この記事では、 訪問介護のM&Aにかかる税金についてご紹介をします。
M&Aを行う売手の経営者には多くの場合、譲渡することによって所得が発生します。訪問介護における小規模M&Aでの株式譲渡では、株主が個人であることが多く、譲渡所得に対し所得税、復興特別所得税、個人住民税の税金がかかってきます。
現在の税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+個人住民税5%)です。
譲渡所得は以下の計算式で求められます。
譲渡所得=譲渡対価-(株式取得費用+譲渡手数料)
また個人株主の譲渡所得にかかる所得税は分離課税であるため、その他の所得や給与所得などがあったとしても税額が変わることはありません。
また法人が株主である場合や事業譲渡の場合は法人間の取引となるため、課税の対象は法人となり、売手は譲渡益に対して法人税、また買手に対しても消費税が課されます。
役員退職慰労金を活用することで所得税を減額することができます。役員退職金の分だけ譲渡対価が下がりますが、退職慰労金が一定額までであれば、(累進課税であるため)退職所得控除額も大きく、譲渡所得に対する20.315%よりも 低い税率が適応され節税に繋がります。
課税退職所得金額
(退職金の額-退職所得控除) × 1/2
退職所得控除
勤続年数が20年以下の場合 40万円×勤続年数(※80万円に満たない場合は、80万円)
勤続年数が20年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば、勤続10年の経営者の場合、400万円(40万円×勤続年数)の退職所得控除があり、400万円を退職金として受け取っても退職所得は0円で、総合課税の税金は増えない計算となります。
その際譲渡所得も400万円下がるため約80万円の節税となります。
M&Aにかかる税金とその対策について簡単に紹介しましたが、M&Aは大きな対価での取引が行われることが少なくありません。手法によっては課される税負担や手残りの額が大きく異なるケースがあります。M&Aの手法やそれにともなう税務リスクを把握し、実際に効果が見込める税金対策を見極め、M&Aをスムーズに行うためにも専門家に相談することをおすすめします。