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自治体の担当職員が事前に通知の上事業所へ出向き、事業運営の適正化と透明性の確保、利用者保護及び利用者の視点に立ったサービス等の提供並びに質の向上、利用者の人権の擁護、虐待の防止等のための体制整備を図ることに主眼を置いて6年に1回の頻度で国が自治体に対し実施を推奨しているものです。
実地指導と実地検査は同じもので、自治体により呼び名が異なります。
集団指導
指導の対象となる介護サービス事業者等を、必要な指導の内容に応じ、一定の場所に集めて講習等の方式により行うものです。
書面指導
介護サービス事業所等が書面を提出し、これをもとに自治体が指導を行うものです。コロナ禍においては自治体に訪問の制限がかかったこともあり、1部地域において頻回に実施されています。
実地指導
指導の対象となる介護サービス事業者等の事業所において実施されるものです。
実地指導は、自治体が事業所に対しサービスの質の向上を目的とした『指導』であるのに対し、
監査は、自治体が事業所に対しある情報・事案をもとにした書類の提出や出頭、事業所への立ち入りにより行う『検査』です。
実地指導が事業所の『質の向上』を目的としているのに対し、監査は情報や事案をもとにした『事実確認』を目的としているという大きな違いが存在します。
指定取り消し:介護サービス事業所としての指定を取り消され、処分日以降、当該事業所の全ての介護報酬が請求できなくなります。また、指定取り消しを受けた場合法人が運営する他の介護サービス事業所についても、指定の更新が出来なくなる場合があります。
全部効力停止:指定された期間について、全ての利用者の介護報酬を請求できなくなります。
一部効力停止:指定された期間について、新規の利用者の受け入れができなくなったり、介護報酬を請求できる上限が減額されたりします。
改善命令:改善勧告に従わなか つた場合に、命令書で勧告内容に対応するよう命令し、その内容が公示されます。
改善勧告:現在基準を満たしていない事柄について、期限を決めて文書で基準違反の内容を勧告し、違反内容に対する改善策の報告を求められます。
※全部効力停止、一部効力停止の期間は、事案ごとに自治体担当者が決定します。1カ月、3か月、6か月という期間設定が多いようです。
実地指導からその完了までの大まかな流れは以下の通りです。
①実地指導の通知
概ね1カ月前に電話にて連絡があり、その後書面にて通知が届く場合と、電話が無く突然書類が届く場合があります。また、事故や苦情が発端であり、自治体が必要と認めた場合は即日に書面を持参して実施されることもあります。
通知の到着時期については、自治体によって3か月前~2週間前と幅があるのが実態です。
②事前資料の提出
通知書面の中に、実地指導をむかえる前までに提出を求められる書類が有ります。提出が求められる書類は、重要事項説明書や計画書等、運営基準を満たしているかということが確認できる書類です。
③実地指導当日
通知に記載のある日時に自治体担当者が来訪し書類を確認します。当日準備すべき書類は、通知の中の案内に記載がされています。
④口頭指導及び改善指示
実地指導当日に確認された軽微な指摘事項は『口頭指導』と呼ばれ、口頭指導を受けた後即日改善を実施する必要があります。
⑤書面指導及び改善指示
実地指導後1か月程度で、結果と共に改善事項がある場合は改善指示書が送付されてきます。
⑥改善報告書及び改善根拠資料の提出
改善指示書に記載のある事項は速やかに改善が求められ、その改善が分かる書類と共に改善したことを自治体へ報告しなければなりません。
⑦自治体での受領確認にて完了
通知から完了までの期間は概ね2か月~3か月間となっており、実地指導当日が終わった後も適正な運営を続け、改善報告書の提出を行わなければいけません。
⑧今後の流れの説明
1か月から2か月程度を目安に文書にて実地指導(実地検査)の結果が届く旨の説明を受けます。
自治体によっては文書での指摘事項が無い場合、何の文書も届かない場合もありますので、当日の担当者に確認をしましょう。
⑨完了
文書での指摘事項がある場合は、その改善報告書の提出をもって完了となります。通知の到着から改善報告書の提出まで、4カ月~2.5カ月程度の時間を要することになります。
実地指導(実地検査)当日は、主に以下の様な順で進んでいきます。
①挨拶
自治体の担当者が来訪し、当日の流れを説明します。事前の通知で来訪者の人数は示されることもありますが、2名~4名程度で来ることが多いです。
②書類準備確認
事前に届いている通知に、当日の準備書類が示されています。この書類が有るかの確認が入り、準備が出来ていなければ準備をするよう指示があります。
③自治体による書類チェック
事前に届いている通知にある書類のチェックが有ります。運営基準と介護報酬算定に担当を分けて確認が実施されます。
運営基準:人員基準関係書類、運営基準関係書類
介護報酬算定:介護計画書、介護記録、加算要件の満たしたことが分かる書類
④自治体による担当者へのヒアリング
書類チェックの結果をもとに、担当職員へヒアリングが入ります。
主に管理者が応対を求められ、運営基準をはじめとする各種基準を理解しているか、介護計画、介護記録のチェックでの不明点が確認されます。
⑥とりまとめ・結果公表
書類チェック及び、ヒアリングの結果をもとに、実地指導(実地検査)の結果が取りまとめられます。
取りまとめの結果、実地指導(実地検査)の結果が発表されます。その結果、口頭指導と呼ばれる助言を含めた改善指示と、文書で指摘すべき指導事項に分かれて指導を受ける事になり、文書指導は改善したことが分かる結果をもって文書にて改善の報告を行う事となります。
⑦今後の流れの説明
1か月から2か月程度を目安に文書にて実地指導(実地検査)の結果が届く旨の説明を受けます。
自治体によっては文書での指摘事項が無い場合、何の文書も届かない場合もありますので、当日の担当者に確認をしましょう。
⑧完了
文書での指摘事項がある場合は、その改善報告書の提出をもって完了となります。
①基本方針
パンフレット、運営規定など
②人員基準
出勤簿・勤務体制一覧表等、従業員の資格証、雇用契約書・辞令等、健康診断書、個人情報誓約書、社員証等
③設備基準
平面図、設備・備品台帳等、手指洗浄設備、マスク・ディスポ等の衛生用品(目視)、面接ブース(目視)、鍵付き書庫(目視)等
④運営基準
アセスメント、訪問介護計画書、モニタリング、サービス利用票、サービス担当者会議の要点(照会内容)職場内研修等の実施記録・参加表、指定申請書及び変更届出書の控え、就業規則、業務マニュアル、BCP計画、サービス提供票・実績、介護給付費明細書、請求書、領収書等
令和4年2月現在、実地指導については1部をオンラインで実施することを認めていくという審議が進み、新型コロナウイルスで国が指定した頻度で実施できていないことが問題視されています。
また、実地指導の頻度は下がっていても、指定取り消しなどの処分に至る監査ついては、新型コロナウイルスに関係なく実施されているのが現状です。
介護事業・障害福祉事業を営む私たちにとって、法令・省令・条例に定められた守るべきルールを正しく認識し、これを遵守できる業務運用を行っていかなければなりません。