毎日の業務、本当にお疲れ様です。本日は、令和7年度にご相談頂いた運営指導の内容より、今後皆さんにご注意いただきたいことをお伝えいたします。
運営指導は、介護事業者が提供する介護サービスの内容や介護給付請求について、法令等の適合状況を確認し、行政が必要な助言、指導等を行うことで、介護サービスの質の確保及び向上並びに保険給付の適正化を図ることを目的として実施されています。
なお、以下のリンクに厚生労働省の「介護保険施設等運営指導マニュアル」を掲載しておりますので、参考にしてください。
介護保険施設等運営指導マニュアルについて
ただし、このマニュアルには介護報酬に関する事項が書かれておらず、よく皆様から「このマニュアルに加算のことは書かれていないから見られないですよね?」とお問い合わせいただきますが、介護報酬についても、加算の要件、減算に該当しないかも確認があります。
この部分に特に注意して、日ごろから適正な運営を行っていきましょう。
令和7年度も多くの事業所で運営指導が実施されました。年度当初、厚生労働省は「高齢者虐待防止」や「ICT活用」を重点項目として掲げていましたが、実際の現場ではどのような指導が行われたのでしょうか?
弊社で蓄積した2025年度の指導実績データ(指導DB)を基に、今年度の運営指導の「実態」を振り返ります。
年度当初の予測通り、高齢者虐待防止とBCP(業務継続計画)への指摘は非常に多くなっています。厚労省は虐待事案の増加を背景に、監査への切り替えも辞さない姿勢を示していましたが、運営指導の現場でもその「本気度」が見られました。
BCPの中身について「感染症対策はあるが、自然災害対策が未策定」として、早急な作成を命じられるケースがありました。また、備蓄品のリストがあるだけでなく、「実際に備蓄品を確認された」「数字が入っていない」といった細かい指摘も存在します。
虐待・身体拘束については、定められた指針や委員会の未実施等が発覚した場合、減算が適用されています。
「これから気を付けます」という対応では減算は逃れることができません。それだけ高齢者の人権は尊重されるべきものですので、私たち介護従事者は運営基準に定められたことを遵守する必要があります。
委員会・研修等も含め、単に実施した記録があるだけでは不十分で、「欠席者への周知をいつ、どのように行ったか」まで記録に残すよう指導される事例が多発しています。
「マニュアルを作って終わり」ではなく、「委員会等のPDCAが実際に回っているか」についても問われるケースが有りますので、令和8年度はしっかりとこのあたりが分かる書類を残していく必要が有ります。
ICT導入が進む中、指導担当者がパソコンやタブレットの画面を直接確認するケースが定着しました。
特に訪問介護の「特定事業所加算」における指示・報告の質に対するチェックにおいては、指示と報告の連動も確認されるケースが有ります。
「体調確認してください」といった毎回同じ「定型文(テンプレート)」による指示に対し、「抽象的すぎる」「個別の状況に即していない」との指摘が入りました。
また、サービス内容と報告内容が合致していない(例:身体介護なのに生活援助のような報告内容)ケースで、細かく確認が入る事例もありました。
また、システム上の「実施時間」と「記録」の整合性も確認が入っており、使用する介護システムによって実績と指示報告が一致しない場合が有りますので、ここに特に注意してください。
システムで効率化はできても、「ケアマネジメントの中身(指示の具体性)」までは自動化できません。
ここは人間がしっかり運用する必要があることが再確認されました。
特定事業所加算の歴史は古く、算定する事業所も多くなってきました。
この事から、ミスが発生しやすいポイントも行政の方々の知るところになっています。
改めてご自身がお使いの介護システムが実績と指示報告が連動しているかどうか、要件を満たす項目が網羅されているかを確認しましょう。
人員基準に関しては、書類上の数字合わせではなく、実態との整合性が焦点となりました。
勤務形態一覧表においては、「毎月作成ができていない」という指摘が最も多く、どのように作成したらよいかの相談が寄せられました。人員基準を遵守するため、勤務形態の作成は毎月行い基準の違反が無いかを確認することが必須です。また、常勤換算上の時間と出勤簿の実働時間のズレを細かく確認されるケースがありました。
人材不足に日々頭を悩ませる私たちですが、まずは勤務形態一覧の予定作成を行い、基準を満たしているか毎月確認を行うことが必要です。
人材不足解消のために利用が増えている「単発バイト(スポットワーカー)」や、退職者に関する書類管理も盲点となっています。
スポットワーカーを利用した際、「誰が(氏名)」「どの資格を持って」「いつ入ったか」を事業所側で把握できているか確認された。アプリ上の資格証写真や、ルート表・勤務表を見せて「誰が行ったか把握している」と説明しクリアしたものの、資格証の原本確認が必須であると指摘を受けた。
外部サービスを使う場合でも、健康診断や資格証の確認義務は事業所側にあります。アプリ任せにせず、管理簿が必要です。また、同様に退職者の書類についても保管義務があります。「去年の9月に退職した職員の資格証を出してください」と求められるケースもありました。
運営指導は「過去に遡って」確認されます。退職したからといって書類を別保管にしたり破棄したりせず、指定有効期間内は即座に出せるようにしておく必要があります。
これらの事例から分かるのは、行政のチェックが「書類の有無」から「内容の整合性・実効性」へシフトしているということです。
・指示と報告はずれていないか?
・計画と実績はずれていないか?
・シフト表と実際の働き方はずれていないか?
今後の運営指導を乗り切るキーワードは「整合性(つじつま)」です。今一度、皆様の事業所の記録を見直すとともに、介護システムについても「要件を網羅した項目が準備されているか」「実施された介護記録と指示報告の回数が合う状態か」「指示報告以外も確認できる状態か」これらについて改めて確認をしておきましょう。