本記事では、令和2年4月24日の介護保険最新情報に記載された『訪問介護における無資格者の派遣』について、詳しく解説いたします。
目次
常に人材不足が叫ばれている訪問介護事業者にとって、訪問介護において無資格者を派遣できるという通知、まさに神の手のように感じます。
〜無資格者が派遣可能となった根拠通知〜
介護保険最新情報のVol.823 令和2年4月 24 日の問3にて、高齢者の在宅生活を支える訪問介護に新型コロナウイルスの影響で人材を十分に確保できない場合に限り、訪問介護員の資格(初任者研修の修了)を持たない職員を派遣ができると明記された※介護経験者であることが条件
ところが、よくよく見てみると実際には何も緩和されていない措置であることがわかります。
この通知は現場目線で考えた時にいくつか落とし穴があるので、しっかりと内容を読み解いていきましょう。
この通知を読み解くと、無資格者の派遣には2つの着目しなければいけない点があります。
①人材を十分に確保できない状況を証する必要がある
コロナによる緩和措置の前から人材不足が叫ばれる介護業界の中で、人材を十分に確保できないとはどのような状態を想定しているのか。
②派遣可能な無資格者を選定する必要がある
無資格者の派遣を許す中で派遣できる人材の条件の設定があるということはどういうことか。また、実際に派遣した場合に緩和措置が終了したらどうなるのか。
この2点を読み解かなければ、たちまちこの通知を拡大解釈してしまうことになります。
まず、通知内には、無資格者を派遣してよいと認める条件として『通所介護等の利用が出来なくなった発熱等の症状のある利用者に対する訪問介護の提供増加や職員の発熱等により、人員基準上の必要な資格を持った人員が確保出来ない場合』と明記されています。
ポイントは、無資格者の派遣には【訪問介護の提供増加・職員の発熱などにより人員基準上の必要な資格を持った職員が確保できない】と書かれていることです。
つまり、人員基準を割ってしまう状況である場合であれば、無資格者を派遣してよいという解釈になります。
※根拠資料※
「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等 の臨時的な取扱いについて(第4報)」(令和2年3月6日付厚生労働省老 健局総務課認知症施策推進室ほか事務連絡)の問7
今回の通知で明記された派遣可能な無資格者の要件は、下記の2点です。
前者は、施設や病院などで介護や看護助手をしていた経験があると想定されるが、後者については見る人によって判断が分かれます。
このため、具体的にどのような人材を想定しているのかを7都道府県に確認してみたところ、全行政から
『原則は介護経験者であり、全くの未経験者は想定しておらず、総合事業の生活型特化型の資格を所持しているものなどが該当する』
との返答がありました。
つまり、人員基準を割ってしまった場合には
『生活特化型の資格保持者か介護従事経験者の派遣』
が可能であり
『学校が休業になっていて子供の面倒をみる人がいない』
『コロナに感染したくない』等
で休まざる得ない身体介護を行うヘルパーの変わりの目途はたたないということになります。
今現場では、人員基準を割っているから困っているわけでもなければ、身体介護を必要とするご利用者以上に生活援助を必要とするご利用者に困っているわけでもありません。
今現場で困っているのは、『マスク・ディスポ・防護服等の衛生用品が不足している』状況下で、『休みたいと言うヘルパーの代えがおらず、休ませてあげられない』ということです。
『感染が不安』『休みたい』と訴えるヘルパーに対して、
「マスクが十分じゃなくてごめんね。でもあなたが休むと代わりに行ける人が居ないの。曜日や時間は変えられるから、頑張って行ってもらえるかな?手洗いとうがいは徹底してね!」
と言って毎日ご利用者のお宅に向かってもらうしかないのが現実。
本当に現場の人材不足を補填する事を考えるのならば、
等、今直面している環境を含めた課題への支援と、長期的に見た課題への支援を同時に実施しなければいけないのかも知れません。
補填する内容など具体的な話が出てきましたら、また皆様に参考としていただけるように、まとめていきます。