訪問介護のモニタリングとは、利用者や利用者の家族の変化や、提供しているサービスが適正かどうかチェックする行為です。
モニタリングをして現在の状況を把握することで、今後の支援に活かすことができます。
この記事では、訪問介護のモニタリングの目的やポイントなどをご紹介します。
目次
訪問介護におけるモニタリングとは、計画通りにサービスが提供されているか、現在の利用者の状況に適したサービスが行われているかどうかを評価をすることです。
サービスを開始してから利用者や家族の生活や状況がどのように変化したのか把握します。
モニタリングをすることで、
・サービスの実施状況
・利用者や家族の満足度
・長期・短期目標の達成状況
・今後の方針
・計画の見直しの有無など
以上のような事柄が把握できます。
これらをもとに、現在のサービスが効果的なのかを判断し、計画の見直しが必要かどうか検討します。
もし現状と計画にズレがあるようなら、ケアマネジャーに報告をしてケアプランの見直しを検討してもらいましょう。
訪問介護におけるモニタリングには6つのポイントがあります。
ポイントを押さえてモニタリングをすることで、利用者や家族の状態が把握でき、今後のサービスに活かせるとともに実地指導の対策にもなるでしょう。
訪問介護では、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに訪問介護計画書を作成し、サービスをおこないます。
計画書と異なるサービスが行われていた場合、計画書が作成された時期と比較して、現在の利用者や家族の状況が変わっていることが考えられます。
例えば、ケアプランには入浴介助とおむつ交換しか記載されていないのに、実際は食事介助もしていたなどです。
計画書作成時には自分で食事ができていたかもしれませんが、ADLの低下により支援が必要な状況になっているのかもしれません。
そのような時には、ケアマネジャーに状況を報告する必要があります。
モニタリングはサービス提供責任者が行いますが、日頃サービスを提供しているのはヘルパーの場合がほとんどです。
本人や家族からの話しのみの場合、実際の生活の様子を聞き出せないことがあります。
これでは本当の評価はできません。
日頃の情報をしっかりと把握するためにも、実際にサービスを提供しているヘルパーから情報をしっかりとヒヤリングするようにしましょう。
電話だけでなく、実際に自宅を訪問して面談しましょう。
電話では声の様子はわかりますが、表情は見えません。
前回のモニタリング時と比べて自宅内の様子が変わっているかもしれません。
事前に担当のヘルパーから日頃の情報を聞き、その上で実際に自分の目でみて状況を確認しましょう。
モニタリングで訪問をすると、直接利用者や家族に会えます。
健康状態や体の動き、生活状況などを確認することが可能です。
また、利用者の健康状態やADLの変化により、家族の希望も変わってくるでしょう。
ケアプラン変更の希望などがあれば、ケアマネジャーに相談することも必要です。
自宅を訪問して直接話すことにより、誰にも言えなかったことを伝えてくれる可能性もあります。
利用者や家族のニーズとかけ離れたサービスをしているなら、内容の変更を検討することも必要でしょう。
モニタリングでは、設定された目標が達成できたのかできなかったのかをしっかりと評価する必要があります。
達成できなかったなら、もう少し手の届くレベルの現実的な目標に修正する必要があります。
モニタリングを実施した場合にはモニタリングシートを作成しましょう。
モニタリングをすることは介護保険法で義務付けられていますが、実際に文書に残しておかないと実施したことにはなりません。
モニタリングを実施しているかは、実地指導の対象となるので必ず作成してください。
モニタリングシートとは
ケアプランや訪問介護計画書に基づいたサービスが行われているかを評価するのがモニタリングです。
モニタリングシートには、モニタリング時に聞くことが記載されています。
計画にそって実施されているか、サービスの提供状況、利用者の心身の変化などの項目があります。
シートに沿って聞いていくことで過不足なくモニタリングができるはずです。
モニタリングシートについて、作成するタイミングや、作成する頻度は決まっていません。
ケアマネジャーが作成するケアプランの長期・短期目標の有効期間内に、最低1回は実施しましょう。
モニタリングをした後、聞き取りした情報を忘れないうちに、モニタリングシートに記入します。
日頃サービスを提供しているヘルパーからの情報も記入すると、より充実したモニタリングシートになるでしょう。
モニタリングシートには書式の指定はありませんので、必要な項目が記載してあれば事業所独自で作成することが可能です。
モニタリングシートに記入するべき項目として、
・利用者名
・訪問担当職員
・訪問日時
・サービス内容の実施状況の評価
・利用者や家族の満足度/状況変化の評価
・長期、短期目標の達成状況の評価
・現状のサービス内容がケアプランに沿っているかの評価
上記のような内容を記入していきます。
訪問介護におけるモニタリングは、訪問以外の方法で実施してもよいとされていますので、例えば電話や担当のホームヘルパーに最近の状況等を聞いても良いでしょう。
利用者や家族の状況については詳しく記入します。
前回のモニタリングと比べてできるようになったこと、できなくなったことを具体的に書くとケアマネジャーに状況が伝わりやすくなるでしょう。
短期目標が達成できなかった場合はケアプランの見直しも考えられるため、対策について備考欄に記入しておく必要があるでしょう。
モニタリング訪問記録票
記入:( )年( )月( )日 :
利用者名
ご住所
訪問日時
年 月 日 : ~ :
面接者
(続柄)
(続柄)
訪問担当職員
訪問理由
□定期訪問 □定期訪問以外(↓具体的に記入)
利用者の状況変化
□あり(↓具体的に記入) □なし □その他( )
利用者本人・家族等の状況(変化・特記事項など)
利用者の満足度
□大いに満足 □概ね満足 □やや不満 □大いに不満 □その他( )
家族の満足度
□大いに満足 □概ね満足 □やや不満 □大いに不満 □その他( )
サービス内容の問題
□あり □なし □その他( )
訪問介護員の技術等の問題
□あり □なし □その他( )
満足度・サービス内容・訪問介護員に対する利用者本人・家族の意見等
訪問介護計画見直し
□不要 □必要 □その他( )
(現在の訪問介護計画の作成・更新年月日: 年 月 日)
事業所内カンファレンス開催
□不要 □必要 □その他( )
見直し、検討内容、今後の方針
居宅介護支援事業所へ連絡すべき特記事項
引用:全国ホームヘルパー協議会
モニタリングシートの保管期間は、介護保険のサービスが終了してから2年間と厚生労働省令で決められています。
国が定めた期間ですが、地方自治体によってさらに長い5年間の保存期間を設けていることもあるので、確認が必要となります。
参考:厚生労働省
実地指導における指摘事項として以下の事項があります。
・モニタリングの結果を利用者に説明していない
モニタリングを行いモニタリングシートに記載をしたら、利用者や家族に結果を説明しなければなりません。
・モニタリングが適正な時期に作成されていない
変更申請や更新申請、サービス内容の変更などにより、状況変化が有った場合はこのことがモニタリングに反映されることとなります。
利用者や家族の状態が変わっていなくても、ケアプランが変更になったら、状況変化がないかを確認し、モニタリングをする可能性もがあります。
訪問介護におけるモニタリングについてよくある質問をまとめました。
訪問介護におけるモニタリングは、介護保険法の運営基準において義務付けられています。
サービス提供責任者が作成した訪問介護計画書に沿ったサービスが提供されているか、確認・評価をしていきます。
適切な時期にモニタリングがされていない場合は、実地指導で指導対象になるので、注意しましょう。
訪問介護のモニタリングはサービス提供責任者が行います。
利用者や家族から、最近の状況や様子、サービスの利用状況などをヒヤリングします。
会話の内容やその場の雰囲気、表情などサービス提供責任者が聞き取っているため、そのままモニタリングシートに記載するのがベストでしょう。
訪問介護においてのモニタリングは毎月行う必要はありません。
訪問介護計画の実施状況を確認するため、すくなくとも計画期間の内に1回以上行う事が望ましいとされています。
必要と感じれば、頻度を増やしても問題ありません。
この記事では、訪問介護のモニタリングについて解説しました。
適切な介護サービスを行うためには、常に利用者や家族の声を聞くことが必要となります。
定期的なモニタリングをしてニーズをくみ取り、今後のサービスに活かしていきましょう。