2024年の介護報酬改定で業務継続計画未策定減算が新たに創設されました。特に、業務継続計画を策定していない施設の経営者で、業務継続計画未策定減算の算定要件や単位数などを詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、業務継続計画未策定減算の算定要件や単位数、施行される時期についてわかりやすく解説します。
目次
業務継続計画未策定減算とは、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合に基本報酬を減算するものです。介護施設での業務継続計画策定を推進する目的で2024年に新設されました。
「業務継続計画」とは、自然災害や感染症のまん延の緊急事態に備え、企業や団体が事業を継続するためにどのように行動するか、具体的な指針等を定めた計画のことです。
現在、全ての介護施設で業務継続計画の策定が義務付けられています。
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【2024年4月義務化】介護施設のBCP(事業継続計画)策定のポイントや作成手順を徹底解説!
厚生労働省の資料「業務継続に向けた取組の強化等(改定の方向性)」によると、令和5年度改定検証調査では、感染症・自然災害ともにまだ策定していない事業所が8割であることが明らかになっています。
この実態を受けて、介護施設で業務継続計画の策定を推進するため、業務継続計画未策定減算が検討されました。
業務継続計画未策定で減算されないためには、算定要件や単位数をしっかりと理解しておくことが重要です。ここでは、業務継続計画未策定減算の算定要件と単位数についてわかりやすく解説します。
業務継続計画未策定減算の算定要件は、以下のとおりです。
対象サービス | 業務継続計画未策定減算の算定要件 |
居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く全サービス | 感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が策定されていない場合 |
感染症と自然災害のどちらかが未策定の場合でも、減算の対象となるため注意しましょう。
サービス種別 | 単位数 |
施設、居住系サービス | 所定単位数の100分の3に相当する単位数を減算 |
その他のサービス | 所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算 |
施設や居住系サービスでは3%、その他のサービスでは1%の所定単位数が減算されます。
令和7年3月31日までの間、感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、業務継続計画未策定減算は適用されません。
また、訪問系サービス、福祉用具貸与、 居宅介護支援については、令和7年3月31日までの間、業務継続計画未策定減算が適用されません。
介護施設によっては、すぐに業務継続計画未策定減算が施行されない場合もあるため、自施設の施行時期を確認しておきましょう。
業務継続計画未策定減算は、感染症又は災害どちらか1つでも未策定である場合に減算の対象となります。
また、適用されるタイミングは未策定が発覚した事実が生じた時点まで遡るため注意が必要です。
ここでは、業務継続計画未策定減算のよくある質問について解説します。
感染症、災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合は、業務継続継続計画未策定と判断されます。
また、業務継続計画に従い必要な措置が講じられていない場合にも、減算の対象となるため注意しましょう。ただし、令和3年報酬改定の業務継続計画の周知見直しなどは適用要件にはなりません。
業務継続計画未策定減算が適用されるタイミングは、行政機関が運営指導等で不適切な取り扱いを発見した時点ではありません。「基準を満たさない事実が生じた時点」まで遡って減算を適用するため注意しましょう。
業務継続計画未策定減算とは、業務継続計画を策定していない施設を対象として基本報酬から差し引かれるものです。
業務継続計画未策定減算によって、大幅に施設の収益性が低下する可能性もあります。減算されないためにも、施行される前に余裕をもって業務継続計画を策定しておきましょう。
また、仮に業務継続計画を策定していても業務継続計画に基づいて必要な措置をとらなければ減算の対象となるため注意が必要です。
算定要件や単位数などの細かく定められたルールを正しく理解して、業務継続計画を策定することが重要です。