本記事では、実地指導における
・体制要件別の指摘事項例
・特定事業所加算に関する注意点
について解説します。
目次
実地指導とは、自治体の担当職員が事前に通知の上事業所へ出向き
・事業運営の適正化と透明性の確保
・利用者保護及び利用者の視点に立ったサービス等の提供並びに質の向上
・利用者の人権の擁護、虐待の防止等のための体制整備を図ること
に主眼を置いて概ね3年に1回自治体により実施されるものです。
『指導』には、以下の3つがあります。
①集団指導
②書面監査
③実地指導
全ての訪問介護員等に対し、訪問介護員等ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い研修を実施又は実施を予定していること。
<指摘事項例>
●すべての介護職員の研修計画の作成が無かった
●研修が1日で終わるものなど、簡単な研修で終わっていた
●通常業務に必要な研修であり、質を高める研修ではなかった
利用者に関する情報もしくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。
※テレビ電話等のICTの活用も可能(追加)
指摘事項例
●介護技術を目的とした会議と称し、研修を実施していた
●月に1回程度の会議開催が確認できない(議事録がない)
●全職員の参加が確認できない
サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること。
指摘事項
●電話やFAXのみで伝達を実施しており、確実な方法ではなかった
●毎回行っていることが確認できない(数回の未実施でも算定要件を満たしたことにならず返還)
当該指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施すること。
指摘事項例
●労働基準法に定める検診項目を網羅していなかった
●全従業員の実施確認が出来なかった
指定居宅サービス等基準第 29 条第 6 号に規定する緊急時等における対応方法が利用者に明示されていること。
指摘事項
●緊急時における対応の明示をしている書類確認が出来なかった
特定事業所加算をはじめ、『加算』と名がつくものは算定を行うために満たさなければいけない条件があります。
また、基本報酬の算定があって初めて『加算』の分のお金がもらえますので、基本報酬と加算の2つを満たした運用を行う必要があります。
この2つが出来ていなければ、『返還』の対象となる可能性があることに注意しなければいけません。
特定事業所加算の算定要件は以下です。
※令和3年の報酬改定で新設された「特定事業所加算 V」を含め、特定事業所加算Ⅰ〜Vの算定要件をまとめております。
基本報酬で得た介護報酬を守るためには運営基準を知り、これを遵守した運用が必要です。
また、特定事業所加算で得た加算の金額を守るためには特定事業所加算の要件を知り、毎月これを満たす運用と管理を行わなければなりません。
実地指導は、指摘を受けて、数百万円〜数千万円の返還を求められた例がありますので、甘くみてはいけません。
指摘を受けても、誠実に対応すれば適正な介護報酬を受け取ることができる場合もありますので、早急な対応を心掛けましょう。