生活行為向上リハビリテーション実施加算は、日常生活動作や社会参加などの生活リハビリを実施することで、実際の生活場面での能力が向上した場合に算定できる加算をいいます。この記事では生活行為向上リハビリテーション加算の算定要件について詳しく解説をしていきます。
生活行為向上リハビリテーション実施加算を取得することで、事業所にとってどれだけ利益になるかの判断材料にもなります。ぜひ、参考にしてみてください。
目次
生活行為向上リハビリテーションは、加齢や廃用症候群により生活機能の一つである活動のリハビリテーションを支援する加算になります。加算される条件は生活行為向上機能が低下している高齢者や急性的に生活機能が低下した方に医師がリハビリテーションが必要と判断されることが一つの条件になります。
生活行為とは、排泄、入浴、調理、買物、趣味活動の行為を言います。医師がリハビリテーションの提供が必要と判断された場合は、起居や歩行、排泄、入浴などのADL、調理、買物、趣味活動のIADLなどの生活行為の内容が充実を目的とした計画書が作成され、実施されます。
利用者が望む具体的な生活行為の自立を目標に、心身機能・活動・参加に対して段階的にリハビリテーション実施計画が作られます。
生活行為向上リハビリテーション実施加算の対象事業所は以下の通りです。
生活行為向上リハビリテーション実施加算には5つの算定要件があります。以下で詳しく解説をしているので参考にしてみてください。
生活行為の内容の充実を図るために、専門的な知識を有する作業療法士を配置する必要があります。また、生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士、言語聴覚士の配置も同じように認可されています。
生活行為向上リハビリテーションの研修は、デイケア協会や全国老人保健施設協会でも受講可能です。対象となる方は通所リハビリで勤務する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士になりますが、通所リハビリの解説が予定されている病院や施設も可能とされている研修が多いです。
生活行為向上リハビリテーションは、生活行為向上リハビリテーション実施計画を作成することで、介入頻度・時間等生活行為の能力向上を目的とした計画的なリハビリが組まれます。
生活行為向上リハビリテーション実施計画の内容は以下の6つになります。
実施計画書は専門的な知識や経験のある作業療法士又は生活行為向上リハビリテーションに関する研修を受けた理学療法士、言語聴覚士が立案、作成します。
目標の達成期限の前1ヵ月以内には、リハビリテーション会議を開催し、生活行為向上リハビリテーション実施計画及び、それに基づき支援を提供します。リハビリテーションの成果、他のサービスへの移行に向けた支援計画を、利用者または家族、介護職員に説明する必要があります。
リハビリテーション会議とは、退院後間もない利用者の生活の不安に対して、健康状態や生活の見通し及び、計画を立てるものです。リハビリテーション会議に参加する構成員は利用者と介護者を基本とし、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他の職種で構成されます。
リハビリテーションマネジメント加算は訪問と通所の2種類の加算に分けられます。単位数や加算の種類について下記の通り解説をしていますので参考にしてください。
リハビリテーションマネジメント加算は、利用者に適したリハビリテーションの管理と、より質の高いサービス提供を目的とした創設された加算です。主なリハビリテーションマネジメント加算は2種類に分けられます。
訪問リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算の単位数
加算名 | 単位数 |
リハビリテーションマネジメント加算(イ) | 180 |
リハビリテーションマネジメント加算(ロ) | 213 |
医師が利用者または、その家族に説明した場合 | 270 |
通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算の単位数
加算名 | 同意月から6ヵ月以内の単位数 | 同意月から6ヵ月超の単位数 |
リハビリテーションマネジメント加算(イ) | 560 | 240 |
リハビリテーションマネジメント加算(ロ) | 593 | 273 |
リハビリテーションマネジメント加算(ハ) | 793 | 473 |
医師が利用者または、その家族に説明した場合 | 270 |
算定要件などの詳細については、以下の記事にまとめてありますので併せてご覧ください。
【2024年改定対応】リハビリテーションマネジメント加算とは?単位数や算定要件を徹底解説!
生活行為向上リハビリテーションの評価は理学療法士などが居宅での生活行為に関して評価をします。
生活行為向上リハビリテーション実施加算は、2024年の報酬改定にて単位数に変更がありました。以下では、改定後の単位や廃止された減算についても紹介します。
通所リハビリテーションでは、月に1,250単位が加算されます。
予防通所リハビリテーションでは、月に562単位が加算されます。
通所リハ・介護予防通所リハでは、当該加算によるリハビリテーションを終えた後に継続する場合、当該翌月から6ヵ月以内の間、所定単位数を15/100減算されていました。しかし、生活行為向上リハビリテーション実施加算の減算は2021年の改定で廃止されました。
生活行為向上リハビリテーション実施加算の届出には必要な届出書類があります。また、算定を受けるために確認が必要な流れについても解説をしていきます。
生活行為向上リハビリテーション実施加算の申請時の提出書類は以下になります。
以上の届出はリハビリテーションマネジメント加算をとっている前提での必要書類になります。
生活行為向上リハビリテーション実施加算の届出の流れは3STEPに分けられます。以下で詳しく解説をしているので、参考にしてみてください。
加算要件の基本は「サービスを提供している職員数」「利用者へのサービスの提供」になります。計画書の作成や、利用者への情報提供などが加算要件に含まれている場合があり、詳細はそれぞれによって異なります。加算の届出を提出した時点で加算要件を満たしているものとして扱われますので、加算申請先の各都道府県では内容の精査をおこなうことはありません。
書類に不備があったり、不正に介護報酬を受給してしまっている場合は、介護保険請求の時点で届出の修正や取り消し、もしくは返金をおこなわなければならない場合もあります。届出をおこなう前に、もう一度算定要件を満たしているかを確認することも必要です。
届出先は市町村区の福祉課や保険課など、管轄の市町村区により異なります。申請期限は加算を算定する月の前月末日まで、または前月15日までに届先が必要です。ただし、介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算については、加算算定月の前々月の末日までに提出する必要があります。
届出書類は、サービスの種別毎、市区町村毎、年度毎に書類の様式や提出物が異なります。基本的な提出書類は次の2点になります。
各都道府県や市町村区により提出する書類等が若干異なるため、各都道府県や市町村区のホームページを確認し、提出書類漏れがないように注意する必要があります。過不足なく届出をしたとしても、加算要件の根拠資料を更に求められるなど、事前にアナウンスされているもの以外の書類の提出も求められる場合があるので、注意が必要です。
生活行為向上リハビリテーションの算定率は非常に低い状態です。しかし、生活行為向上リハビリテーション実施加算は、事業所にとっても利用者にとっても互いに利益がある加算になります。他事業所でも中々おこなっているところもない為、加算がおこなわれていると自社のイメージアップにもつなげることができます。
安定した介護経営を実現させる為には生活行為向上リハビリテーション以外の知識も必要になりますので、新しい知識を学び続けることも大切です。