本日は厚生省令にて定められている『運営基準』についての第2弾、第20条から30条までをご紹介して参ります!
目次
運営基準とは、厚生労働省が定めた『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準』の1部を指します。
◆指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日)(厚生省令第三十七号)
全15章有り、訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハ、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハ、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、販売について事業を運営するためのルールが書かれています。
居宅介護支援は、平成30年4月から、居宅介護支援事業所の指定権限が都道府県から所在地市町村へ移譲されたため、各市町村で運用のためのルールが定められています。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準に定められたルールを守らず事業を運用すれば『基準違反』として行政処分を受ける事もあります。
『人員、設備、運営』の大きく3つの柱で構成されていますが、運営基準が1番ボリュームが多く、1番違反の多い項目ですので『運営基準』という言葉を耳にする機会が多いかと思います。
省令のため、記載されている文章はなじみのない表現が使われていたり、細かい部分が分からず認識を間違えてしまうという事も多々発生します。
ここでは、そんな間違いの無いよう運営基準を読み解き解説をしてまいります。
第二章 第四節 運営に関する基準(第八条―第三十九条)
第八条から第三十九条までで構成され、運営規定に盛り込むべき内容から管理者、サービス提供責任者の責務、訪問介護事業所として行わなければいけない業務が定められています。
運営基準違反は重大な違反行為であり、違反すれば『指定取り消し』等の重大な処分が下ることもあります。
『知らなかった』『認識を間違えていた』という理由ではその処分を免れることはできません。
介護事業を運営する経営者はもちろん、管理者、サービス提供責任者の方はしっかりと頭に入れて運営しましょう。
・利用者負担として、1割、2割又は3割相当額の支払いを受けるものとする。
・訪問介護サービスの提供に要した費用について、利用者から支払いを受けたものについては、それぞれ個別の費用に区分した上で、領収書を交付しなければなりません。
利用者負担を免除することは、指定の取消等を直ちに検討すべきとされる重大な基準違反とされています。割引なども絶対にしてはいけません。
指定訪問介護事業で、サービスを提供するに当たり、利用者から1割、2割又は3割負担分以外に支払いを受けることができるものとして、通常の事業の実施地域以外の地域の居宅においてサービスを提供した場合の交通費があります。
領収書には、利用者の1割、2割又は3割負担分とその他費用の額を区分して記載する必要があります。その他費用の額についてはそれぞれ個別の費用ごとに区分して記載しなければなりません。また、領収書又は請求書にはサービスを提供した日や1割、2割又は3割負担の算出根拠である請求単位数等、利用者にとって支払う利用料の内訳がわかるようにしましょう。
償還払いを選択している利用者から費用の支払い(10 割全額)を受けた場合は、提供した訪問介護サービスの内容、費用の額その他利用者が保険給付を保険者に対して請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に交付しなければなりません。
サービスを提供するに当たって、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために、その目標を設定し、計画的に行わなければなりません。自らその提供する訪問介護サービスの質の評価を行い、常にその改善を図らなければなりません。
・訪問介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要な援助を行わなければなりません
・訪問介護サービスの提供に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨として、利用者又はその家族に対し、サービスの提供方法等について、理解しやすいように説明を行わなければなりません
・介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術をもって訪問介護サービスの提供を行わなければなりません
・常に利用者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、利用者又は家族に対し、適切な相談及び助言を行うこととされています
・サービス提供責任者は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて、指定訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービス内容等を記載した訪問介護計画を作成します
・訪問介護計画は、居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成しなければいけません
・サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成した際には、利用者又はその家族にその内容を説明し、利用者の同意を文書により得なければいけません
・サービス提供責任者は、決定した訪問介護計画を利用者に交付しましょう
・サービス提供責任者は、訪問介護計画作成後においても、計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて計画の変更を行わなければいけません
訪問介護計画には、必ず具体的なサービス内容を位置付け、当該サービスを行うのに要する標準的な時間を設定しましょう。訪問介護費は、訪問介護計画に明記された所要時間で算定します。
訪問介護員等に、その家族である利用者に対する訪問介護サービスの提供をさせてはなりません。
自治体によっては・同居している家族のほか、同居していない二親等以内の親族(血族か姻族かの区別は問いません。)へのサービス提供を禁止している場合もありますので、注意が必要です。
利用者が、次のいずれかに該当する場合は、遅滞なく、意見を付してその旨を市町村に通知しなければなりません。
① 正当な理由なしに訪問介護サービスの利用に関する指示に従わないことにより、要介護状態・要支援状態の程度を増進させたと認められるとき。
② 偽りその他不正の行為によって保険給付を受け、又は受けようとしたとき。
訪問介護員等は、訪問介護サービス提供時に利用者に病状の急変が生じた等の場合には、速やかに主治医への連絡を行う等の必要な措置を講じなくてはなりません。
緊急時の主治医等の連絡先を訪問介護員等が把握していることが必要です。
管理者は、従業者及び業務の管理を一元的に行わなければならず、従業者に対して運営に関する基準を遵守させるため、必要な指揮命令を行わなければなりません。
サービス提供責任者の業務は以下の通りで、複数所属している場合は業務を分担しても問題ありません。
1 訪問介護の利用申込み等の調整
利用者からの申込み受付、利用に係る契約及び契約更新。
2 利用者の状態の把握
定期訪問、担当の訪問介護員からの状況把握。
把握した利用者の状態等について、居宅介護支援事業者等に対する情報提供。(利用者の服薬状況、口腔機能その他の利用者の心身の状態及び生活の状況に係る必要な情報提供。)
【必要な情報の内容(例)】
・薬が大量に余っている又は複数回分の薬を一度に服用している
・薬の服用を拒絶している
・使いきらないうちに新たに薬が処方されている
・口臭や口腔内出血がある
・体重の増減が推測される見た目の変化がある
・食事量や食事回数に変化がある
・下痢や便秘が続いている
・皮膚が乾燥していたり湿疹等がある
・リハビリテーションの提供が必要と思われる状態にあるにも関わらず提供されていない
3 居宅介護支援事業者等との連携
サービス担当者会議への参加、介護支援専門員等への報告、連絡調整。
4 利用者の状況についての情報伝達
訪問介護員等への援助内容等の指示をするとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。
5 訪問介護員等の業務の実施状況の把握
訪問介護員等からの聴き取り、サービス提供記録の確認。
6 訪問介護員等の業務の管理
訪問介護員等の能力、希望を踏まえた業務管理
7 訪問介護員等への指導
訪問介護員等に対する研修の開催(新任研修、テーマ別研修)、外部研修への参加。
訪問介護員等に対する業務指導(介護技術、困難事例へのアドバイス等)、新任訪問介護員等との同行訪問。
8 訪問介護計画の作成
ケアプランの理解(介護支援専門員との調整)、利用者宅への訪問、アセスメント、訪問介護計画の作成。訪問介護計画書の説明、同意、交付
本日は、訪問介護事業を運営するにあたって必要不可欠な『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準』の内、『運営基準』と呼ばれる第四節 運営に関する基準(第八条―第三十九条)について第20条から28条までご紹介して参りました!
次回は、引き続き同省令の第29条から解説して参ります!