この記事では、サービス提供責任者についてご紹介していきます。
目次
サービス提供責任者とは、介護保険サービス・障害サービスで提供される事業所に所属している『訪問サービスを提供するにあたっての責任者』であり、資格名ではなく厚生省令の中で位置づけられた役職名です。サービス提供責任者、コーディネーター、サ責等と法人によって呼称が異なる場合が有りますが、正式名称は『サービス提供責任者』です。
主な業務内容は以下の通りです。
①介護支援専門員や相談支援事業所をはじめとする関係機関との連絡調整
②所属する介護職員の指導
③提供サービスの計画立案・実施管理
④介護サービス提供の根拠となる資料作成
⑤利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握する
⑥関係者に利用者の服薬状況、口腔機能その他の利用者の心身の状態及び生活の状況に係る必要な情報の提供を行う
⑦サービス担当者会議への出席等により、居宅介護支援事業者等と連携を図る
⑧他サービス内容の管理について必要な業務を実施する
ご利用者やその家族、ケアマネージャーや相談員、自社の介護職員等の間に立ち、関係者間の連携や調整を図ることが大きな役割となります。
また、ご利用者様が介護サービスを受けるにあたり、介護職員が実施するための個別の計画を策定しこれを実施するための指導を介護職員へ実施します。
必要な資格:介護福祉士・介護職員実務者研修・旧介護職員基礎研修修了者・旧訪問介護員養成研修1級(ヘルパー1級)相当資格(看護師・准看護師・保健師等)
受講期間:6か月以上
(介護職員初任者研修や、訪問介護員養成研修(ホームヘルパー研修)などをすでに修了している方は、既定の6か月よりも早く実務者研修を修了できる場合があります)
一般的に、実務者研修の講座は通学講座と通信講座(自宅学習)で構成されており、通学講座はスクールでの演習が中心となり、通信講座は自宅でレポート(課題)を作成し、添削指導・評価を受けます。スクールによっては修了認定試験を行うこともあります。
居宅系サービスで今注目を集めているのは、中重度のご利用者様に対して実施が必要とされる喀痰吸引や胃ろう(経管栄養)等の実施が出来る介護職員です。
中重度の介護状態となっても住み慣れた自宅で生活の継続ができるように支援ができる職員のニーズが高まっていますが、現在この研修受講修了者が少ないのが問題となっています。
サービス提供責任者の仕事は、前項にてご紹介した通り非常に多岐にわたります。ここでは直接介護業務が多いケース、少ないケースについてご紹介していきます。
8:50 出社 事務所に到着 制服に着替える
9:00 メールチェック、昨日やり残した電話連絡の実施
9:30 移動(合間に電話連絡)
10:00 1件目の介護サービス(掃除、調理)
11:00 移動(合間に電話連絡)
11:30 2件目の介護サービス(買い物、調理)
12:30 移動(合間に電話連絡)
13:00 事務所に到着 昼食
13:45 移動(合間に電話連絡)
14:00 担当者会議参加
15:00 移動
15:30 介護サービス(入浴介助)
16:30 移動
16:45 介護サービス(排泄介助、食事介助)
17:45 移動
18:00 事務所で事務作業
19:00 帰宅
8:50 出社 事務所に到着
9:00 メールチェック、昨日やり残した電話連絡の実施
9:30 訪問介護計画書の作成
10:30 移動
11:00 訪問介護計画書の説明、同意訪問・新任ヘルパーの同行研修
12:00 移動
12:30 事務所に到着 昼食
13:30 移動
13:45 新規契約・アセスメントの実施
14:00 担当者会議参加
15:00 移動
15:30 事務所に到着 給与計算・請求作業・電話連絡
17:30 移動
18:00 介護サービス(喀痰吸引・排泄介助・全身清拭)
19:00 直帰
介護労働安定センターにより実施された令和2年度 介護労働実態調査結果によると、サービス提供責任者の年収平均は以下の通りです。(賞与込み)
管理者と兼任することで、『管理者手当』がついたり等準備されている手当が有ります。
また、法人によって『処遇改善系の加算』を取得している場合と取得していない場合で給与差が出てきているというのが昨今の特徴でもあり、事業所の規模や行う業務によっては年収が1,000万円を超える方も居ますし、上記の平均に届かない事業所も存在します。
どのような働き方で、どのようなキャリアアップが行えるのかをしっかりと採用時に確認しましょう。
やりがいは、やはりご利用者様の『ありがとう』という感謝の言葉です。
認知症の方が私たちを笑顔にしてくれる事も有りますし、障害をお持ちの方が学校に通われる姿に同行し気付かされることも有ります。
こちらが学ぶことや笑顔にしてもらえることが沢山あります。
一方でよく、『サービス提供責任者の仕事は大変ですか?』と質問を頂きますが、『大変です』とお伝えしています。
ご利用者様の生活や、従業員の安全確保、関係者間がうまく連携できるような調整等を行う役割を担うわけですから、それは大変なお仕事です。
体力を使う毎日の中で、ご利用者様がご逝去されることも有りますので『私は何か役に立てただろうか?』と思い悩むことも有ります。
大切なのは、『一緒に悩みや楽しいことを共有できる仲間を増やすこと。』です。
業界ならではの経験や悩み、楽しいことが毎日起こりますので、これを共有できる仲間はとても大切です。
サービス提供責任者の仕事は、決して楽ではありません。そのかわり、ご利用者様やご家族からもらえる『ありがとう』の感謝の気持ちや、笑顔。訪問介護員が指導や研修を経て出来るようになった時の喜び。移動時間で見る沿道の花や新しいお店。
心がいっぱいいっぱいになる事は沢山ありますが、その分かけがえの無いものに毎日出会うことが出来ます。