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実地指導・運営指導とは?点検項目・当日の流れ・監査との違いについてご紹介

2023-01-24

近年、介護事業数が年々増加していますが、実地指導(運営指導)(運営指導)の実施率は全国平均で18.3%と低い水準となっています。

さらに実施率が平均を大きく下回る自治体があることや、コロナ禍での実地指導(運営指導)が2年近くできていないことから、新しく厚生労働省より「介護保険指導等運営指導マニュアル」が令和4年3月に改正され、実地指導(運営指導)が運営指導という名称に変更となっています。今後は実地指導(運営指導)は増えていくと予想されます。

「実地指導(運営指導)ではどんなことをするの?」「何を事前に準備しておけばいいか分からない」「違法になることってあるの?」

など実地指導(運営指導)について詳細が分からない事業者様も多いはずです。

介護事業所には必ず実地指導(運営指導)を行うことが定められています。

実地指導(運営指導)は以前に比べてマニュアル化された点検項目等が用意されているため焦らず、事前に内容を確認しながら書類作成をしておけば特に問題はありません。

まずは、実地指導(運営指導)とはどんなものなのか、基本的な知識から事前対策、指導と監査の違いまで分かりやすく説明していきますのでぜひ参考にしてみてください。

 実地指導(運営指導)とは?

実地指導(運営指導)は、介護事業が最適に運営されているか、設備や人員に関する問題はないかなど都道府県や市町村の実施指導員が直接訪問して運営指導やアドバイスを行います。

原則6年に1回実施と定められており、施設系と併設している場合等は3年に1回の自治体もあります。

また、介護給付費が適正に算定されているかを確認する報酬請求指導も行うことが特徴です。

実施の2週間~1か月前頃介護事業所に実地指導(運営指導)の通知書が届くので、実地指導(運営指導)を行う上で必要な書類等を準備する必要があります。

通知書には、訪問日時と時間(予定)、訪問調査員の名前、事業所の出席者と当日必要な運営記録書の細かい指示が記載されています。

社内では、通知書内に記載している書類の他、介護保険や訪問記録などの書類を用意すると良いでしょう。

 実地指導(運営指導)と監査の違い

実地指導(運営指導)は上記に解説した通りですが、似ている監査と同じであると認識している方もいますが、全くの別物です。

それぞれの違いを比較してみましょう。

実地指導(運営指導)は、事前に実地指導(運営指導)通知書が介護事業所に届きます。そのため事前準備や指導内容などを把握することが可能です。

介護事業の運営や人材育成・支援を中心に、介護保険法に基づいた保険の給付や、個別ケアの実現ができているかを見ることが目的となっています。

一方監査は、いわば不正がある場合は許可なく立入検査をします。利用者様からの苦情や相談があり、人員や設備の他に運営基準等の指定基準が違反になっている、もしくは疑いがある場合に行うことが多いです。

実地指導(運営指導)から監査に切り替わる基準は、

  • 運営や設備が利用者様の生命に危険が生じる場合
  • 不正な介護報酬請求が行われている場合

に監査に切り替わることが多く、特に架空請求や水増し請求などが多いのも事実です。

実地指導(運営指導)とは違い、問題があった場合や疑いがある場合に監査を行うため、事前通知はある場合と無い場合があります。もし、監査を行ったうえで改善の勧告や命令に従わなかった場合は行政処分に至る場合もあるので注意しましょう。

実地指導(運営指導)の内容

実地指導(運営指導)は、事前提出書類と実地指導(運営指導)当日に提示する書類に沿って行われます。

主に運営指導と報酬請求指導がチェック対象であり、運営状態に問題がないか確認をします。

具体的には、下記のようなことが確認されるのでチェックしましょう。

・事実介護職員が在籍しているか

・名義貸しをしていないか・研修を定期的に行っているか

・苦情を受けた際には苦情簿を残しているのか

・個人情報関係書類が鍵のついた書庫に保管されているか

 運営指導

利用者さまのニーズを把握し個別ケアを適切に行えているか、利用者の尊厳を守ってケアができているか、特記事項の記載をチェックだけで済ませていないか等を確認します。

極端な不備や内容が薄いと即日改善すべき内容ををその場で通告されるケースも稀にあるので注意が必要です。

実地指導(運営指導)通知がきてから慌てて準備するのではなく毎月チェックできる仕組みを整え、記録と管理を行うと良いでしょう。

 報酬請求指導

報酬請求指導とは報酬請求上、加算か減算かの事項について算定要件に基づいた請求がなされているか確認します。

また、介護報酬の基準に適した運営や体制が確保されているか、架空の水増し請求を行っていないか確認します。

悪意がなかったとしても指導を受けてしまうケースがあるので注意が必要です。

例えば、報酬算定を間違えて利用者様に請求してしまうケースです。

これは正しい指導を受け、過誤申告を行ったうえ返戻をし、利用者様に正しい請求書で請求します。

しかし、算定誤りと認知しているにもかかわらず長期に渡って改善が見られない場合は悪質と判断し、その時点で指定取り消しとなることもあります。

曖昧な部分は放置するのではなく、行政に相談するなどして早めに改善していきましょう。

報酬請求指導は厚生労働省のサイトにマニュアルが掲載されているので、ご確認ください。

参考:厚生労働省

 実地指導(運営指導)で違反と見なされるとどうなる?

実地指導(運営指導)において、不備がある場合は指導をしたり、改善を求め後日に改善報告が求められます。

違反と見なされた場合や勧告を無視した場合は改善命令が出され、さらに改善が見られない場合は介護事業が停止されることがあります。

介護事業は介護保険法・健康保険法に基づくものであるからこそ、悪質な事業者を排除するために、指導や監査が徹底されています。

国のお金が正しく活用されているか確認する実地指導(運営指導)において、違反と見なされるとどうなるのか、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

 指導

実地指導(運営指導)で疑問点があるときや、事前提出書類に不備がある場合、その場で口頭指導を行います。

指導は、自治体が事業所のサービスの向上を目的に行っているので、そこまで身構える必要はありません。

 改善勧告

実地指導(運営指導)を行った結果、介護保険法や人員・設備・運営の基準に違反または、満たせていない場合は、改善勧告が交付されます。

期限や改善内容は各事業所によって違うため、改善勧告を受けた場合は内容をしっかり確認しましょう。

期限は実地指導(運営指導)が行われた日からおよそ1ヶ月以内に改善報告書を求められます。各自治体で期限は異なりますので、改善勧告を受けた際は内容をしっかり確認し期限内に改善し、提出をしましょう。

 改善命令

事業所が改善勧告を受けてから期限内に改善する措置をしなかった場合には、該当する介護事業者に改善命令をすることが可能です。改善命令は、改善勧告と異なり各都道府県のHPに公示されます。公示内容は事業所名と代表者名、なぜ改善命令を出したのかの内容が記載されます。

これは事業者にとってはかなり痛手です。改善勧告を受けた場合は、速やかに項目を確認し、改善報告書を提出しましょう。

 指定の効力の停止

上記の改善勧告、改善命令にも従わず運営をした場合には、指定の効力の停止という措置が取られます。

介護事業所は、都道府県知事から指定を受けて介護保険法に基づいた介護事業を行います。

指定の効力の停止は都道府県知事からの指定が受けられなくなり、介護事業を営むことができなくなることを意味します。

場合によっては実地指導(運営指導)を受けた時点で、指定の効力の停止が行われます。

不正や運営状況が禁止時効に該当する、基準を満たしていないと発覚した場合に処分が下されます。

処分として一番重いのが指定の取り消しです。

再度介護事業を始めたいといった場合は都道府県知事に対して指定をしてもらえるよう申請する必要があります。

指定の効力の停止、指定の取り消しや停止処分は重い処分なので、処分が下される前に、分からないことは行政に電話で聞いたり、書類を仕組み化することで実地指導(運営指導)に取り組みやすい体制を整えたりして改善に努めましょう。

 介護報酬の返還

実地指導(運営指導)を行った結果、事業者が利用者さまから報酬算定を誤って請求したり、不正に水増しして介護報酬を受け取っていた場合は、各自治体が事業者から介護報酬の返還を求めることができます。請求する際に加算の条件を満たしていなかったり、介護サービスが書類上認められていなかったりする場合に、介護報酬の返還を求められます。

返還が求められた場合、2年間の介護保険に関係する書類を確認されることがあります。

介護事業者には介護サービスの提供にかかる一定の記録等について、保存・保管義務が課せられていますが、法律上では保存の義務はありません。

しかし、ほとんどの自治体が条例で5年の保管を義務付けていますので、介護保険給付費請求書等を少なくとも5年間は保存することが望ましいです。

 実地指導(運営指導)の流れについて

実地指導(運営指導)の流れについては、関連書類の確認と、現場でのヒアリングに整合性があるか一つずつ確認していきます。所要時間はおよそ3〜4時間程度です。

特に人員・設備・運営・請求、加算に関する基準を一つの項目に対して、約1時間程かけて確認していきますのでしっかりと準備しましょう。

 実地指導(運営指導)の際の必要書類・準備はある?

実地指導(運営指導)では、通知書で事前に指定をされる事前提出書類と当日提示する書類とがあります。

細かい部分は各自治体で異なりますが、以下の書類は最低限必要ですので準備しておきましょう。一つ一つ漏れがないようにチェックしてみてください。

~事前提出書類、当日提出書類~

・自主点検表

・運営規程

・契約書

・施設パンフレット

・重要事項説明書

・介護サービス計画書

・介護サービス提供記録

・介護給付費の請求書

・介護給付費の明細書

・請求書もしくは領収書

・職員の勤務形態の一覧表

・職員の勤務体制について

・職員の出勤や勤務時の状態がわかる書類

・職員の資格証、もしくは資格証のコピー

・事業所内の研修実施状況がわかる書類

・介護サービス提供に関する調書

・緊急時の対応マニュアル

・事故発生時の対応マニュアル

・事故発生時の対応状況がわかる書類

・苦情対応時のマニュアル

・苦情対応時の対応状況がわかる書類

また、厚生労働省が出している「介護保険施設等運営指導マニュアル」には必ず目を通しておきましょう。

 実地指導(運営指導)のポイント

実施指導当日は、運営状況点検書を見ながらヒアリングすることもあります。

運営状況点検書とは、介護保険法の定める基準が守られているか自己点検をし、記入したものです。

市への提出は不要ですが、もし運営に関して疑問をもたれた場合に提出を求められる場合があります。各事業所で保管をしておきましょう。

介護保険法はとても複雑なので、指導された際は誤魔化さず、分からないことははっきり伝えることで理解が深まります。

指導された根拠や目的が明確でない場合も、具体的に訪ねるなどして素直にアドバイスを聞いて改善していく姿勢が大事です。

実地指導(運営指導)の当日の流れ

事前に提出した書類に問題点はないか、運営状況点検書を見ながらヒアリングをしていきます。

当日は適宜質問され、それに答えていく必要があります。運営状況点検書は各自治体で書式が異なるため、それぞれ各自治体へご確認下さい。

実地指導(運営指導)は開催日時が分かっていることから、当日は運営担当や人事、利用者担当など事業所の運営状態を把握している職員を同席させるようにしましょう。

実地指導(運営指導)の結果はいつわかる?

実地指導(運営指導)の結果が分かるまでの期間は、1月程度が目安です。

この結果を受けて改善指導がある場合は改善を実施します。

実地指導(運営指導)が終わった後も適正な運営を継続すること、改善勧告があった事業所は改善報告書の提出を行う必要があります。

口頭指導による結果報告

口頭指導は、実地指導(運営指導)当日に指導され、すぐに改善が可能な書類の不備などの指導があります。通知から完了までの期間はおよそ2〜3ヶ月ほどで、受領確認後に完了となります。

当日口頭での指摘でそれ以上の指導等を受けない場合もあります。

口頭指摘のみで書面を交付する場合もありますが、交付がない場合でも必ず事業所内で指摘事項は共有して、今後の改善に活かすようにしましょう。

文書指導による結果報告

文書指導は、実施指導から1ヶ月ほどで、結果とともに改善指示書が送付されます。

これは、是正改善を要する事項と根拠条文が記載されており、「是正改善報告書」という書類を期限内に提出します。

もし、期限内に指摘された部分の改善ができない場合は、現在どのぐらい改善したのか改善状況や改善ができない理由などを明確に明記する必要があります。改善が途中までの場合でも、必ず提出期限内に提出をしましょう。

実地指導(運営指導)の実地指導(運営指導)点検項目の例

主な実地指導(運営指導)点検項目は介護事業所の人員や設備、運営、請求、加算、介護報酬査定などです。

介護事業のサービス内容が異なれば点検項目も異なります。

項目は各自治体が発行している自己点検表を参考にするのが良いでしょう。

全サービス共通の点検項目は以下の通りです。

  • 運営の規定・重要事項説明書・契約書の原本(最新のもの)
  • 勤務形態一覧表(実地指導(運営指導)日の前3ヶ月分)

また、以前実地指導(運営指導)を受けた事業所は、指導結果と改善報告書の写しが必要です。

まとめ

実地指導(運営指導)を受けることになって不安に思うかもしれませんが、介護保険法に基づいて健全な運営を行っていれば、その必要はありません。また、介護保険法は複雑で理解が難しいので、素直に分からないことは分からないといい、理解を深めようとする姿勢が重要です。指導を受けた場合でも、今回説明した内容を踏まえて、すみやかに対応するようにしましょう。

実地指導(運営指導)に関する理解を深めて、よりよい介護事業のサービスの提供へとつなげていきましょう。

 

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