この記事では、 訪問介護事業所のM&A完了後の統合プロセスでの注意すべき点についてご紹介をします。
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PMIとはPost Merger Integrationの略で、M&A契約が成立した後の譲渡企業と譲受企業の「統合プロセス」のことを呼びます。M&Aではしばしば成約したところで成功しているように見えますが、当事者にとってはそこからが本番です。
買収したことによる成果をいかに出すかを考え、統合の計画や事業戦略、従業員の意識改革を行っていかなくてはなりません。
訪問介護においては人手不足が深刻で人さえいれば、サービスを増やせる状況と言っても過言ではありません。経営資源である人材を効率的に活用していくために中小零細企業であってもM&Aが増加しているのが事実ですが、買収を行い、人を確保できたからと言って成功ではありません。
従業員たちにとっては雇用条件などは引き継がれ大きな不利益を受けるようなことはないのが通例ですが、会社や事業所ごとにサービスの質やホスピタリティに差があるのもまた事実であり、そこを統合していけるかが大きなポイントとなります。
またM&Aのどの過程においても従業員の退職リスクには最善の注意を払わなければなりませんが訪問介護のPIMにおいてはなおのこと注意が必要です。従業員が経営資源の多くをしめ、譲渡対価としても人に価値が付くともいえます。売手は従業員の雇用を守るために譲渡を検討しますが従業員にはそうとはとらえてもらえず退職となっているケースや、買手の新しい制度や社風やをなじませている最中、退職となっているケースも多々見受けられます。
売手経営者からの丁寧な説明や買手企業の担当者との面談などしっかりと従業員の不安を取り除くための施策が必要です。
買手にとってのM&Aの成功は買収前に期待していた経営効果を実現ができるかどうかです。
そのため買手は買収後の数年先の未来のリスクや事業の成長見込みを重要視する一方で売手は売却までの近い未来のことを重視して物事を考えます。このギャップをいかに埋められるかM&Aの話が進み始めてから成約後のPMIを考える中で成功のカギとなるといえるのではないでしょうか。
またそのギャップを埋めるため仲介会社をうまく活用するのも一つの手であると考えます。