通所介護サービスの提供をおこなうことで、サービスの提供状況に応じ、さまざまな加算を算定可能です。しかし、サービスの提供状況によっては減算要件を満たしてしまい、得られる報酬額が減ってしまう可能性も考えられます。
本記事では、通所介護サービスの提供にあたって算定可能な加算および減算を一覧で紹介します。
目次
介護保険における加算とは、ある一定の要件を満たした場合、基本の単位数にプラスして報酬の算定をおこなうことを指します。
加算は国が進めていきたい方向や、均衡を保つためのもの、また通所介護事業所として備えるべき仕組みや制度を要件として創設され、反対に減算は仕組みや制度として無くしたい、評価できないと考えているものについて創設されています。
加算・減算の要件を知ることは、今後国が介護サービスをどのような方向に進めていきたいのかを知ることにも繋がるため、とても大切といえるでしょう。
通所介護サービスで算定できる加算は以下の通りです。
感染症又は災害の発生を理由として、減少月の利用延人員数が、減少月の前年度の1ヵ月当たりの平均利用延人員数から 5%以上減少している場合に、減少月の翌々月から3ヵ月以内まで、基本報酬の3%の加算を算定できます。
8時間以上9時間未満の通所介護の前後に日常生活上の世話を行う場合、通所介護サービスの提供時間とあわせた以下の時間区分ごとに、加算の算定が可能です。
時間区分 | 単位数 |
9時間以上10時間未満 | 50単位 |
10時間以上11時間未満 | 100単位 |
11時間以上12時間未満 | 150単位 |
12時間以上13時間未満 | 200単位 |
13時間以上14時間未満 | 250単位 |
以下の算定要件を満たす場合、生活相談員配置等加算として1日あたり13単位を算定可能です。
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算とは、厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えて、指定訪問介護を行った場合に算定できる加算です。
サービス提供1回につき、基本単位数の5%にあたる単位数が加算されます。
入浴介助加算とは、高齢者が入浴するための適切な設備があり、高齢者が安全に入浴するために必要な人員が備えてある、デイサービス事業所(通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護)を評価する加算です。
入浴介助加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
【2024年改定対応】入浴介助加算とは?単位数や算定要件について徹底解説!
中重度ケア体制加算は、中重度の要介護者を受け入れる体制を構築し、サービス提供を行った場合に算定できる加算です。
以下の算定要件を満たす場合、1日あたり45単位を算定できます。
生活機能向上連携加算とは、訪問介護事業所や通所介護事業所などにおいて、外部の医師やリハビリテーション専門職(理学療法士等)と連携してアセスメントを行い、介護計画を作成することで算定できる加算です。
生活機能向上連携加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
今さらきけない、生活機能向上連携加算とは?算定要件やポイントを解説。
通所介護における個別機能訓練加算とは、利用者の個別的なニーズに応じて、効果的な機能訓練を実施する事業所を評価する加算です。個別機能訓練加算を算定するためには、専門的な資格を保有した機能訓練指導員を配置し、計画的に個別機能訓練を実施しなければいけません。
個別機能訓練加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
【2024年改定対応】個別機能訓練加算とは?算定要件やⅠとⅡの違いについて解説
ADL維持等加算とは、2018年の介護報酬改定で新たに創設された「介護サービスの質を示すための評価加算」のことです。通所介護や地域密着型通所介護を利用している利用者の日常生活動作(ADL)の維持や改善の度合いが一定の水準を超えている事業所が取得できます。
ADL維持等加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
【2024年改定対応】ADL維持等加算とは?算定要件やADL評価法などについて詳しく解説!
認知症に関する研修を修了した職員を配置し、認知症の症状の進行の緩和につながるケアを提供することを評価する加算が認知症加算です。
認知症加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
【2024年改定対応】認知症加算とは?算定要件や報酬改定のポイントを詳しく紹介!
若年性認知症利用者受入加算とは、若年性認知症患者の利用者を受け入れ、以下の算定要件を満たした場合に、1日あたり60単位を算定できる加算です。
*¹:40歳以上65歳未満
栄養改善が必要な利用者に適切なサービス提供をおこなうことを目的に、以下の算定要件を満たした場合、栄養アセスメント加算として1ヵ月あたり50単位を算定可能です。
*¹:他の介護事業所、医療機関、介護保険施設、日本栄養士会や都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」。 ただし、介護保険施設については、常勤で1以上又は栄養マネジメント強化加算の算定要件の数を超えて管理栄養士を配置して いる施設に限る。
*²:口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)および栄養改善加算との併算定は不可
栄養改善加算は、低栄養状態またはそのおそれがある高齢者に向けて、低栄養状態の改善や心身の状態の維持・向上に資する取り組みを評価する加算項目です。
栄養改善加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
栄養改善加算とは?算定要件や算定の流れを詳しく紹介!
口腔・栄養スクリーニング加算とは、2021年3月に廃止された栄養スクリーニング加算に口腔の健康状態のチェックが要件として加わった加算です。
口腔・栄養スクリーニング加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
口腔・栄養スクリーニング加算とは?算定要件から加算算定の手順まで紹介!
口腔機能向上加算は、口腔機能が低下している、又は口腔機能が低下するおそれがある利用者に対して、口腔機能の改善に向けた取り組みを実施した事業所を評価する加算です。
口腔機能向上加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
口腔機能向上加算とは?算定要件や2024年報酬改定の影響について解説
科学的介護推進体制加算とは、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出とフィードバックの活用により、PDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図る取り組みを評価する加算です。2021年度の介護報酬改定にて、LIFEの導入と同時に創設されました。
科学的介護推進体制加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
【2024年改定対応】科学的介護推進体制加算(LIFE加算)とは?算定要件や注意点をわかりやすく解説
サービス提供体制強化加算は、介護福祉士など介護職員の資格の有無や勤続年数などをもとに、より質の高いサービスを提供する体制が整っている事業所を評価するために創設された加算です。
サービス提供体制強化加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
サービス提供体制強化加算とは?単位数や算定要件について徹底解説!
介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的に設けられた加算です。2023年度までは、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、2024年度より一本化され、改めて介護職員等処遇改善加算が創設されました。
介護職員等処遇改善加算については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
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通所介護サービスで減算となってしまうものは以下の通りです。
利用者の数が利用定員を超える場合、もしくは看護・介護職員の員数が基準に満たない場合、基本単位の30%に当たる減算となります。
高齢者虐待防止措置未実施減算は、利用者への虐待の発生や再発を防止するための措置が講じられていない場合に適用される減算です。
以下の対策などを講じていない場合、所定単位数×1%の減算となります。
業務継続計画未策定減算は、感染症や非常災害の発生時にむけた業務継続計画(BCP)の策定をおこなっていない場合に適用される減算です。所定単位数×1%の減算となります。
障害福祉サービスの指定を受けた事業所において、介護保険サービスを提供する際、介護保険の指定は受けているものの、介護保険の基準を満たしていない場合、共生型通所介護をおこなう場合の減算の対象となります。
減算の区分と単位数は以下の通りです。
区分 | 減算率 |
指定生活介護事業所が行う場合 | 所定単位数の7% |
指定自立訓練事業所が行う場合 | 所定単位数の5% |
指定児童発達支援事業所が行う場合 | 所定単位数の10% |
指定放課後等デイサービス事業所が行う場合 | 所定単位数の10% |
事業所と同一建物に居住する者又は同一建物から利用する者に通所介護を行う場合、1日あたり94単位の減算となります。
事業所が送迎を行わない場合、片道辺り47単位の減算となります。
加算は、一定の要件を満たすことによって報酬が得られるものです。運営指導時には要件を満たしているかの確認が行われます。
要件をしっかり守り、守ったことが分かるように書類に残す必要があります。