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訪問介護の開業について!開業するための4つのステップを詳しく解説!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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訪問介護の事業所を開業したいという方の中には、どのように開業すればいいのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、訪問介護はひとりでも開業できるのか、開業に必要な資格、開業するためのステップなどについて詳しく解説します。

訪問介護のサービス内容

訪問介護のサービス内容は主に身体介護生活援助通院時の乗車・降車介助の3つに分けられます。

これらのサービスは訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し行われます。

身体介護とは利用者の身体に直接接触してサービスを行うことです。

具体的には、食事介助・排泄介助・入浴介助・更衣介助・移乗介助・体位交換・服薬介助などがあります。

生活援助とは利用者にかわって身の回りの援助を行うことです。

具体的には、調理・洗濯・掃除・生活用品の買い出しなどがあります。

通院時の乗車・降車介助とは、運転する車両への乗車と降車の介助と、通院先など外出先での移動等の介助を行うことです。

介護職員初任者研修以上の資格を持っていないと行うことができません。

訪問介護のサービス内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

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【2022年最新版】訪問介護とは?サービス内容や受け方、費用についてご紹介!

訪問介護の開業に必要な資格

介護保険法によって、訪問介護の事業所を開設するためには、管理者サービス提供責任者訪問介護員を確保しなければならないと定められています。

サービス提供責任者になるためには、介護福祉士か介護福祉士実務者研修、訪問介護員1級相当以上の資格を保有している必要があります。

以前は介護職員初任者研修を取得し、かつ実務経験が3年以上あれば要件を満たしていましたが、

2019年をもって廃止されています。

現在は必ず、介護福祉士か介護福祉士実務者研修、訪問介護員1級相当以上の資格の資格を保有している必要があることに注意しましょう。

訪問介護に必要な資格について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

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訪問介護に必要な資格3選!メリット・費用・取得方法をご紹介

訪問介護の開業の4つのステップ

訪問介護の開業に必要な準備について4つのステップ順に説明していきます。

①法人格を取得する

介護保険事業は個人事業主では開業出来ないため、法人格の取得が必要となります。

法人には主に4つの種類がありますので、それぞれのメリット・デメリットをよく考えて、ご自身にあったものを選択しましょう。

株式会社(営利事業)
株主から出資を集めて事業をおこないます。

法人での開業の経験がある事業者やサポートのあてがあるなら選択肢の一つとなるでしょうが、未経験の場合は少しハードルが高くなります。

合同会社(営利事業)
資金や労力を経営者自身で負担するため、株式会社に比べて自由に決める事が出来るのが最大のメリットであり、4つの中では手間や費用の負担が少ない合同会社はおすすめです。

NPO法人(非営利活動)
社会貢献活動をおこなう事を目的とした法人で、理事3名・監事1名・社員10名が最低必要人員となります。

税制での優遇措置を受けられる分、手続きの期間が長くかかり利益が出ても事業で使用しなければいけません。

一般社団法人(非営利)
理事1名・社員2名以上が必要です。

こちらもNPO法人同様、非営利で事業がおこなわれていれば税制での優遇措置が受けられます。

この他にも医療法人・社会福祉法人・社団法人・財団法人・協同組合などがありますが、先に挙げた4つが一般的に使用されている法人形態となります。

②物件と設備を用意する

訪問介護事業所を開設するには事務所が必要です。

また、設備として事務机や椅子・書類を収納する棚なども用意する必要があります。

③人員を集める

訪問介護事業所には管理者サービス提供責任者訪問介護員(ホームヘルパー)といった3つの役割を担う人員が必要です。

この3つの役割はそれぞれ一つだけ兼任する事が可能ですが、のちほど説明する人員基準という決まりにより、最低3名は必要になります。

この記事では訪問介護で開業するために必要な準備について説明してきましたが、一人でも訪問介護は開業可能か?という問いに対しての答えは一人では開業出来ないということになります。

④審査を受ける

訪問介護事業所を開設するためのラストステップとして都道府県や市区に指定申請書類を提出して審査を受けなければいけません。

指定申請書類の要件などは各都道府県や市区によってちがいますので、事前に調べておきましょう。

訪問介護の開業で満たすべき3つの基準

訪問介護の開業をするには満たさなければならない3つの基準が必要となります。

①人員基準

管理者
常勤で1名の配置が必要です

サービス提供責任者や訪問介護員(ホームヘルパー)との兼任可能で管理者の資格要件は特にありません

サービス提供責任者
常勤で1名以上の配置が必要です。また利用者が40名以上で1名以上の追加配置が必要となります。

原則として、身体介護が可能な下記のいずれか一つの資格を保有していることが条件です。

・介護福祉士 ・介護福祉士実務者研修修了者 ・看護師または准看護師 ・旧介護職員基礎研修修了者 ・旧ホームヘルパー1級過程修了者

訪問介護員
常勤で2.5名以上の配置が必要です。

いずれか一つの資格を保有していることが条件となります。

・介護福祉士 ・介護職員実務者研修修了者 ・介護職員初任者研修修了者 ・旧介護職員基礎研修修了者 ・旧ホームヘルパー1級および2級 ・看護師または准看護師 

人員配置基準を満たしていないと運営基準違反となりますので、ギリギリの人員ではなく多少余裕をもたせた人員を確保することを意識しておくと突然の離職などがあっても安心です。 

また、訪問介護員は常勤で2.5名以上の配置が必要と説明しましたが、厳密なルールを説明すると常勤換算という言葉が出てきます。

従業員の勤務延時間数÷常勤職員の勤務時間数=常勤換算
となり、この数字が2.5以上なら問題なしということになります。

訪問介護の人員基準について、こちらの記事を参考にしてください。

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訪問介護の開業に必要な人員基準について計算方法など徹底解説!

②設備基準

設備基準について調べてみますと、訪問介護の場合は利用者が通所する訳ではないため、細かい設備基準というものはありませんが、事務室の設置は必要となっています。

事務室の備品一例 ・事務机 ・椅子 ・書籍棚 ・電話 ・パソコン ・ファックス

また、来客があった場合に落ち着いて話し合いが出来る来客室(面談室)も備える必要があります。

手洗い設備で必要なもの ・洗面台 ・液体せっけん ・消毒液 ・ペーパータオル

また、多くのヘルパーは自転車を使用したり、地域によっては車を使用することもありますので、 車道駐車にならないよう、駐車場の確保も忘れずに済ませておきましょう。

③運営基準

訪問介護事業所の運営基準は訪問介護サービスに関する基準業務運営に関する基準があります。しっかり確認しておきましょう。

訪問介護サービスに関する基準

・内容、手続きの説明および同意
・サービスの提供拒否の禁止
・サービスの提供が困難になった際の対応
・身分を証する書類の携行
・緊急、事故発生時などの速やかな対応

業務運営に関する基準

・利用料等の受領方法
・訪問介護計画書の作成
・介護等の総合的な提供

開業にかかる主な4つの費用

開業にかかる主な4つの費用を紹介するので、資金準備の目安にしてください。

①法人設立費用

法人設立費用として必要な金額は種類によって異なります。

株式会社で30万ほど、合同会社と一般社団法人で10万程が目安です。

NPO法人は費用はほとんどかかりませんが、手続きに時間がかかるため3〜4ヶ月程度の時間がかかることを想定して準備を進めて下さい。

②人件費

先に説明したとおり、管理者以外に常勤3名の有資格者が必要になります。

常勤のホームヘルパーの人件費は月18〜25万が相場となるため、月60万程の人件費が必要となります。

介護報酬は翌月請求して、収益として事業所に入金されるのは翌々月となりますので、開業から2〜3カ月分の人件費は用意しておくように気をつけて下さい。

③施設費

訪問介護事業所用に事務所を用意する場合、テナントの購入や賃貸契約、また費用を抑えるために自宅の一部を事務室に使用するケースなど様々だと思います。

資金と相談しながら出来るだけ改装費用などが発生しない選択肢を選ぶようにしましょう。

④備品・車両購入費

事務作業に必要な机・椅子・書類用の棚や筆記用具をそろえましょう。

また、電話・パソコン・ファックスや衛生管理用品も用意しておきましょう。

また、法人で車を用意する場合は車両購入費はもちろん、駐車場代も忘れずに必要予算に組み込むようにして下さい。

訪問介護の開業の資金調達方法

介護事業の中でも比較的低予算で開業可能な訪問介護ですが、開業資金となるとやはりある程度まとまった金額が必要になる事が分かりました。

次は開業資金の調達方法について説明していきます。

自己資金はどのくらいあったらいい?

訪問介護の開業に必要な自己資金額はどのくらいあればいいのでしょうか?

資金収支が±0になった状態で月に必要な資金の3カ月程度
収支±0になるまでにつぎ込むであろう支出金額

調べてみると、東京23区にある訪問介護の事業所で大体月150万の売上があれば継続して事業を行うことが出来るので、×3カ月で450万円、そこにプラスして、事業経験があって、必要な人脈を持っている事業者だとしたら、開業費用分あればやっていけるため、先で触れた開業にかかる4つの費用分約100万円を合わせた”550万円”が開業に必要な自己資金額の目安となります。

ただ、事業経験があって、必要な人脈を持っている事業者の方の方が少ないことを考えると、実際はもう少し資金に余裕が欲しいところですよね?

そこで活用すべきなのが助成金となります。

助成金を活用する

助成金とは、給付条件を満たしている事業主であれば支給を受けることができます。

基本的に返済の必要はなく、国や公共団体から支給されますので、給付条件を満たしている助成金をフル活用していきましょう。

介護労働環境向上奨励金

介護労働者の身体的負担の軽減、賃金など処遇の向上、労働時間などの労働条件、職場環境の改善などの雇用管理改善を総合的に進め、介護労働者の介護労働者の労働環境の向上を図った事業主のための助成金です。

引用:厚生労働省

介護福祉機器等助成

介護サービスの提供事業主が、新たに介護福祉機器を導入し適切な運用を行うことにより、労働環境の改善がみられた場合に、介護福祉機器の導入費用の1/2(上限300万円)を支給します。

この助成を受けるには、あらかじめ「導入・運用計画」を作成し、都道府県労働局の認定を受けることが必要です。

引用:厚生労働省

雇用管理制度等助成

介護サービスの提供事業主が、介護労働者の福祉の増進を図るために、雇用管理改善につながる制度等を導入し、適切に実施す ることにより、一定の効果が得られた場合に、制度等の導入に要した費用の1/2(上限100万円)を支給します。

この助成を受けるには、あらかじめ「雇用管理制度整備等計画」を作成し、都道府県労働局の認定を受けることが必要です。

奨励金の支給対象となる事業主の要件として以下の全てに該当する事業主であることが必要となりますので、ご注意ください。

・介護サービス(※1)の提供を業として行う事業主であること(他業種との兼業も可) 

・雇用保険の適用事業主(企業単位)であること 

・「介護労働者雇用管理責任者(※2)」を選任し、事業所内に周知を図っていること ● 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿などの法定帳簿類を備え、都道府県労働局の要請により提出できること

・都道府県労働局が行う審査や必要に応じ実施する現地確認に協力すること ● 導入・運用計画、または雇用管理制度整備等計画の提出日の6ヵ月前から、事業主都合で労働者を解雇 (退職勧奨による離職を含む)していないこと

・労働保険料を滞納したことがないこと

・過去3年以内に助成金の不正受給をしていないこと

・本奨励金と同一の理由により、他の助成金を受給していないこと

・過去に労働関係法令に違反したことがある場合は、送検処分を受けていないこと。また、行政機関の是正 指導を受けて改善していること

引用:厚生労働省

 

新規開業資金を活用する

新規開業資金とは、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金を融資してくれる制度です。 融資は助成金と違い返済が必要です。

そのため、開業資金が残り僅かの時に相談すると返済能力を疑われる可能性がありますので、融資を受けるなら、資金に余裕のある状態で相談するとスムーズに手続きが進みます。

新規開業資金が利用可能な事業者は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方です。

詳細は以下の通りです。

・融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)
・返済期間は設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)
・運転資金は7年以内(うち据置期間2年以内)

新規開業資金には利用可能な事業者への注意事項がありますので、詳しくは日本政策金融公庫公式ホームページをご確認ください。 

参考:日本政策金融公庫

まとめ

訪問介護は他の介護事業所と比べて、比較的少ない資金で開業できます。

今回紹介した4つのステップと3つの基準をクリア出来れば、助成金や融資を活用して、運営していくイメージが沸いたのではないでしょうか。

あとはどんな仕事でもそうですが、いかに良い人材を集めて信頼を得ていけるか、人脈を拡げていけるかが事業継続の重要なポイントとなります。

まずは今回ご紹介した開業のための準備をしっかりして、地盤固めから始めましょう。

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