これまで実地指導と呼ばれていた行政が行う指導が、令和4年度から『運営指導』という名前に名称変更されました。
関連通知はこちらから 厚労省発介護保険最新情報:
Vol.1061介護保険施設等の指導監督について(通知)の送付について
Vol.1062介護保険施設等運営指導マニュアルについて(通知)の送付について
このシリーズの記事では、全国の訪問介護における令和4年度の運営指導の実事例について自治体別にご紹介させて頂きます。
運営指導は令和4年度から開始されているもので、令和3年度までは『実地指導』と呼ばれていたものです。
厚生労働省:
今年度行われる指導の内容は以下2点の通りです。
介護報酬請求の内容、制度改正内容及び指導事例等に基づく指導内容について、年1回以上、一定の場所に集めて講習等の方法により行われる指導(令和4年よりオンライン・動画配信も可能)
大阪市の集団指導掲載先はこちらです:令和4年度 大阪市介護保険事業所集団指導について
運営指導は次内容について、居住系事業所は3年に1回、その他事業所は6年に1回以上の頻度で原則、実地に行われる指導。
1:介護サービスの実施状況指導個別サービスの質に関する指導
2:最低基準等運営体制指導(オンライン可能)
3:報酬請求指導(オンライン可能)
大阪市における運営指導(実地指導)の重点指導事項は以下の通りです。
自己点検表をもとにヒアリング等の手法で各種基準が遵守されているか確認が入ります。各種基準を知っているか、また、遵守出来ていることが書面をもって確認できるかという事がポイントです。
令和3年度の介護報酬改定事項の進捗確認や、会議等の取り組みについて確認が入っています。
平成 17 年 11 月 1 日に国会において「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下、「高齢者虐待防止法」といいます。)が議員立法で可決、成立し、平成 18 年 4 月 1 日から施行されることになりました。
この法律では、直接的に高齢者の虐待を禁ずることはもちろん、介護従事者の私たちに発見した場合の市町村への通報義務を定めたり、通報を受けた市町村の対応等を定めています。
◆厚生労働省 参考資料掲載先:高齢者虐待防止法
同様の法律は、高齢者だけでなく障がい者にも定められています。
◆厚生労働省 参考資料掲載先:障害者虐待防止法
今回の介護報酬改定では、これら虐待に対する取り組みを今までより強化するため、介護事業所に対して運営基準に項目を追加することで更に防止に取り組む体制を作ることを定めています。
居宅介護支援事業所だけでなく、訪問介護においてもアセスメント⇒計画作成⇒モニタリング(評価)という流れが日付を追って確認できるかが確認されます。
事故・苦情の行政に報告すべき事案が報告されているか、またどんなに小さな事故でも記録を残しているかが確認されます。
事故・苦情だけでなく、ヒヤリハットや事例等をもとに訪問介護の提供の質向上について話し合いが開催される等、より良いサービスを提供していく取り組みが行われているかの確認が入ります。
加算については要件を満たしている事が書面をもって確認されているか、減算については行うべき減算があれば行われているか等、介護報酬算定が適切に行われているかの確認が入ります。
適切な運営が行われていること、適切な算定が出来ている事が書面で確認できるかの確認が入ります。
令和3年度の介護報酬改定事項の進捗状況について確認が入ります。
『管理者が従業者及び業務の管理を⾏えていない。』
『サービス提供責任者が訪問介護員の業務の実施状況を把握していない。』
サービス提供責任者は、作成した訪問介護計画に基づき、訪問介護員が適正にサービスを提
供しているかを把握しなければならず、管理者についても同様に、訪問介護員の業務実施状況を把握しなければいけません。
『通院介助を⾏った場合のサービス提供記録の記載内容が不⼗分』
通院介助を⾏った場合のサービス提供記録の作成にあたっては、通院介助としての全
体のサービス提供時間を記載するとともに、診察や処置時間、単なる待ち時間(公共
交通機関等による移動時間を含む)等、訪問介護サービスとして認められない時間を
明記し、介護報酬の算定の根拠時間を明確にしなければいけないとされています。
『感染症や非常災害の発⽣時に業務継続、早期で業務再開を図るための計画が作成されていなかった。』
業務継続計画について必要な研修及び訓練が実施されていなかったため実施することと言った指導が増えています。
訪問介護においては令和6年まで努力義務とされていますが、進捗状況について確認がある様子です。
『併設事業所・施設と兼務している職員の訪問介護で働いた時間とその他の時間が明確に分かれていない』
訪問介護のみで常勤換算2.5以上の確保が必要であり、これを満たした根拠として出勤簿等の確認が入りますが、この確認が出来ないといけません。
『ハラスメント対策を講じていない』
令和3年度の介護報酬改定により、職場において⾏われるハラスメントにより従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じることとされています。
・職場において⾏われる性的な⾔動⼜は優越的な関係を背景とした⾔動であって業務上必要かつ相当な範
囲を超えたものにより従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置
を講じること。
・事業主講ずべき措置の具体的内容
a 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
b 相談(苦情を含む)に応じ適切に対応するために必要な体制の整備
・事業主が講じることが望ましい取組について
① 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ② 被害者への配慮のための取組
③ 被害防止のための取組
【参考】厚⽣労働省のページ(介護現場におけるハラスメント対策):介護現場におけるハラスメント対策
通知には多くの場合3時間で実施される旨の案内が有る様子ですが、併設事業所、併設事業は同日に実施されています。
また、委託業者と市の指導で時間が異なっている事にも注意が必要で、
傾向は?令和3年度の改定事項に対する進捗確認が多く、運営体制の確認や、法令に関する指導周知を目的としている印象です。
また、介護報酬算定部分に疑義があれば詳細の確認が入り、従来通り算定誤りであれば返還を求められる指導が入ることには変わり有りませんので注意が必要です。
本日は全国実地指導情報の内、大阪市についてご紹介をさせて頂きました。
大阪市においては今年度委託業者を活用しながら運営指導の効率化を図っている様子です。
令和3年度の報酬改定事項の周知徹底や、適正な介護報酬算定等、事業所を運営するにあたって知らなければいけないことを丁寧に教えてくださる印象ですので、不明な点はしっかりと確認できるよう質問したいことがあれば積極的に聞くようにしましょう。