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サービス提供体制強化加算とは?計算シートの必要性と計算ポイント4つを解説

2025-01-21

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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サービス提供体制強化加算を申請するための提出書類のひとつに、計算シートがあります。事業所の体制に応じて、正しい区分を申請・算定するために必要な書類です。

今回は、サービス提供体制強化加算の計算シートの活用方法やポイントについてわかりやすく解説します。

サービス提供体制強化加算で計算シートが必要な理由

サービス提供体制強化加算は、介護職員の配置状況や資格の割合など、事業所の体制によって評価される加算です。この加算を正しく申請するためには、事業所の人員配置や職員の資格比率などを把握し、正確に計算することが求められます。介護福祉士の割合や勤続年数などによっても算定可能な区分が変わり、事業所が得られる報酬額も変わります。

事業所の体制を正しく算出するためのツールとして計算シートが活用されます。計算シートは単に加算を確認するためでなく、自治体への申請書類としても必要です。計算シートの記載内容は、加算を算定するための根拠を示す公的文書としても用いられるのです。

サービス提供体制強化加算の計算シート活用方法|おさえるべき4つのポイント

サービス提供体制加算の計算シートの活用方法について解説します。サービス種別によって加算額や基準の人員数などは異なりますが、基本的な計算方法やポイントは同じです。正確に理解するために、各項目の算出方法についてお伝えします。

1. 介護職員の総数の算出方法

介護職員の総数は、サービス提供体制強化加算を算出する上で基礎となる重要な数値です。職員名簿や勤務表をもとに、常勤職員と非常勤職員を含めた全体の数を算出します。ここでいう「総数」は単純に職員を合計した人員数ではなく、常勤換算での人員数を示しています。

  • 常勤職員はそのまま1人としてカウントします。
  • 非常勤職員は、勤務時間を基に「常勤換算」をおこないます。例えば、1ヵ月(4週間)の勤務時間が常勤の半分であれば0.5人と計算します。

非常勤職員の計算をする際、契約上の勤務時間ではなく、勤務実績に基づいて計算することが求められます。また、非常勤職員の場合は有給休暇などを取得している場合、その日数は勤務時間に含まれません。

介護職員の総数は基礎的な数字になるため、その後の計算や加算申請にも影響します。職員名簿や勤務表を丁寧に確認しながら正確に算出しましょう。

2. 介護福祉士の割合の算出方法

介護福祉士は介護実務の専門的な国家資格であり、介護福祉士の配置数はサービスの質にも大いに影響します。介護福祉士の配置割合によって、質の高いサービスが提供されるものとして、加算の区分も変わります。

介護福祉士の割合を算出するには、職員総数を分母とし、介護福祉士資格を有する職員数を分子として計算します。

計算式

介護福祉士の割合 = 介護福祉士の人数 / 介護職員の総数

非常勤職員については、介護職員の総数と同様、常勤換算後の数値で計算します。自治体によっては、資格証のコピーや自治体指定の確認書類などの提出が求められる場合もあります。

資格取得以前の勤務期間はカウントされませんので、取得のタイミングについても確認しましょう。

3. 勤続年数の数え方

職員の勤続年数は、加算要件を満たすための重要な指標となります。勤続年数は、介護職としての経験年数ではなく、現在勤務している法人での勤務期間をもとに計算されます。

  • 勤続年数は同一法人で勤務した期間でカウントします。
  • 同一法人内での勤務事業所の異動は通算してカウント可能です。
  • 事業所の合併や事業継承などにより別の法人との雇用契約となっても、これまで同様に勤務をしている場合は通算することも可能です。

勤務記録や給与台帳など、客観的に勤続年数を証明できる資料を準備し、確認しておくとよいでしょう。

4. 介護休業や産休の取り扱い

介護休業や産休中の職員についても、一定の条件下で加算対象に含めることができます。常勤職員の場合は、休業中であっても雇用関係が継続していれば勤務職員数に含まれます。ただし、非常勤職員に関しては、休業期間中の勤務実績がゼロであるため、計算から除外されます。

また、人員配置における両立支援により、常勤の扱いがより柔軟になっていることにも注意しましょう。育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度や、治療と仕事の両立ガイドラインなどを活用する場合、週30時間以上の勤務で、常勤として扱うことも認められています。

これらの情報を自治体のホームページで配布されている計算シート上に入力します。計算シートは一般的にExcelファイルで配布され、計算方法も記載されています。手作業では生じやすい計算ミスや記載漏れを防ぎ、正確性を確保することができます。

シートに記載された注意事項を確認しながら、確実に入力することが求められます。

サービス提供体制強化加算の計算シートは申請時の必須書類

サービス提供体制強化加算の申請において、計算シートは提出必須の書類です。計算シートは、事業所の人員体制の根拠として、自治体へ提出するデータとなります。正確に記載された計算シートを提出することで、自治体は正確に申請内容を確認でき、加算適用につながります。

計算シートの他にも、申請に必要な書類がいくつかあります。ただし、自治体によって求められる書類は異なります。一般的に申請時に提出が必要となる書類を例示します。

  • 介護給付費算定にかかる体制等状況一覧:算定中の加算を一覧で示したもの
  • 介護給付費算定にかかる体制等届出書:算定する加算の変更を求めるための書類
  • サービス提供体制強化加算に関する届出書:サービス提供体制強化加算のを算定開始するための申請書
  • 職員名簿:職員の氏名、職種、勤務形態などを記載したもの
  • 勤務表(シフト表):常勤換算や勤務実績を証明する資料
  • 資格証明書:介護福祉士やその他資格を有する職員の証明書の写し
  • 勤続年数証明資料:雇用契約書や勤続年数を示す資料
  • 返信用封筒:加算変更届の結果の通知を受け取るための封筒
  • 自治体が指定する追加書類:各自治体ごとに異なる場合があるため、自治体の資料を確認すること

      また、計算シートは報酬改定などを機に様式が変更される場合もあります。提出様式が変更されていないか確認し、適切な様式を使用する必要があります。

      サービス提供体制強化加算を計算シートで算出するに関するよくある質問

      サービス提供体制強化加算の項目を算出する際に、よくある質問について回答します。

      新年度の基準となる前年度の実績が6ヵ月に満たないときはどうすればよいですか?

      サービス提供体制強化加算を算定するには、原則として前年度の運営実績が基準となります。具体的には、4月から2月までの11ヵ月の実績をもとに毎年3月に計算し、自治体に提出します。しかし、前年度の実績が6ヵ月に満たない場合は別の基準が適用されます。

      事業所の運営実績が6ヵ月未満の場合は、3ヵ月間の実績を基に計算します。3月に計算するため、12月・1月・2月の3ヵ月間が計算対象となります。詳細については、自治体のホームページなどを確認し、不備がないように書類を整備することが求められます。

      算定要件を満たさなくなったときはどうすればよいですか?

      職員の退職や異動などにより、サービス提供体制強化加算の算定要件を満たさなくなった場合は、速やかに自治体へ報告し、加算の取り下げ申請をする必要があります。

      また、サービス提供体制強化加算の算定要件は職員の配置体制だけではありません。定員超過、人員基準欠如に該当しないことも算定要件のための必修項目です。運営基準に違反することなどがあれば、サービス提供体制強化加算も取り下げになるので注意しましょう。

      提出方法は、自治体によって対応が異なる場合があるため、詳細は管轄の自治体への確認が必要です。

      サービス提供体制強化加算における計算シートのポイントをおさえ、正しく算出しましょう

      サービス提供体制強化加算の計算シートは、事業所の人員配置を記載し、要件を満たしていることを証明する重要な書類です。加算を算定するためにはルールを正確に理解することが必要です。

      サービス提供体制強化加算を算定することで、事業運営の安定につなげることができます。最新の基準や様式に基づいた正しい計算により、確実な加算算定を目指しましょう。

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