この記事では、2024年に向けた介護報酬改定の議論について令和4年11月7日に開催された財務省での議論内容について、後半部分のご紹介してまいります。
前半:2024年 介護報酬改定~令和4年11月7日 財務省での議論①~
【参考】
財政制度等審議会(2022年5月25日)『歴史の転換点における財政運営』P66~
介護報酬改定2024年の動向【医療・介護のダブル改定に備える!】
インセンティブ交付金(保険者機能強化推進交付金・介護保険保険者努力支援交付金)とは、高齢者の自立支援・重度化防止に向けた保険者の取組を推進するために用意されているものです。
下記取り組みの多い市町村に対し支払われるものです。
①介護給付の適正化事業の主要5事業のうち、いくつ実施しているか。
②在宅医療・介護連携を推進するため、多職種を対象とした研修会を開催しているか。
③管内の介護事業所に対し、事故報告に関する支援を行っているか。
この2つの交付金の間での評価項目についての見直しを図ることが議論されており、重複を排除するとともに、介護費用の効率化インセンティブが適切に働くようにするため、介護費用の抑制に直接的につながる指標のみを評価する方向で制度を簡素化しつつ、アウトカム指標への配点の重点化を進めるべきとし、評価の透明性を確保するため、各自治体の指標ごとの点数獲得状況を閲覧できるよう評価結果を公表し、「見える化」を進めるべきだとしています。
都道府県と市町村が実施する介護給付費の適正化に資する事業(適正化事業)については、平成20年の取組開始以降、見直しが行われていないため、これまでの取組の実施状況を踏まえ、より効果的なものに見直す必要があるとしています。
特に「ケアプラン点検」・「住宅改修・福祉用具実態調査」は、実施主体である市町村の事務負担が大きく、人員不足等により事業を実施していても件数が少ないケースが見られるところ、点検対象とすべき事例を明確化した上で目標水準を設定するなど、確実な実施を図るための見直しを行うべきだと議論されています。
これら見直しを踏まえ、前項インセンティブ交付金同様見える化を行っていくことが議論されています。
平成27年に、地域における介護施設等の整備に関する事業や介護従事者の確保に関する事業を支援するため、「地域医療介護総合確保基金」(介護分)が各都道府県に設置されています。
毎年度、各都道府県が作成する計画を踏まえて国が必要額を交付し、各都道府県が計画に基づき事業を実施することとなっているが、特に施設整備分については、一部事業の遅延や中止等の理由により、都道府県の基金に交付済の資金の一部が活用されずに残っている状況であり、こうした状況を踏まえ、財源の有効活用を図る観点から、都道府県の計画を執行可能な現実的なものにするとともに、新しい事業の実施に当たっては、都道府県の基金の残高を優先的に活用することとし、その分だけ国からの交付額を削減すべきだと議論されています。
2024年に向けて、着々と議論が進んでいます。今後は2023年3月ころに議論の方向性が固まり、9月頃にはその内容がほぼ決定します。
2024年の介護報酬改定は、遠いようですぐそこに迫ってきており、すぐに体制を整えていく必要があります。