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通所介護事業所のM&Aにおける価値と相場ついて

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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この記事では、 通所介護のM&Aにおける事業所の価値と相場についてご紹介をします。

通所介護事業所の譲渡価格

特定事業所加算

通所介護の譲渡価格の計算と相場

一般的な中小企業のM&Aの譲渡価格相場としては、他の記事でも述べている通り、

『純資産+営業利益の24か月(2年)~60か月(5年)』言われています。

一方で通所介護の譲渡価格の相場としては、

『純資産+営業利益の18か月(1.5年)~24か月(2年)』程度が多いと言われます。

これほど差が出る理由としては、対象となる事業所の規模や利益などの経営状況によってはもちろん異なりますが、資産を所有しているケースが少ないためです。

具体的には以下のような理由が挙げられます。

・人材の数が売上や収益を左右することから、人材ありきの不安定な事業と言える。

・業務効率化等が言われており、1法人1事業所、さらに地域密着型通所介護などの小規模での運営の事業所に価値が付きづらい環境になってきている。

・譲渡価格の計算には資産が含まれるが、訪問介護事業等と同様に賃貸物件での運営をしており不動産なども事業として所有していないケースも多い。

譲渡対価を高める(下げない)ためにできること

そんな中で価値を高めるためにできることとしては、利益を高める努力を止めないことが大切です。

譲渡を検討するタイミングでは、経営疲弊などのネガティブな理由やもう閉めるからと営業活動を止められる事業所が多くみられます。以下は譲渡対価に大きく影響するポイントになるため注意が必要です。

売上を上げる・経費を削減する・重度者の割合を増やすなど従来から取り組んでいることを止めないことが重要になります。売上が下降傾向にあるようであれば、その理由を明確にすることも大切です。

買手企業がその理由を簡単に解決できると判断すれば価値が下がることはありません。

また、ハローワークや無料の媒体はすべて駆使し、常勤、有資格者の採用を行うことも、未取得の加算を取得することなども将来の売上を見込むために必要な条件になりますので、譲渡対価の向上につながります。

売手側は譲渡までのことを重要視しがちですが、買手側は譲り受けた後、何年何十年とその事業を継続していきます。

売手側は手放すからと言って中長期的な事業計画をないがしろにしないことが大切になります。

希望より価値が下がるケース

M&Aにおいて買手は買収の前にデューデリジェンスという価値やリスクなどを調査を行います。M&Aを行う前に問題点を把握するためです。ここで簿外債務や大きな問題点が発覚した場合譲渡価格の低下・契約の破断を招きかねません。

一般的な法務や財務、税務、人事などのデューデリジェンス以外にも、介護事業においては行政への申請書類や介護記録、実地指導で求められる書類と同等のものを準備することをお勧めしてます。株式譲渡なのか事業譲渡なのかにもよりますが、後の返還のリスクがない状態にすることも価値を下げないための重要なポイントです。

まとめ

    介護事業所の価値を考えるうえで、売上を増やし安定させることはもちろんのこと、人材や資格、実地指導対策などの書類を揃え価値低下のリスクを排除することが重要です。

    また依頼される仲介会社においても有資格者の価値など、介護ならではの価値を理解している会社は多くありません。介護の知識や介護のM&Aの実績やノウハウをもっている仲介会社かどうか見定めることも大切となります。

     

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