この記事では、介護業界を取り巻く現状とM&Aについてご紹介をします。
M&A(エムアンドエー)はMerger And Acquisition(合併と買収)の略で、M&Aの意味は文字通り「企業の合併・買収」のことで、2つ以上の会社がひとつになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)です。
皆様の中にも「M&A」と聞くと、「身売り」や「敵対的買収」「ハゲタカ」などといったマイナスなイメージを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
M&Aという言葉が世に出始めた十数年前から、目に触れるもの、取り上げられるものが少数の派手な買収劇の報道やそれらを題材としたドラマであったためとそういったマイナスなイメージが先行してしまっていたのが実情です。
しかし近年ではそのイメージも変わりつつあります。
経営者の高齢化に伴った後継者問題に対応する事業承継の有効な手段として、または企業が中長期的な目標を達成するための手段として、多く利用されるようになってきております。
2020年には中小企業庁からも「中小M&Aガイドライン」が策定され、中小企業におけるM&Aの更なる促進がなされています。
経済産業省:中小M&Aガイドライン
介護業界でのM&Aも増加の一途をたどっています。その背景には介護業界を取り巻く現状が関係していると考えられます。
介護職員人口は2025年には32万人、2040年には69万人不足すると言われています。
コロナ禍前には期待された技能実習生や外国人採用もストップし、人材不足の解消はかなわず厳しい状況を強いられています。
また中小企業にはICT化、介護ロボット活用の対応も非常にハードルが高く業務効率化や負担の軽減も進まないのが現状あり、その結果増えてきているのが近年の介護事業所における倒産件数です。
2020年には介護事業所の倒産件数は過去最多の118件(前年比6.3%増)にも上り
業種別では、「訪問介護事業」が56件(構成比47.4%)と半数近くを占め、深刻なヘルパー不足が影響し、次いで、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」の38件(同32.2%)で、前年から18.7%増加しています。
大手企業との利用者や従業員の獲得競争が激しく、倒産増加の一因にもなっているとみられています。
介護業界のM&Aは今後、さらに増加すると予測されます。
後継者の不足や人手不足、ノウハウ不足などから「販売不振」「運転資金の欠乏」が起こり休廃業やM&Aが進みコンビニやドラッグストア業界のように中小企業の淘汰の加速していくことが見込まれています。
介護事業所の経営を考えていくにあたっては、M&Aを1つの選択肢として先んじて情報収集をしておいていただければと思います。