この記事では、介護保険における処遇改善加算におけるQ&Aについてご紹介していきます。
目次
①賃金改善とみなすことができる記載
基本給のベースアップ、定期昇給、処遇改善手当、賞与、一時金、賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分 等なお、基本給による賃金改善が望ましいとされています。
【介護職員処遇改善交付金に関するQ&A ○賃金改善の方法等について 問6】
【平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1) 問245】
②賃金改善とみなすことができない記載
福利厚生費、退職手当、職員の増員、交通費、通信費、研修費、資格取得費用(テキスト購入等)、健康診断費、予防接種費用、慰安旅行の費用負担、図書カード・商品券・ポイントカード等の支給、物品購入費用、講習会受講料、住居手当等
毎月支払われる『手当』でも、福利厚生費の意味合いが強ければ賃金改善とみなされない可能性が有りますので、賃金改善とみなすことが出来る記載以外で支払いを考えている場合は、事前に自治体へ確認が必要です。
【対象者】指定基準上の訪問介護員、サービス提供責任者、介護職員、指定(介護予防)小規模多機能型居宅介護従業者(看護師、准看護師として配置されている者を除く。)、(介護予防)指定認知症対応型共同生活介護の介護従業者並びに看護小規模機能型居宅介護従業者(保健師、看護師、准看護師として配置されている者を除く。)として従事している者
【対象外】
他職種のみに従事している者は対象となりませんが、事業所(施設)において当該他職種を人員基準に定められた必要数以上に配置しており、業務の支障がない範囲で介護職員と兼務している場合、実際に介護職員として従事している者は加算対象。
(雇用契約書等における職務内容に介護職員としての業務が明記されている必要あり)
【介護職員処遇改善交付金に関するQ&A ○賃金改善の方法等について 問12】
給与ではなく役員報酬のみを支給されている場合は加算対象となりませんが、当該役員が介護職員としての勤務実態があり、その労働の対価として支給されている金銭が給与の性質を有している場合は、加算対象となります。
ただし、勤務表、雇用契約書等において上記要件を満たしている(労働者性を有している)ことが客観的に判断できるよう関係書類を整備することが大切です。
加算対象とすることは可能です。賃金改善を行う方法等について派遣元と相談した上で、介護職員処遇改善計画書や介護職員処遇改善実績報告書について、自社職員と対象とする派遣労働者を含めて作成します。【平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2) 問49】
加算の算定要件は「賃金改善額が加算額を上回る」ことであり、事業所(法人)全体での賃金改善が要件を満たしていれば、一部の介護職員を対象としないことも可能です。
ただし、あらかじめ賃金改善の対象者、支払いの時期、要件、賃金改善額等について計画書等に明記し、全ての介護職員に周知する必要があり、例えば「一時金支給日まで在籍している者のみに支給する(支給日前に退職した者には全く支払われない)」というルールとする場合も事前に通知しておく必要があります。
また、介護職員から加算に係る賃金改善に関する照会があった場合は、当該職員についての賃金改善の内容について書面を用いる等の方法により分かりやすく説明してください。
※ 支給日に在籍しておらず支給されないといった苦情が散見されるため、周知を徹底してください。
【平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2) 問40】
賃金改善額には次の額を含みます。
法定福利費(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金、雇用保険料、労災保険料等)における、加算による賃金上昇分に応じた事業主負担増加分
法人事業税における、加算による賃金上昇分に応じた外形標準課税の付加価値額増加分
なお、任意加入とされている制度に係る増加分(退職手当共済制度等における掛金等)は含まないものとします。
【介護職員処遇改善交付金に関するQ&A ○賃金改善の方法等について 問7】
原則4月(年度の途中で加算の算定を受ける場合、当該加算を受けた月)から翌年の3月までとなりますが、次の条件を満たす期間の中で選択することもできます。
月数は加算算定月数と同じでなければならない。
当該年度における最初の加算対象月(年度当初より加算を算定する場合は4月)から当該年度における最終の加算支払月の翌月(翌年6月)までの間の任意の連続する月でなければならない。
各年度において重複してはならない。
処遇改善加算はほぼすべての事業所で取得が終わっている加算ですが、支払いの仕方や要件を満たしていないこと、周知不足による『支払われていない』という勘違いの多い加算です。
対象となる職員の範囲や支払い項目名称についてもしっかり復習をしておきましょう。