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【2024年改定対応】退所時等相談援助加算とは?加算ごとの算定要件や単位数を解説!

2024-11-12

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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特別養護老人ホームといえば、「終の棲家」と言われるように、人生の最期まで過ごす場所と認識されることが多い施設です。ただ、特別養護老人ホームから自宅に退所するという事例も、少数ながら存在します。

特別養護老人ホームから自宅に復帰する際に算定可能な「退所時等相談援助加算」を正しく理解することで、確実に加算を算定できるように準備しましょう。

退所時等相談援助加算とは?

退所時等相談援助加算について解説します。退所時等相談援助加算は介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を退所し、自宅で介護サービスを利用しながら生活を送れるように、相談支援や情報提供をおこなうことで算定可能な加算です。

特別養護老人ホームの退所先として、多いのは死亡退所、医療機関への入院退所、別の施設への移動などがあります。ただ、わずかではありますが、家庭への退所という事例もあります。施設で適切な生活管理・栄養管理・リハビリテーションがおこなわれることで、自宅での生活ができるレベルまで改善する例や、要介護度が改善し要支援認定になる場合などもあります。

国が方針として掲げる自立支援介護により、今後も特別養護老人ホームから自宅へ退所する方が増えていくことが予想されます。

退所時等相談援助加算の対象事業者

退所時等相談援助加算の対象事業所は以下の2つです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特別養護老人ホーム)

介護老人保健施設は、本来施設から自宅への復帰が本来の目的であり、別の加算があるため、この加算の対象ではありません。

退所時等相談援助加算の取得単位数

退所時等相談援助加算の取得単位数について解説します。退所時等相談援助加算と同様に特別養護老人ホームから自宅への復帰によって算定できる加算は他にもあります。混同しやすいこれらの加算も含めてまとめています。

加算名単位数備考
退所前訪問相談援助加算460単位/回

算定回数:基本1回、2回まで算定可能
入所者の退所前に、退所後に生活する居宅を訪問し、相談援助をおこなった場合

退所後訪問相談援助加算460単位/回

算定回数:1回まで
退所後30日以内に居宅を訪問し、相談援助をおこなった場合

退所時等相談援助加算400単位/回

算定回数:1回まで
当該入所者に対し、退所時に相談援助を実施し、且つ当該入所者の同意を得て、地域包括支援センター等に介護状況を示す文章などの必要な情報を提供した場合

退所前連携加算500単位/回

算定回数:1回まで
入所者が退所し、居宅サービスを利用する場合に、居宅介護支援事業所に対して、介護状況などの必要な情報を提供し、退所後の居宅サービスの利用に関する調整をおこなった場合

退所時情報提供加算

(Ⅰ)500単位/回
(Ⅱ)250単位/回

算定回数:1回まで
退所後の主治医に情報提供をおこなった場合
介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設は対象外
※介護老人保健施設・介護医療院のみ

これらの加算は似ていますが算定の条件やタイミングが異なります。混同しやすいため注意が必要です。

退所時等相談援助加算の算定要件

退所時等相談援助加算と、類似した4つの加算について、算定要件をわかりやすく解説します。

退所前訪問相談援助加算の算定要件

退所前訪問相談援助加算は、利用者に対して退所前の相談をおこなうことで算定できる加算です。

  • 対象者:1ヵ月以上入所する見込みの利用者。
  • 算定要件:退所前に、退所後生活する居宅を訪問し、相談援助をおこなう。
  • 算定回数:基本1回。ただし、早期退所を見込む場合は2回まで算定可能。1回目は退所を前提とした計画策定時、2回目は退所後の最終調整としておこなう必要がある。
  • 利用者が他の社会福祉施設(病院、診療所、及び介護保険施設は含まない)に入所する場合でも、同意を得て訪問や調整をおこなった場合は算定可能。

退所後訪問相談援助加算の算定要件

退所後訪問相談援助加算は、退所した利用者の居宅を訪問して相談援助をおこなった際に算定できる加算です。

  • 対象者:施設退所後の利用者。
  • 算定要件:退所後30日以内に居宅を訪問し、相談援助を実施。
  • 算定回数:退所後1回のみ。
  • 利用者が他の社会福祉施設(病院、診療所、及び介護保険施設は含まない)に入所した場合でも、同意を得て訪問や調整をおこなった場合は算定可能。

退所時相談援助加算の算定要件

退所時相談援助加算は、施設から自宅へ退所し、居宅サービスを利用する利用者への相談援助と、そのための情報提供をおこなうことで算定できる加算です。

  • 対象者:1ヵ月以上入所し、退所後に居宅サービスを利用する入所者。
  • 算定要件:退所後、利用者と家族に対し、居宅サービスや地域密着型サービスなどの利用に関する相談援助をおこなう。入所者の同意を得て、退所日から2週間以内に、管轄する市町村や地域包括支援センターに、介護状況を示す文書を提供する。入所者が社会福祉施設に入所する場合も、同意を得て情報提供をおこなう。
  • 算定回数:退所時1回。
  • 利用者が他の社会福祉施設(病院、診療所、及び介護保険施設は含まない)に入所する場合でも、同意を得て訪問や調整をおこなった場合は算定可能。

退所前連携加算の算定要件

退所前連携加算は入所者が退所する前に居宅介護支援事業者に情報提供することで算定できる加算です。

  • 対象者:1ヵ月以上入所し、退所後に居宅サービスや地域密着型サービスを利用する入所者。
  • 算定要件:退所前に、居宅介護支援事業者と連携し、退所後のサービス利用に必要な情報を提供し調整をおこなう。
  • 算定回数:退所前1回。

退所時情報提供加算の算定要件

退所時情報提供加算は介護老人保健施設・介護医療院が対象の加算です。情報提供する相手は医師であることが他の加算との違いです。2024年の報酬改定により、1種類だった退所時情報提供加算は、退所時情報提供加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の2種類になりました。

  • 対象者:介護老人保健施設を退所する者。
    (Ⅰ)居宅へ退所する場合。
    (Ⅱ)医療機関へ退所する場合。
  • 算定要件:退所後の主治医に対し、入所者の情報を提供します。入所者の同意を得て、診療情報、心身の状況、生活歴などを文書で提供することで加算を算定できます。

5つの加算について解説しました。違いをしっかり理解し、加算を取りこぼさないように注意しましょう。

まとめ:退所時等相談援助加算を理解して活用しよう

退所時等相談援助加算について解説しました。退所後の生活にスムーズに移行するために、相談援助や情報連携は非常に重要な役割を果たします。類似した加算が複数あるため、それぞれの算定要件の違いや対象者の違いを十分理解し、活用していきましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについて、わかりやすくまとめました。
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