この記事では、令和4年3月31日に通知された、介護保険施設等運営指導マニュアルについてご紹介してまいります。
目次
令和4年3月31日に、居宅サービス等に関するサービスの質の確保及び保険給付の適正化を図ることを目的として通知されました。
介護保険最新情報:Vol.1061(介護保険施設等の指導監督について(通知)の送付について)
実地指導が運営指導に名称変更し、1部指導をオンライン上で実施することは令和3年3月7日に開催された全国課長会議の中で話がありました。
今回の通知は、この時の会議を踏まえて詳細が決定され示された形となります。
介護保険最新情報のvol.1061~vol1064が指導に関する通知となっていますので、確認を行うようにしましょう。
個別サービスの質(施設・設備や利用者等に対するサービスの提供状況を含む)に関する指導
確認書類
〇虐待、身体拘束の有無 〇設備点検等
〇ケアマネジメント一連の書類(アセスメント、計画書、モニタリング等)
ヒアリング事例
①身体拘束等が行われていないか、自由や行動が制限されていないかの確認
『利用者は日々どのように過ごしていますか?希望をどのように尊重していますか?』
②アセスメント実施が適切に行われているかの確認
『アセスメントはどのように行っていますか。どのような時に行っていますか?』
③目標達成の評価やモニタリング実施についての確認
『サービス計画にある目標の達成状況を、どのように確認していますか』
④適切なケアマネジメントか
『計画通りにサービスが提供できない場合どうしていますか?』
介護保険施設等がそれぞれのサービスを行う上で、実際にどのような体制を構築しているかという観点から確認し必要な指導を行うもの
ヒアリング事項
①兼務状況の確認(兼務できない職種が兼務していないか、配置基準を満たしているか等)
『職員の中で、法人の他の部署と兼務している方はいますか』
②運営実態が運営基準内に規程する内容、運営規程に規程する内容通りか
『苦情をどのように受付けていますか』
③秘密保持について
『秘密保持について、どのような形で誓約をさせていますか。』
各サービスがそれぞれの報酬基準に基づき適正に介護報酬の請求が行われるよう介護保険施設等を指導、支援するもの
①基本報酬確認
基本報酬の請求の確認のポイントは、報酬基準に規定する基本単位数に基づくサービスが実際に行われているかどうかという点です。
〇架空請求:サービスが全く行われていないにもかかわらず報酬請求を行うこと
〇付増請求:本来請求するべき基本単位数ではなく、それより上位の基本単位数で請求すること
運営指導でこのような事例が発見された場合は、「偽りその他不正な行為」に該当する可能性があるとし、直ちに監査に切り替えてこれに該当するのか又は解釈誤り等や極めて単純な事務的な誤りであるのか事実関係を確認する必要がある。
②加算・減算確認
報酬基準で定めている算定要件を満たしているかどうかについて確認する
解釈誤り等や極めて単純な事務的な誤りである場合以外は、
①基本報酬同様に、架空請求と同等の不正請求と認めざるを得ない場合があります。このような場合もやはり監査を実施し事実関係を把握した上での判断が必要。
(1)所要時間の短縮等
運営指導の所要時間については、確認項目を踏まえることで、一の介護保険施設等当たりの所要時間をできる限り短縮し、介護保険施設等と自治体双方の負担を軽減し、運営指導の頻度向上を図る。
(2) 同一所在地等の運営指導の同時実施
同一所在地や近隣に所在する介護保険施設等に対する運営指導については、できるだけ同日又は連続した日程で行うなどにより効率化を図る。
(3)関連する法律に基づく監査の同時実施
老人福祉法等介護保険法に関連する法律に基づく監査との合同実施については、介護保険施設等の状況も踏まえた上で、自治体の担当部門間で調整を行い、同日又は連続した日程で行うことを一層推進する。
(4)運営指導で準備する書類等
運営指導において準備する文書は、原則として、前年度から直近の実績に係るものとし、介護保険施設等に対して運営指導の事前又は当日に提出を求める資料及び書類の写等については1部とし、自治体が既に保有している文書(新規指定時、指定更新時及び変更時に提出されているもの等)については再提出を求めない。
また、介護保険施設等において作成、保存等が行われている各種書面について、当該書面に代えて電磁的記録により管理されている場合は、ディスプレイ上で内容を確認することとし、別途、印刷した書類等の準備や提出は求めない。
(5) 利用者等の記録等の確認
利用者等へのサービスの質を確認するためにその記録等を確認する場合は、特に必要と判断する場合を除き、対象は原則として3名以内とする。
ただし、居宅介護支援事業所については、原則として介護支援専門員1人あたり 1 名~2名の利用者についてその記録等を確認する。
(6)事務受託法人等の活用
実施体制等により自治体での指導が困難な場合は、機関等の共同設置を行うなど、複数の市町村と合同で実施すること等について検討すること。(市町村が機関に委託して指導を実施する)
文書削減の一環としてスタートしている実地指導の改定ですが、今回通知が出されるまでは『実地指導が全部オンラインに変更になる!』等と噂されていました。
本当に気を付けなければいけないのは、『文書削減が前提の施策であるということ』です。
今回の改定ポイントは
①実地指導時には訪問の上『パソコン』を使用して書類の確認が入る
②今までコロナで『延期』『中止』となっていたものが今後は予定通り実施される
③指導、監査のメリハリがつく!監査件数や過誤調整・返金も増える?
以上の3点です!