この記事では、 介護のM&Aにおける従業員への説明の仕方やタイミングついてご紹介をします。
訪問介護や通所介護では資産と呼べるものがあまりなく『自事業所に価値がつかない。』『自事業所を価値を知らない。』経営者の方が多くいらっしゃいます。
これまで介護業界では、業界大手以外M&Aという手段は活用されていませんでした。中小事業者においては『会社を買う(売る)』『事業所を買う(売る)』という選択肢はあまり選ばれず個人間での譲渡、『利用者と職員を他事業所に口利きをして振る』という方法が選ばれてきました。
これは一見良い様に思えますが、多くのことが個人で調べられる時代となったため、昨今では専門家の立ち会わない譲渡(口約束)に『取り決め不足が多い』ことが原因によるトラブルが増加し、問題にもなっています。
そのため事業所と利用者、経営者と従業員で契約が結ばれていることと同様に事業の引継ぎにおいても書面による契約取り交わしが必要として見られてきており、M&Aが増えてきているのが現状です。またそれに伴いM&Aの仲介会社が増加してきています。
実際に譲渡を決め、M&Aを説明する際にどのように行えばよいか?とご質問をいただくことが多々あります。従業員への説明を行う際にはその方法を見誤ると不安を与えてしまい退職にもつながりかねません。
適切な準備を行い、話の順序などもM&Aの仲介会社にアドバイスを求めるとよいでしょう。
大前提として一般の従業員へ伝えるタイミングはM&A最終契約の締結の後です。それまでは一切の情報を伏せて進めて問題はありません。
訪問介護や通所介護の小規模なM&Aの多くは全体会議や従業員説明会というような場を設けることが多く、元オーナーからの経緯説明や買手企業の担当者からの今後についてのお話などをして頂くことが多いです。その場合にもM&Aを感じさせない形で集めるのが良いかと思います。
従業員はM&Aの話を聞くとまずは不安を抱きます。話の順番としては譲渡後も条件が大きく変わらないということをしっかりと伝えることが重要です。
M&Aにおいては従業員の現条件の維持以上を条件としている場合が多く、従業員にはまず安心をしてもらうためこの点に触れていただき、その後にM&Aによって現場の作業レベルで変化することを話していく流れをお勧めしています。
何がどのように変わるかの質問をされることも想定されます。しっかりと答えられるように準備をしておくことが必要です。
介護事業所のM&Aを行うに当たり価値として重要視されるのが介護の資格者や従業員そのものです。
売手は雇用を守るため、買手は買収後の収益増を見込むため、売手も買手も一人でも多くの従業員の継続雇用を望んでいます。
そのためには退職リスクを低減するため、説明後にも不安を与えないために従業員への説明にはしっかりと準備を整えてから行うことが大切になります。