療養体制維持特別加算は、介護療養病床から介護老人保健施設へ転換したあとでも変わらない療養体制を維持している場合に算定できる加算です。2024年3月で介護療養型医療施設が廃止となったため、今まで以上に療養体制維持特別加算の重要性は高くなると思われます。
今回は、療養体制維持特別加算の概要だけでなく、対象サービスや算定要件までを詳しく解説します。ぜひ、最後までお読みください。
目次
介護のケアだけではなく、医療的なケアも受けることができる介護療養病床が転換し、介護老人保健施設になったあとでも転換前と変わらない療養体制を維持しているのを評価する加算のことを療養体制維持特別加算といいます。
療養体制維持特別加算が注目される理由として、2024年3月で介護療養型医療施設が廃止されたことがあります。介護療養型医療施設とは、慢性疾患を抱え、長期間の療養を必要とする方が利用する施設でしたが、医療保険と介護保険の役割分担を目指すなどを目的に廃止となりました。
この介護療養型医療施設の廃止をきっかけに、介護老人保健施設へ転換する施設もみられたのがきっかけで療養体制維持特別加算が注目されています。
療養体制維持特別加算の対象サービスについては、下記の通りです。
療養体制維持特別加算の取得単位数は、算定可能な事業所においてすべて同じ単位数で下記の通りです。
取得単位数 | |
療養体制維持特別加算(Ⅰ) | 27単位/日 |
療養体制維持特別加算(Ⅱ) | 57単位/日 |
療養体制維持特別加算は、(Ⅰ)(Ⅱ)にわかれています。ここではそれぞれの算定要件について詳しく説明します。
療養体制維持特別加算(Ⅰ)の算定要件を以下のように発表しています。
- 転換を行う直前に介護療養施設などの施設を有する病院であった介護老人保健施設
- 転換を行う直前に療養病床を有する病院であった介護老人保健施設
- 介護職員または介護職員の数のうち、介護職員の数が常勤換算方法で、短期入所療養介護の利用者の数および介護老人保健施設の入所者の数の合計数が4またはその端数を増すごとに1以上
療養体制維持特別加算(Ⅱ)の算定要件は、下記の通りです。
- 算定月の前3月間における入所者数等のうち、喀痰吸引または経管栄養が実施された者が20%以上
- 算定月の前3月間における入所者等のうち、著しい精神症状、周辺症状または重篤な身体疾患または日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、専門医療を必要とする認知症高齢者が50%以上
療養体制維持特別加算は、介護療養病床から介護老人保健施設へ転換したあとでも変わらない療養体制を維持している場合に算定が可能です。
施設と聞くと最期まで生活すると思っているかもしれませんが、介護老人保健施設は、介護を必要とする高齢者の自立を支援して、家庭への復帰を目指すための介護施設で、近年の介護報酬改定でもその傾向はより増しています。そのため、今後は、看護職員・介護職員などの従業員の確保だけでなく、介護療養型医療施設でおこなっていた、喀痰吸引・経管栄養や、重度認知症の対応などの充実さがより重要になるはずです。
ぜひ、今回をきっかけに療養体制維持特別加算を取得して、医療機関と変わらない療養体制を維持しましょう。