サービス提供責任者は、訪問介護事業所において、利用者へのサービス提供を円滑に進めるための中心的な役割となり、介護現場の業務や、組織全体を管理することまで仕事内容は多岐にわたります。
そのため、サービス提供責任者として、管理部門だけで勤務するだけでなく、他業務と兼務している場合が多いですが、兼務するにあたって注意しなければいけない点がありますので今回は、サービス提供責任者を兼務するにあたって、担当や事業所による違いと、その注意点を解説します。
目次
サービス提供責任者の兼務は、職種・事業所によって兼務できるかは異なるため注意が必要です。
サービス提供責任者が兼務できる職種・事業所は以下の通りです。
- サービス提供責任者が勤務する訪問介護事業所の管理者
- 同一事業者が一体的に運営している随時対応訪問介護看護事業所の指定定期巡回業務、指定夜間対応型訪問介護事業所の職務
- 障害者総合支援法の居宅介護(居宅介護、同行援護、行動援護、重度訪問介護)および移動支援事業の指定を受けている場合のサービス提供責任者
一方で、以下の場合はサービス提供責任者との兼務はできません。
- 有料老人ホーム
- 指定居宅介護事業所
事業所によっては、有料老人ホームが訪問介護事業所を併設している場合もありますが、同一敷地内であってもサービス提供責任者の兼務はできないため注意が必要です。
訪問介護事業所におけるサービス提供責任者の配置基準は以下の通りです。
サービス提供責任者の配置については、指定(介護予防)訪問介護事業所ごとに「利用者の数が40人又はその端数を増すごとに1人以上の者を配置」することが必要
なお、サービス提供責任者の配置人数は、実際に働いている人数でなく、以下の常勤換算数を用いて計算します。
常勤換算数=全従業員の1ヵ月の稼働時間合計÷フルタイム1人あたりの1ヵ月の稼働時間
また、利用者の数値は、1ヵ月ごとではなく、3ヵ月間の平均値になる点も合わせて覚えておきましょう。
サービス提供責任者を兼務する場合は以下の内容には注意が必要です。
併設施設における他の職種と訪問介護事業所を兼務すると、どちらの施設でも非常勤職員扱いとなってしまいます。
その場合、訪問介護事業所の勤務時間が半数以上を占めていなければサービス提供責任者を兼務できないため、安易に兼務すると勤務時間が足りなくなる危険性があるので注意しましょう。
サービス提供責任者が他の業務を兼務する基本的な要件は、今回紹介した内容になりますが、都道府県や自治体によって多少要件が異なる場合があります。
そのため、最終的にサービス提供責任者を兼務することが問題ないかの詳細な内容は、各自治体に問い合わせるようにしましょう。
サービス提供責任者とよく似た言葉でサービス管理責任者がありますが、以下のように働く場所が異なります
サービス提供責任者は、訪問介護サービスを管理する職種の名前になるため、サービス提供責任者という名称の資格はありません。
ただ、サービス提供責任者として従事するには、厚生労働大臣から以下の資格要件が定められています。
- 社会福祉士や介護福祉士の養成施設1ヵ月以上、介護福祉士として必要な知識および技能を習得したもの
- 介護職員基礎研修課程、または1級課程を修了したもの
- 障害福祉の共生型訪問介護のサービス提供責任者
サービス提供責任者の仕事内容は、幅広い内容になっていますが、基本的には以下の通りです。
仕事内容 | 詳細 |
利用者と家族の窓口業務 | 訪問介護サービスの利用を検討している利用者や家族からの相談を受けて、サービスを利用するにあたって必要な情報の聴取や、利用の手続きを担当します。 |
サービス担当者会議への参加 | 利用者や家族、ヘルパーやケアマネジャーのように訪問介護にかかわる者が集まって話し合うサービス担当者会議に出席します。 |
訪問介護計画書の作成 | アセスメントで得た情報と、ケアマネジャーが作成したケアプランを参考として、訪問介護計画書を作成します。 |
ヘルパーの指導 | ヘルパーがより良いサービスを提供できるように指導するのもサービス提供責任者の重要な仕事です。 各利用者に対して、自分であればどのようなサービスをおこなうかを共有し、技術指導したり、ヘルパーの相談に乗ったりして日々の成長を促します。 |
モニタリング | 定期的に利用者の自宅を訪問して、現在の状況や、適切なサービスがおこなわれているかをチェック・評価します。 モニタリングの結果、利用者の状態やケア内容に変化があれば、訪問介護計画書を作り直します。 |
サービス提供責任者は、訪問介護における実務の技術を磨くだけでなく、調整力・指導力・利用者対応力など、今までとは異なる能力を幅広く身につけられる貴重な機会になります。
サービス提供責任者の経験を積むことで、管理職・専門職のように、介護業界でのキャリアアップに有効のため、ぜひ、今回の内容をきっかけにサービス提供責任者の取得を検討しましょう。