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訪問入浴での勤務を経て、特別養護老人ホームで働きはじめました。そこで、目の前のご利用者様がどんどん症状が悪くなっていくのを目の当たりにして、その現状に違和感を覚え、一度は介護をやめようかと考えたんです。それをご利用者様に伝えたら、「ここをやめてもいいから、介護は辞めないでほしい。あなたが辞めたら苦しむ人が増えるから。」と言っていただけました。ならば、理想の介護を追求できるようにイチから立ち上げようと思ったんです。
独立してまずは介護職員の研修事業をはじめたのですが、その実践の場として、通所介護の「扉」を立ち上げました。訪問介護の「心」を立ち上げたのは、メンバーさん(事業所を利用される方)が「扉」で見せている顔と、自宅で外部の訪問介護の職員さんに見せていた顔が違うことを知ったからです。介護士のかかわり方の違いでこんなにも症状が変わってしまうのかと思い、同じかかわりが出来るようにと訪問介護の事業所を立ち上げたんです。在宅での暮らし、生活の営みを維持できる取り組みをしていくために、訪問介護の事業所を立ち上げることは必要なことでした。
法人名のNGUは、Never Give Upの頭文字からとっています。たとえ介護認定がついてしまっても生活を諦めないで一緒に歩んでいこう、という意思を込めています。ほかに運営する4つの事業所にはそれぞれ以下のような意味を込めています。
扉:閉まりかけた目の前の扉を一緒に開いて歩もう。
心:誠心誠意向き合う。(1つでも多くの気づきを拾って、生活の質を向上させられるようにしていこう)
匠:介護のプロ(匠)を育てていく、介護のプロッフェショナルを目指す。
栞:介護サービスが必要な方の道しるべを作る。
人、に尽きます。日々、心が動いている仕事だからこそ、大切にしないといけないと思っています。
だから当社では、呼び方にも気を付けていて、弊社の職員のことは、“Life Creator”と呼んでいます。個人的に、訪問介護の“ヘルパー”という呼称が好きではないんです。“助けてあげる人”、みたいな見え方で、家政婦の延長線上の時間内に決められたサービスをやりきる人に思われてしまう。訪問介護の職員はどこに関わるプロなのか、と考えたときに「生活を一緒に作っていく。」という意味合いでネーミングしました。
また弊社の事業所をご利用いただいている方は、“メンバー”さん、と呼ばせてもらっています。事業所を利用してもらっている、という感覚ではなく、共に歩む、という考え方を大切にしたいからです。ご家族にもご好評をいただいています。
共通しているのは、前の職場で、介護の現状に疑問や違和感を持っていた人、というところですね。サ責をやってくれている方は、私の前職の特養の同僚で同じ悩みを抱えていた人だし、管理者をしてくれている方は、若くして私の研修をキッカケに、ちゃんとスキルを磨きたいと、名古屋から引っ越してまでウチで働きたいといってくれました。
ほかの3名は「扉」と兼務をしてくれています。通所でしっかりかかわるためには家でのご様子を知らないといけないよね、という視点でしっかりメンバーさんに向き合ってくれています。
メンバーさんの生活の営みの継続を大切にする、ということです。本当に全部やってしまっていいのか、だったり細かい疑問を持って、その人の営みを守ることが出来るサービスとは何か、を追求する、ということを大切にしています。
事業所名の由来にも込めた通り、1つでも多くの気付きを拾えるように気を配り、そして対処できるように引き出しを増やしていく。訪問介護は介護業界でも最大のスペシャリストだと思います。
必死に考えている職員さんが辞めてしまう、想いを実践できる場に出来ていない、ということが最大の課題だと思います。介護が“ちゃんとした仕事”になればいいんです。誰でもできる仕事みたいな扱いではなく、知識と根拠ある介護技術をもとに、生活の営みの継続に向き合うプロである、と世間一般でもっと認められるように、各事業所で志しをもった運営の在り方を作っていかなくてはならないと思います。
これから介護を始める人や、働いている人にも、その想いを諦めないこと、流されないこと、というのをアドバイスとして送りたいですね。
「誰もが暮らし続けられる街を創造し共に歩む。生活の営みの継続をサポートし続ける会社」という当社が掲げるビジョンを体現し続けていきたいと思っています。