本記事では
・実地指導で、介護報酬に関する指摘を受ける場合の主な理由
・実地指導での介護報酬に関する指摘事例
について、解説します。
目次
実地指導とは、自治体の担当職員が事前に通知の上事業所へ出向き
・事業運営の適正化と透明性の確保
・利用者保護及び利用者の視点に立ったサービス等の提供並びに質の向上
・利用者の人権の擁護、虐待の防止等のための体制整備を図ること
に主眼を置いて概ね3年に1回自治体により実施されるものです。
『指導』には、以下の3つがあります。
①集団指導
②書面監査
③実地指導
実地指導に関する詳細は下記の記事が参考になります。
実地指導とは|監査の目的と対象事業所選定方法
実地指導で、介護報酬について指摘をうける指導については、大きく以下2点に分けることができます。
①算定誤り
②不正請求
請求時に勘違いをして誤った請求をあげてしまったことが原因で返還を求められるケースです。
この場合、正しい請求をしなおす指導を受けるため、過誤申立のうえ返還を行い、正しい請求をし直します。
無いものを『有る』として請求し、不正に介護報酬を得ている事が原因で返還を求められるケースです。
悪質であると捉えられた場合は、指定の取り消しに至ることもあります。
ここで注意しなければいけないのは、①の算定誤りが原因であっても、長期的に改善が見られなければ②不正請求と判断されてしまうこともあるという事です。
管理者及びサービス提供責任者は、その責務が運営基準により定められており、事業所を運営するにあたって一元管理を行う事が定められています。
知らなかった、管理しきれなかった、という言い訳は出来ない事に注意しなければいけません。
①介護記録がなく、サービス実施した記録が確認できない。
②異なる利用者に同時間で同じヘルパーがサービス提供した記録になっている。
①介護計画に位置付けられていない深夜の時間帯に、訪問介護のサービスの提供を行っていた。
②加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が、全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずかであるにもかかわらず加算を算定していた。(7時50分~8時50分等)
③ご利用者の都合ではなく、事業所の都合で夜朝の時間帯にサービス提供をしていた。
①介護計画に記載がなく、利用者等の同意を得ずに、2人の訪問介護員により訪問介護を提供し、2人介助の算定をしていた。
②2人介助の算定要件である要件を満たさずに、2人介助を実施し算定していた。
①単なる待ち時間を身体介護として請求していた。
②検査時間、問診時間の立会時間を介護報酬で請求していた。
実地指導(実地検査)における改善指導例については、自治体が実施する集団指導等で広く案内している場合があります。
ご自身の事業所を管轄している自治体のホームページや、担当者に確認すると案内してもらえますので、ぜひ1度確認してみてください。
◆新潟県 実地指導結果からみた介護報酬に係る留意点について
◆京都市 実地指導による介護報酬の算定誤りの具体事例
実地指導は、指摘を受けて、数百万円〜数千万円の返還を求められた例がありますので、甘くみてはいけません。前述した通り、算定誤りが原因で不正請求と判断されることもあるため、日々の適切な運用が求められます。
算定誤りであれば、誠実に対応することで、適正な介護報酬を受け取ることができますで、指摘を受けたらすぐに対応しましょう。