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栄養改善加算とは?算定要件や算定の流れを詳しく紹介!

2024-04-24

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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栄養改善加算は、低栄養状態またはそのおそれがある高齢者に向けて、低栄養状態の改善や心身の状態の維持・向上に資する取り組みを評価する加算項目です。近年の介護報酬改定では、この栄養改善に必要なサービスの提供を推進しており、今回の介護報酬改定でもこの傾向は変わりません。

今回は、栄養改善加算とは何か、算定要件から実際に算定するための流れまでを詳しく紹介します。今回の記事を読むことで栄養改善加算の内容を詳しく知ることができるはずです。ぜひ最後までお読みください。

栄養改善加算とは?

栄養改善サービスは、低栄養状態または低栄養状態のおそれのある利用者に対して、低栄養状態の改善や心身の状態の維持・向上に資する取り組みの実施を評価する加算です。

2021年度介護報酬改定にて、栄養改善が必要な利用者を的確に把握し適切なサービスにつなげていく観点から、単位数と算定要件が見直されましたが、この傾向は、2024年度の介護報酬改定でも変わりません。実際、2024年度の介護報酬改定は下記の4つのポイントで構成されました。

  1. 地域包括ケアシステムの深化・推進
  2. 自立支援・重度化防止に向けた対応
  3. 良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
  4. 制度の安定性・持続可能性の確保

この4つの項目で、「2.自立支援・重度化防止に向けた対応」が「高齢者の自立支援・重度化防止という制度の趣旨に沿い、多職種連携やデータの活用等を推進」となっており、詳細な内容は下記のように明記されています。

  • リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等
  • 自立支援・重度化防止に係る取組の推進
  • LIFEを活用した質の高い介護

このような改定の内容からも、今後も栄養は重要な項目の1つであることがわかるはずです。

栄養改善加算の対象と単位数・算定要件とは?

栄養改善加算の対象と単位数・算定要件は下記です。

栄養改善加算の対象介護サービス

栄養改善加算の算定が可能な対象介護サービスは下記です。

  • 通所介護
  • 通所リハビリテーション
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護
  • 介護予防通所リハビリテーション
  • 介護予防認知症対応型通所介護

栄養改善加算のサービス対象者

栄養改善加算を算定できる利用者は、栄養改善サービスの提供が必要と認められた下記のいずれかに該当する利用者です。

イ.BMIが18.5未満
ロ.1~6ヶ月間に3%以上の体重の減少が認められる又は6ヶ月間に2~3kgの体重減少がハ.ある(基本チェックリストのNo.11に該当)
二.血清アルブミン値が3.5g/dl以下
ホ.食事摂取量が不良(75%以下)

その他低栄養状態にある又はそのおそれが認められる者

参考:厚生労働省「栄養改善マニュアル(改訂版)」

また、低栄養に関連する問題として、口腔及び摂食・嚥下機能、生活機能の低下、褥瘡、食欲の低下、閉じこもり、認知症、うつの問題を有する利用者については、栄養改善加算の対象者となるか適宜確認することが求められています。

栄養改善加算の算定回数・単位数

栄養改善加算の単位数は全てのサービスで同じですが、算定回数は要介護度が要支援・要介護によって下記のように異なります。

要介護度介護サービス算定回数単位数
要介護通所介護原則3ヵ月以内の期間に限り月2回まで200単位
通所リハビリテーション
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
看護小規模多機能型居宅介護
要支援介護予防通所リハビリテーション原則3ヵ月以内の期間に限り月1回まで
介護予防認知症対応型通所介護

栄養改善加算の算定要件

栄養改善加算の算定要件は下記のとおりです。

  • 事業所内の従業者または外部との連携によって管理栄養士を1名以上配置している
  • サービス利用開始時より利用者の栄養状態を把握している
  • 管理栄養士等と共同して利用者ごとの摂食・嚥下機能、食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成している
  • 栄養ケア計画に従い、必要に応じて利用者の居宅を訪問して、管理栄養士等が栄養改善サービスを行っている
  • 利用者の栄養状態を定期的に記録している
  • 利用者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価している
  • 厚生労働大臣が定めている基準を満たした事業所である

栄養改善加算を算定するための流れ

栄養改善加算を算定するためには基本的に下記の手順で進めます。

1.栄養アセスメントをおこなう

利用者の栄養アセスメントをおこなうことで、どのようなリスクがあるのかを把握します。この栄養アセスメントは管理栄養士が中心となって、下記のような情報を記録しておきます。

  • 食事摂取状況
  • 食べ物の好き嫌い
  • 医療上の観点で食べてはいけないもの
  • 食形態
  • 体重変化
  • BMI
  • 血清アルブミン値

これらに加えて、利用者がどのような食事の仕方をしているのかをモニタリングすることも重要です。

2.栄養ケア計画書を作成する

利用者の栄養アセスメントをもとに、栄養ケア計画を作成します。計画書は管理栄養士が中心となり、看護師や介護士などと協力しながら下記の内容を中心に栄養上の問題点や今後の方向性について検討します。

  • 利用者の栄養状態の評価
  • 栄養に関するリスクの特定
  • 長期および短期の栄養ケア目標
  • 栄養ケアの実施計画
  • 栄養ケアの提供経過記録

栄養ケア目標を設定する場合は、利用者の希望を聴取したうえで内容を検討しましょう。

3.栄養改善サービスの実施

作成した栄養ケア計画書をもとに、利用者ごとに設定したサービスを実施します。このとき、栄養改善の取り組みをおこなってもらうために、利用者やその家族に対して栄養に関する相談や指導を合わせて行いましょう。

4.定期的な評価をおこなう

一度決めた計画を実施したら終わりではなく、栄養改善に向けたサービスの効果判定をするために、定期的な評価をおこないます。定期的な評価は、約3ヵ月ごとを目安に、栄養状態や身体機能などの変化に着目して、その内容をケアマネジャーや主治医に共有します。

再評価した結果、今度も改善が認められる場合は継続しますが、改善が難しい場合は、栄養アセスメントを再びおこない、利用者にとって最適な栄養改善サービスを検討します。

栄養改善加算に関するQ&A

ここでは、栄養改善加算に関するQ&Aをお伝えします。

栄養改善加算の対象者「食事摂取量が不良(75%以下)である者」とはどのような状態を指す?

食事摂取が不良である者とは、以下のような場合が考えられます。

  • 普段と比較し、食事摂取量が75%以下である場合
  • 1日の食事回数が2回以下であって、1回あたりの食事摂取量が普段より少ない場合

栄養改善加算の対象者「その他低栄養状態にあるまたはその恐れがあると認められる者」とはどのような状態を指す?

低栄養状態にある、またはその恐れがあると認められる者とは、下記のような場合が考えられます。

  • 医師が医学的な判断により、低栄養状態にあるまたはその恐れがあると認める場合
  • 上記で解説した、「栄養改善加算のサービス対象者」のイ~ニの項目に挙げられている基準を満たさない場合であっても、認定調査票の「嚥下」「食事摂取」「口腔清掃」「特別な医療について」などの項目や特記事項、主治医意見書などから低栄養状態にあるまたはそのおそれがあると、サービス担当者会議において認められる場合
  • 現状の食生活を続けた場合に、低栄養状態になる可能性が高いと判断される場合

栄養改善加算は、栄養アセスメント加算、口腔・栄養スクリーニング加算と同月に算定できる?

原則として、栄養改善加算は、栄養アセスメント加算、口腔・栄養スクリーニング加算と同月に算定できません。

ただし、栄養アセスメント加算に基づく栄養アセスメントまたは口腔・栄養スクリーニング加算に基づく栄養スクリーニングの結果、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供が必要と判断された場合は、栄養アセスメント加算、口腔・栄養スクリーニング加算の算定月でも栄養改善加算を算定できます。

栄養改善サービスの開始に、利用者またはその家族の同意は必要?

栄養改善サービスの開始には、利用者またはその家族の同意が必要です。同意の内容は、栄養改善サービスの開始などの際に、利用者またはその家族の同意を口頭で確認した場合には、栄養ケア計画などに係る記録に利用者又はその家族が同意した旨を記載すればよく、利用者又はその家族の自署又は押印は必須ではありません。

通所サービス利用者のうち、栄養改善加算と居宅療養管理指導を同時に算定することは可能?

通所サービスで設けている「栄養改善加算」は、低栄養状態の改善などを目的として栄養ケア計画に基づいて、利用者ごとに栄養食事相談などの栄養管理をおこなうものです。

一方、「居宅療養管理指導」は、管理栄養士が低栄養状態にある者や特別食を必要とする者に対して栄養ケア計画に基づき、利用者ごとに栄養食事相談などの栄養管理をおこなうものです。

そのため、栄養改善加算を算定した者に対して、低栄養状態を改善する等の観点で管理栄養士による居宅療養管理指導を行った場合、栄養管理の内容が重複するものと考えられるため、居宅療養管理指導は算定できません。

まとめ:栄養状態の評価を改善させ、利用者のQOLを向上させよう

栄養改善加算は、低栄養状態またはそのおそれがある高齢者を対象に、その栄養状態を改善して身体的・精神的健康を促進することを目的とした加算項目です。栄養状態の重要性は、介護報酬の改定を通じて何度も強調されており、その重要性は2024年度の介護報酬改定でも継続しています。

加算対象サービスは、通所介護・通所リハビリテーション・地域密着型通所介護など、さまざまな介護サービスが対象で、加算を取得するためには、管理栄養士の配置や利用者の栄養状態の把握・栄養ケア計画の作成・栄養改善サービスの実施、そして利用者の栄養状態の定期的な評価など必要です。

しかし、これらのプロセスを繰り返しおこなうことで、利用者一人ひとりのニーズに合わせた栄養ケアが提供されることで、QOLの向上が期待されるため、今回の改定をきっかけに加算の取得を検討しましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについて、わかりやすくまとめました。
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