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通所介護・訪問介護においてM&Aを検討する理由とポイント

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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この記事では、 介護事業においてM&Aを検討する理由とポイントについてご紹介をします。

現状の介護のM&A市場

介護事業者のM&A

M&A(エムアンドエー)とは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略で、M&Aの意味は、文字通り「企業の合併・買収」のことで、2つ以上の会社がひとつになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)です。

近年日本では多くのM&Aが行われており、2019年までの推移は8年連続で増加しており、2017(平成29)年以降は3年連続で過去最高値を更新中です。M&A件数は、2019年には初の4,000件超えである4,088件のM&Aが成立しました。(上場企業のみ)

中小零細企業が多い介護業界では今後一層のMAの増加が予想されています。

介護事業所がM&Aを考える理由とは

介護事業者がMAを考える理由としては大きく分けて以下5点が挙げられます。

①後継者の不足

②創業者の利益の確保

③先行きの不安・業績の不振

④選択と集中

⑤会社の発展・社員の将来性

また介護の業界では①・③の相談が非常に多くなっておりますので、次項で解説させて頂きます。

「後継者の不足」に伴う介護のMA

社内に親族等の後継者がおらず、かといって会社を清算すると従業員や利用者に負担や迷惑が掛かるため、譲渡によって事業承継をはかるケースです。

帝国データバンクの調査によると、国内企業の代表の平均年齢は約60歳で、その内、3分の2の企業は後継者が決まっておりません。

介護の業界でも上記ような事例は当てはまりますが、よく頂くご相談としては、事業承継として「経営層の人材が育たない」「親族は介護事業を継がない」「跡継ぎがそもそもいない」という課題から従業員への承継も難しく、家族に任せられる人間もいないと言う相談が多い傾向にあります。

「先行きの不安・業績の不振」に伴う介護のMA

人材不足による業績不振、コロナウィルスの影響から売上が下がってしまい、コロナ前までの売上に戻らない、介護の基本報酬が下がり、先行きが不透明など、業績や事業の先行きに不安を感じている事業所からのMAの相談も増えております。

まとめ

『うちの事業所は赤字が続いていて価値なんかつかない』というようなお話をされる経営者の方もいらっしゃいますが、業績が低迷している事業所も、好調時には利益が出ていたはず。その利益を生み出していた自社の強みを抽出してアピールできるようにすると、事業所の価値は高まり、買い手の目にとまり、売却できる可能性も高くなります。

昨今ニュースでも取り上げられておりましたが、介護・医療業界関連の譲渡案件数が3年前同月比3.4倍まで増加しております。より身近になって来ているMAの情報は常にアップデートしておくと、いざと言う際に役立つのではないでしょうか。