訪問介護、通所介護などお役立ち情報・書式が満載

  1. HOME
  2. 事業運営
  3. 訪問リハビリテーションとは?サービス内容や介護・医療保険利用の違いなど詳しく解説!

訪問リハビリテーションとは?サービス内容や介護・医療保険利用の違いなど詳しく解説!

2024-06-05

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

詳細プロフィール

続きを読む

訪問リハビリテーションは、自宅で生活する高齢者や障がいを持つ利用者が、安全かつ快適に過ごし、日常生活を自立して営むことを支援する介護サービスの1つで、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職が自宅に訪問して、利用者ごとに合わせたリハビリテーションを提供します。

訪問リハビリテーションは、基本的には介護保険でおこなわれるものの、時折、医療保険でもおこなわれます。

この記事では、訪問リハビリテーションのサービス内容だけでなく、介護保険・医療保険利用の違いなどを詳しく紹介します。ぜひ、最後までお読みください。

訪問リハビリテーションとは

訪問リハビリテーションは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるように、病院・診療所・介護老人保健施設の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅に訪問して、主治医の指示に合わせてリハビリテーションをおこなう介護サービスの1つです。

訪問リハビリテーションの目的は利用者の身体機能の向上だけでなく、社会参加の促進や利用者の家族を含めた心理的サポートも含んだ、QOL(Quality of Life)の支援を総合的におこなうなど幅広い目的があります。

訪問リハビリテーションの対象者

訪問リハビリテーションはすべての方が受けられるわけではなく、下記の条件に当てはまる場合に利用できます。

要介護認定を受けた場合

要介護度1〜5の方が訪問リハビリテーションの対象となり、要支援の認定を受けた場合は、介護予防訪問リハビリテーションが対象です。

要介護認定を受けたうえで、医師が「通院が困難な利用者」と判断した場合に対して訪問リハビリテーションがおこなわれます。

なお、「通院が困難な利用者」は厚生労働省は下記のように定めています。

訪問リハビリテーション費は「通院が困難な利用者」に対して給付することとされているが、通所リハビリテーションのみでは、家屋内におけるADLの自立が困難である場合の家屋状況の確認を含めた訪問リハビリテーションの提供など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合は訪問リハビリテーション費を算定できるものである。「通院が困難な利用者」の趣旨は、通院により、同様のサービスが担保されるのであれば、通所系サービスを優先すべきということである。

参考:厚生労働省「訪問リハビリテーション」

主治医から訪問リハビリテーションが必要と判断された場合

一般的に訪問リハビリテーションは要介護者を対象におこないます。しかし、例外的に主治医から訪問リハビリテーションが必要と判断された場合は、どのような障がいや病気であっても、医療保険を利用した訪問リハビリテーションをうけることができます。

訪問リハビリテーションの職員体制とサービス内容

実際の訪問リハビリテーションの職員体制とサービス内容は下記になっています。

訪問リハビリテーションの職員体制

訪問リハビリテーションを提供するために必要な職員体制は下記の通りです。

訪問リハビリテーションの職員体制

医師

専任の常勤医師1以上
(病院、診療所と併設されている事業所、介護老人保健施設、介護医療院では、当該病院等の常勤医師との兼務で差し支えない。)

理学療法士
作業療法士
言語聴覚士

適当数置かなければならない。

参考:厚生労働省「訪問リハビリテーション」

訪問リハビリテーションのサービス内容

続いて訪問リハビリテーションのサービス内容について詳しく紹介します。訪問リハビリテーションでは、下記のようなサービスがおこなわれます。

内容

詳細

症状の観察

  • 利用者の健康状態や症状の変化を定期的に評価し、必要に応じて対応する
  • 血圧、脈拍、呼吸などのバイタルサインを測定して健康維持に努める
  • 日々の症状や体調の変化を詳細に記録し、リハビリテーション計画の見直しに役立てる

リハビリテーション

  • 利用者の状態に合わせた運動プログラムを実施し、筋力や柔軟性の向上を目指す
  • 日常生活動作の改善を目標に自宅内での動作練習を中心におこなう
  • コミュニケーション機能や嚥下機能の改善をおこなう

日常生活の指導・助言

  • 健康的な日常生活を維持するための助言をおこなう
  • 自宅での生活を安全・快適に過ごすための環境調整や改修の提案をおこなう
  • 他事業所のスタッフに対する介助方法などの助言・指導をおこなう
  • QOL、趣味、社会参加促進のための助言をおこなう

介護相談・家族支援

  • 介護に対する、悩みや疑問に対して専門的なアドバイスをおこなう
  • 介護をおこなう家族への心理的・実務的な支援を行い、介護負担の軽減を図る
  • 利用できる福祉サービスや地域資源についての情報を提供する

訪問リハビリテーションの介護保険と医療保険利用での違いは?

基本的な訪問リハビリテーションは介護保険ではおこなわれますが、場合によっては医療保険を利用して訪問リハビリテーションを実施することがあります。

なお、医療保険利用の訪問リハビリテーションは「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」と呼ばれており、それぞれは下記のような違いがあります。

項目

介護保険

医療保険

対象者

  • 要介護認定を受けた65歳以上の高齢者
  • 40~64歳の特定疾病者

年齢制限はなく、医師が必要性を認めた者

目的

利用者が自立した日常生活を送ることを支援

身体機能を早期改善

提供サービス

  • 日常生活動作訓練
  • 生活環境調整
  • 介護者への指導や助言
  • 運動療法 など

料金負担

介護保険の自己負担割合(1~3割)

医療保険の自己負担割合(1~3割)

サービス提供者

病院・診療所・介護老人保健施設 など

病院、診療所などの医療機関

開始の仕方

ケアマネジャーがケアプランを作成

医師からの指示にて開始

実施頻度

ケアプランに基づいて実施*

医師の指示に基づいて実施*

サービス期間

長期的な場合が多い

短期的な場合が多い

* 1週間で最大2時間までだが、退院・退所日から3ヵ月以内は1週間で最大4時間まで実施可能

注意点として、訪問リハビリテーションは、介護保険と医療保険の同時適用はできず、要介護認定を受けている方は介護保険での訪問リハビリテーションが優先されるので注意しましょう。

訪問リハビリテーションを利用するための費用は?

実際、訪問リハビリテーションを利用する場合は下記の費用(利用者負担1割の場合)がかかります。

訪問リハビリテーション費
  • 病院又は診療所
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

1回につき308円

その他、事業所によっては訪問リハビリテーション費とは別に、加算費用が加えられることもあります。
主要となる加算項目は下記のとおりです。

  • 短期集中リハビリテーション実施加算
  • リハビリテーションマネジメント加算
  • 事業所の医師が利用者等に説明し、利用者の同意を得た場合
  • 認知症短期集中リハビリテーション実施加算
  • 口腔連携強化加算
  • 退院時共同指導加算
  • 移行支援加算
  • サービス提供体制強化加算

訪問リハビリテーションを利用する際の流れ

実際に訪問リハビリテーションを利用する場合は、下記の手順でおこなわれるのが一般的です。
ここでは、介護保険での訪問リハビリテーションを利用する際の流れについて紹介します。

  1. 担当のケアマネジャーに相談して、訪問リハビリテーションの事業所を決める。
  2. 主治医に訪問リハビリテーションを利用したいことを伝えて、診療情報提供書、リハビリ指示書などの必要書類作成を依頼する。
  3. 訪問リハビリテーションの事業所と契約をする。
  4. 訪問リハビリテーション事業所の医師が、主治医のリハビリ指示書などを参考にしながらリハビリ計画書を作成する。
  5. ケアマネジャーはケアプランに訪問リハビリテーションを組み入れる。
  6. 訪問リハビリテーションの利用開始となる。

介護保険で訪問リハビリテーションを利用する場合は、3ヵ月に1回の頻度で主治医が評価し、指示書を発行してもらう必要があります。なお、医療保険で利用する場合には、1ヵ月に1回の頻度で指示書の発行が必要です。

訪問リハビリテーションを利用するメリット・デメリット

訪問リハビリテーションを利用することで多くのメリットといくつかのデメリットがあります。

【訪問リハビリテーションのメリット】

  • 利用者の自宅でリハビリを受けられるため、移動の負担がなく、高齢者や身体的に制限がある場合でもサービスを受けることができる
  • 自宅でリハビリを実施するため、普段の生活環境で必要な動作を練習することができ、日常生活の質を向上させる効果がある
  • 訪問リハビリテーションのスタッフも実際の生活環境を把握できるため、より個別化された効果的なリハビリが可能

【訪問リハビリテーションのデメリット】

  • 訪問リハビリテーションはケアプランで予定された頻度でしかおこなえない
  • 訪問リハビリテーションは基本的に1週間で最大2時間しか利用できないため、利用頻度に制限がかかる場合がある
  • 自宅でのリハビリは、病院など専門施設でおこなうリハビリと比べて設備や器具が整っていないため、特定の機器を使用したリハビリが受けられないことがある

訪問リハビリテーションは利用者だけでなく、家族の心理的なサポートにもつながります。
また、スタッフが定期的に自宅へ訪問することで、利用者や家族が抱える問題や不安を迅速に解消する手助けもできます。

ただし、訪問リハビリテーションを利用する場合は、上記のようなデメリットを理解したうえで、ケアマネジャーに相談しましょう。

訪問リハビリテーションを利用して利用者の身体能力を改善させよう

訪問リハビリテーションは、高齢者や障がいを持つ利用者が自宅で快適に過ごし、日常生活をより自立して営むために、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅に訪問し、利用者の身体機能の改善だけでなく、心理的サポートや社会参加の促進もおこなう介護サービスの1つです。

訪問リハビリテーションの最大のメリットは、利用者が通院する必要がないため、移動の負担が軽減されることです。また、実際の生活環境でのリハビリが可能なため、日常生活動作の向上にもつながるだけでなく、家族に対しても専門的なアドバイスや心理的支援が提供されるため、介護の負担軽減も期待できます。

自宅で過ごしながらも、身体能力を改善させたい場合は、今回をきっかけに訪問リハビリテーションの利用を一度検討しましょう。

 

カテゴリ・タグ