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2024年3月で介護療養型医療施設は廃止に!廃止の理由やその後の動向を解説

2024-05-23

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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2024年3月で介護療養型医療施設は廃止されました。廃止された理由として、医療療養病床との差別化に課題を抱えていたことが挙げられています。一方で、介護業界における医療ケアのニーズは高まっています。

この記事では、2024年介護報酬改定で廃止された介護療養型医療施設の概要と、廃止された背景について詳しく解説します。また、この記事を読むことで、介護療養型医療施設の役割を引き継ぐ施設についても詳しく理解できます。

介護療養型医療施設とは?

介護療養型医療施設とは、慢性疾患を抱え、長期間の療養を必要とする方が利用する施設です。介護職員が手厚く配置されており、仮に病状が安定していたとしても、自宅での生活が困難な場合は入所できます。

介護療養型医療施設では、健康管理や看護などの医療サービスに加えて、介護や生活支援、リハビリテーションなどの機能訓練が受けられます。特別養護老人ホームや介護老人福祉施設と比較して、医療ニーズが高い方を対象とした施設です。

介護療養型医療施設は2024年3月で廃止が決定

2024年3月の介護報酬改定で介護療養型医療施設が廃止されました。廃止された理由として、医療療養病床と介護療養病床で医療の必要度に大きな違いが見られなかったことが挙げられます。

ここでは、介護療養型医療施設が廃止された理由と廃止後の体制について詳しく解説します。

介護療養型医療施設が廃止される理由

介護療養型医療施設が廃止された理由には、医療療養型病院が大きく影響しています。

医療療養型病院は、慢性疾患を抱えながらも病状が比較的安定している方を対象とした医療施設です。医療療養型病院では、医師の管理下で必要な医療ケアや介護、リハビリテーションなどの機能訓練を受けられます。

対象とする利用者の条件は介護療養型医療施設とほぼ同じですが、介護療養型医療施設との大きな違いは、介護保険ではなく医療保険が適用される部分です。

厚生労働省の資料「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯」によると、医療療養病床と介護療養病床での入院患者の状況において、医療の必要度が高い患者と低い患者に大きな差がみられないことが明らかになりました。

この結果から、医療保険と介護保険の役割分担に関する課題が挙げられ、介護保険制度見直しの必要性について言及しています。また、介護療養型医療施設の療養生活が長期に及び、約4割が死亡による退院であるため、医療費や社会保障費を抑制するための取り組みも重要な課題の一つです。

これらの問題から、2024年3月で介護療養型医療施設の廃止が決定し、医療保険と介護保険の役割分担を目指して再編成することになりました。

介護療養型医療施設の役割を介護医療院が引き継ぐ

介護療養型医療施設を創設した目的は、長期療養を必要とする要介護者に対して手厚い医療ケアや日常生活の介護サービスを提供することです。

介護療養型医療施設を廃止後、それらの機能を引き継ぐ施設として位置付けられているのが介護医療院です。介護医療院は、療養病床等からの移行も見込んで2018年4月に創設されました。

介護医療院とは?

厚生労働省のWebサイト「介護医療院公式サイト」では、介護医療院の役割・理念について以下のように記載されています。

【介護医療院の役割・理念】

当面の間、介護医療院は、療養病床等からの移行が見込まれますが、単なる療養病床等からの移行先ではなく、「住まいと生活を医療が支える新たなモデル」として創設されました。介護医療院においては、「利用者の尊厳の保持」と「自立支援」を理念に掲げ、「地域に貢献し地域に開かれた交流施設」としての役割を担うことが期待されます。

引用:厚生労働省「介護医療院公式サイト」

介護医療院は、単なる療養病床等からの移行先ではなく、利用者の尊厳の確保と自立支援を理念に掲げた施設です。そのため、日常生活の介護だけでなく、レクリエーションやリハビリテーションなどのサービスを提供している特徴があります。

また、介護医療院は、Ⅰ型とⅡ型に分類され、施設の人員基準から設備基準がそれぞれ異なります。Ⅰ型とⅡ型の違いについては以下の表をご覧下さい。

介護医療院のⅠ型とⅡ型の違い

Ⅰ型

Ⅱ型

主な利用者像

重篤な身体疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者等

Ⅰと比べて容体は比較的安定した者

施設基準

現状の介護療養型医療施設
(介護療養病床)相当

介護老人保健施設(老健)相当以上

人員配置基準

医師:入居者48人に対し1人(施設で3人以上)

薬剤師:入居者150人につき1人

看護職員:入居者6人につき1人

介護職員:入居者5人につき1人

栄養士又は管理栄養士:入居者定員が100人以上で1人

介護支援専門員:入居者100人につき1人

リハビリ専門職、診療放射線技師、調理員、その他事務員などの従業員:適当数

医師:入居者100人に対し1人(施設で1人以上)

薬剤師:入居者300人につき1人

看護職員:入居者6人につき1人

介護職員:入居者6人につき1人

栄養士又は管理栄養士:入居者定員が100人以上で1人

介護支援専門員:入居者100人につき1人

リハビリ専門職、診療放射線技師、調理員、その他事務員などの従業員:適当数

引用:厚生労働省「介護医療院公式サイト」

Ⅰ型は、現在の介護療養型医療施設相当のサービスを想定して、より手厚い医療ケアを提供する施設です。一方、Ⅱ型は介護老人福祉施設相当のサービスを想定しています。Ⅰ型とⅡ型では、それぞれ対象者や提供する医療ケアのレベルが違うため注意しましょう。

まとめ:介護療養型医療施設から介護医療院へ役割が移行する

介護療養型医療施設は、慢性疾患を抱え、長期間の療養を必要とする方が利用する施設です。施設の機能や対象者の状態が医療療養病床とほぼ同じだったことから2024年3月で廃止されました。

しかし、要介護高齢者の増加とともに、介護現場での医療ニーズは今後も拡大し続けることが予測されます。そのため、介護療養型医療施設が廃止された後は、医療施設との連携や看取り対応を強化した介護医療院のニーズが拡大していく可能性が高いでしょう。

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