定する場合、管理栄養士は、当該居宅療養管理指導に係る指示を行う医師と十分に連携を図り、判断が必要な場合などに速やかに連絡が取れる体制を構築すること。なお、所属が同一か否かに関わらず、医師から管理栄養士への指示は、居宅療養管理指導の一環として行われるものであること
- 歯科衛生士、保健師又は看護職員が、当該利用者に対して訪問歯科診療を行った歯科医師の指示に基づき、当該利用者を訪問し、実地指導を行った場合に算定できる
介護予防居宅療養管理指導・居宅療養管理指導ともにお伝えした4つの専門職が利用者宅へ訪問して、指導・助言をおこなうという内容は変わりませんが、それぞれの基本方針が異なります。
介護予防居宅療養管理指導の目的は、利用者が健康な生活を続けられるようにサポートして、病気や障がいの予防を目指すことです。一方、居宅療養管理指導の場合は、既に病気や障がいを抱える利用者の在宅でのケアを支援して、自立した生活をサポートすることが目的となるなどの違いがあります。
介護予防居宅療養管理指導は、各専門職が利用者宅に訪問して指導や助言をおこないます。そのため、日常生活を過ごすにあたって、悩みや疑問点があっても、その都度、解決できるため、安心して自宅にて生活を続けることができます。
要支援・要介護の状態になっても、多くの利用者は自宅での生活を望んでいます。そのため、今回の記事をきっかけに、介護予防居宅療養管理指導を算定して、自宅での生活を維持させましょう。