「高齢の親を家に1人で置いておくのが心配」
「近所付き合いがないので、人と話す場所を作ってあげたい」
このような悩みを持っている方は、多いのではないでしょうか。
いまや介護は「個人」ではなく「地域」で支え合う時代です。
本記事では、介護サービスの1つである「通所介護」ついて、細かく解説していきます。
介護に関して悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
「プロサポ!」は特定事業所加算の運用代行を行うサービスです。
申請書作成及び体制要件の充足を目的とし、申請後に円滑な運用が出来るように支援いたします。
<主な支援内容>
・研修計画の作成&研修システムの提供
・議事録、出席簿の作成
・指示報告システムの提供
・健康診断の受診規定作成
・緊急時案内マニュアルの作成
目次
通所介護は、デイサービスとも呼ばれます。
「介護認定」を受けた方のみ通うことが可能なため要支援1〜2の方は、通所介護を利用することはできません。
老人ホームのように施設内に暮らすサービスではなく、1日又は半日単位で、食事や入浴などの介護やレクリエーションなどのサービスを受けることができます。
通所介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
引用:厚生労働省
上記の文章にもあるように、通所介護の目的は、利用者の「自宅での生活を支える」ことが前提となっています。
「慣れ親しんだ自宅や地域で、最期まで暮らしたい」そう願う高齢者は多くいます。
そんな方のために、自宅で暮らしながらも、日中は介護サービスを受けたり、友人とコミュニケーションをとり、心身ともに健康を維持することを目的としたサービスです。
定められたサービスはありません。事業所ごとに利用者が快適に過ごせるように工夫したサービス提供を行っています。
・食事
・入浴
・排せつ介助
・レクリエーション
・機能訓練
・送迎
上記のサービスはほとんどの事業所が共通して行っています。
事業所によっては、入浴をメインに行ったり、機能訓練が充実していたりと、事業所の強みを持っている場合もあります。
通常の通所介護のほかに、特定の事項に特化したサービスを提供する、通所介護があります。
地域密着型通所介護、療養通所介護、認知症対応型通所介護の3つについて、それぞれの特徴をご紹介します。
地域密着型通所介護は利用者の人数が19人以下と義務づけられています。
これにより、より職員の目が届きやすく、充実したサービスを受けることができます。
また、通所介護はどこの地域からでも通うことができるのに比べ「地域密着型」は、原則として、事業所がある市町村に住んでいる方しか通うことができません。
より地元に密着したサービスとなっているため、顔見知りの方が多く通っていたりと、コミュニケーションが活発になりやすい環境です。
療養通所介護は、医療に特化した通所介護サービスです。
通常の通所介護は、専門的な医療サービスが必要な方は利用することができませんが、療養型通所介護は、看護師が医療サービスの提供を行ってくれるため、末期がんや難病などの方も利用することができます。
重篤な疾患を持つ方を自宅で介護するのは、とても大変なことです。
療養型通所介護は、利用者の家族など、介護者の負担を減らす面でも、活用して頂きたいサービスです。
その名の通り、認知症の方の利用を目的とした事業所です。
認知症対応型通所介護は、都道府県が実施する認知症に関する研修を終えた人、のみが管理者になることができます。
そのため、認知症の利用者への知識と専門性が高く、認知症患者にとっては、より良い環境で過ごすことができます。
また、12名以下の人数制限も設けられているため、職員の目が届きやすく、安全性が高いと言えます。
通所介護のメリットとしては、
・利用者や職員とコミュニケーションをとれる
・家族の負担を軽減できる
通所介護では、利用者や職員と会話をしたり、レクリエーションを楽しんだりと、コミュニケーションを取ることができます。
高齢になると社会との関わりが少なくなり、社会的な存在意義などを感じにくくなる方もいます。
通所介護で人との関わりを楽しむことで、そのような疎外感を緩和することができ、心の健康維持にも役立ちます。
また、朝〜夕方まで通所介護を利用することで、家族などの介護者の負担軽減を測ることもできます。
例えば、認知症や難病などを患っている方では、1人で家いることができず、常に介護者が必要な場合もあります。
1週間のうち数日、通所介護を利用することで、介護者のリフレッシュにもなり、継続的に介護を行うことができます。
デメリットとしては、
・金銭的な負担がある
・外に出るのが嫌になる人もいる
介護度が1の場合、7〜8時間未満の利用で※約655円の費用がかかります。
介護度が上がっていくほど費用は高くなっていきます(介護度5の場合8hで約1142円)。
高い金額ではありませんが、通う回数によっては負担が大きくなることもあります。
大勢の人とのコミュニケーションが苦痛で、デイサービスの利用をきっかけに、外出が面倒になってしまう方もいます。
そんな方は、人数が少ない地域密着型など、自分にあった雰囲気の事業所を選びましょう。
※1割負担の場合
※介護度や事業所の規模によって料金は変動
以下のような方は、通所介護の利用がおすすめです。
・人と話すのが好き
・家族に負担をかけたくない
・体を動かしたい
・自宅での食事、入浴が大変
前述したように、多くの人とコミュニケーションをとることができるので、人と話すことが好きな人は通所介護での時間を楽しめるでしょう。
家族に負担をかけたくないという理由で通所介護を利用する方もいます。
介護者と要介護者が、お互いバランスよく過ごすために役立てることもできます。
また、1人では運動ができない、食事の栄養バランスが心配、自宅での入浴が危険、といった理由から、自宅での生活を補填するという目的で通所介護を利用している方もいます。
通所介護は、利用対象者が限られています。介護保険を使用するため、利用には条件があります。
・通所介護の利用対象者
・利用のための介護保険の申請
上記の2点について、ご紹介します。
通所介護は、要介護認定を受けた方のみ、利用することができます。
その中でもさらに以下のような条件があります。
・特定の医療行為を必要とする方は、療養型通所介護のみ利用が可能
・地域密着型通所介護は指定の市町村の住民のみ利用が可能
事業所によって条件はさまざまですが、上記の内容が一般的です。
介護保険とは、介護認定が行われた方を対象にした保険サービスです。
介護保険を使用して1〜3割負担でサービスを受けるためには、介護度の認定をしてもらう必要があります。
1.住まいの市区町村の窓口にて要介護申請(要支援申請)をする
2.市区町村の職員が訪問し、認定調査を行う
3.認定調査の結果や主治医の意見も踏まえて介護度が決まる
介護認定が済み、介護度が決定した後に、はじめて介護サービスを利用することができます。
通所介護の料金は、介護度や滞在時間によって決まります。
介護度は1〜5の5段階あり、数字が大きくなるほど、多様な介護を必要とします。
その分、事業所(介護者)の負担も大きくなるため、1〜5まで数字が大きくなるほど、料金は高くなります。
また、通常の通所介護と、他のタイプの通所介護でも料金に若干、差があります。
・通常規模型通所介護
・地域密着型通所介護
2種類の通所介護について、それぞれの料金をまとめます。
〈通常規模通所介護 料金一覧〉
介護度1 | 介護度2 | 介護度3 | 介護度4 | 介護度5 | |
3時間以上4時間未満 | 368単位 | 421単位 | 477単位 | 530単位 | 585単位 |
4時間以上5時間未満 | 386単位 | 442単位 | 500単位 | 557単位 | 614単位 |
5時間以上6時間未満 | 567単位 | 670単位 | 773単位 | 876単位 | 979単位 |
6時間以上7時間未満 | 581単位 | 686単位 | 792単位 | 897単位 | 1,003単位 |
7時間以上8時間未満 | 655単位 | 773単位 | 896単位 | 1,018単位 | 1,142単位 |
8時間以上9時間未満 | 666単位 | 787単位 | 911単位 | 1,036単位 | 1,162単位 |
〈地域密着型通所介護 料金一覧〉
介護度1 | 介護度2 | 介護度3 | 介護度4 | 介護度5 | |
3時間以上4時間未満 | 415単位 | 476単位 | 538単位 | 598単位 | 661単位 |
4時間以上5時間未満 | 435単位 | 499単位 | 564単位 | 627単位 | 693単位 |
5時間以上6時間未満 | 655単位 | 773単位 | 893単位 | 1,010単位 | 1,130単位 |
6時間以上7時間未満 | 676単位 | 798単位 | 922単位 | 1,045単位 | 1,168単位 |
7時間以上8時間未満 | 750単位 | 887単位 | 1,028単位 | 1,168単位 | 1,308単位 |
8時間以上9時間未満 | 780単位 | 922単位 | 1,068単位 | 1,216単位 | 1,360単位 |
〈通所介護 加算対象サービス 料金一覧〉
サービス内容 | 加算される単位 |
入浴介助加算(Ⅰ) | 1日につき+40単位 |
中重度者ケア体制加算 | 1日につき+45単位 |
生活機能向上連携加算 (Ⅰ) | 1月につき+100単位(3月に1回を限度) |
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ | 1日につき+56単位 |
ADL維持等加算(Ⅰ) | 1月につき+30単位 |
認知症加算 | 1日につき+60単位 |
若年性認知症利用者受入加算 | 1日につき+60単位 |
栄養アセスメント加算 | 1月につき+50単位 |
栄養改善加算 | 1回につき+200単位(月に2回を限度) |
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) | 1回につき+20単位(6月に1回を限度) |
口腔機能向上加算(Ⅰ) | 1回につき+150単位(月2回を限度) |
科学的介護推進体制加算 | 1月につき+40単位 |
上記以外にも、加算対象となるサービスがあります。
サービスコードとは、介護給付費明細書やサービス利用表等に記載される6桁の数字で表されるコードのことです。
介護サービスを数字で表すことで、サービスの料金を分かりやすく一覧することが出来たり、事務作業の手間を簡略化することができます。
最新のサービスコードや、サービスコードの見方について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
【最新版】通所介護のサービスコード一覧表・見方についても徹底解説
通所介護の運営には、利用者に対してのサービス内容を担保するために、人員体制に関して基準が定められています。
それぞれどのような仕事内容を担っているのかを、ご紹介します。
通所介護の運営にあたり、必要な人員は以下の通りです。
・管理者
・介護職員
・看護職員
・機能訓練指導員
・生活相談員
必要な人数は、利用者の数により変わりますが、どの職種も最低1人以上の人員配置が必要となっています。
管理者は1名以上必要です。
資格などは必要ありませんが、通所介護の職員として常勤であることが条件です。
担当者会議の実施、職員のシフト作成、など事業所運営のための仕事が中心です。
事業所によっては管理者も現場にて介護サービスの提供を行っています。
介護職員は、食事や入浴の補助、排泄の介助、レクリエーション、外出のサポートなど、業務は多岐に渡ります。
サービスの質を担保するため、利用者に対する介護職員の数には規定があります。
下記の表のように、利用者15人までは、職員が1人以上。その後は5人増えるごとに、職員も1人増やす必要があります。
利用者の数 | 職員の数 |
15人まで | 1名以上 |
16〜20人 | 2名以上 |
21〜25人 | 3名以上 |
26〜30人 | 4名以上 |
看護職員は、利用者の血圧や心拍といったバイタルチェック、薬の管理など、医療従事者としての専門性を活かした仕事を行います。
さらに、排便や排尿、食事量の管理など体調に直結する部分を看護師が中心となって管理している事業所もあります。
利用者10名以上に対して、看護師1人以上が必要ですが、常勤である必要はないため、訪問看護ステーション等との兼任も可能です。
利用者が10人以下の場合には看護職員の配置は必須でないので、地域密着デイサービスなど、少人数制の通所介護では、看護職員がいない場合もあります。
機能訓練指導員は、歩行訓練、椅子の立ち座り、ベットからの起き上がりなど、利用者が自立した生活を送るために必要なトレーニングを行います。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、看護職員、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師など、医療系の国家資格を保持している人のみが、機能訓練指導員としての配置が可能です。
利用者の人数にかかわらず、1つの事業所に1名以上の配置が必要です。
社会福祉士、精神保健福祉士などの※資格が必要となります。
業務内容としては、利用者、あるいは利用者家族の相談に対してのアドバイス、ケアマネージャーや他業種との連絡・連携、利用者の受け入れや更新などの手続きなど、多岐に渡ります。
人員配置としては、「生活相談員又は介護職員のうち1人以上は常勤」と定められています。そのため、生活相談員は必ずしも常勤である必要はありません。
※自治体によって条件は異なります
人員基準についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
【2022年最新版】通所介護の人員基準・計算方法を徹底紹介!
3年に一度、社会情勢や物価状況などを踏まえて、介護報酬改定が行われます。
単位数などが変更される場合があるので、介護報酬改定についてはしっかりと確認する必要があります。
通所介護における介護報酬改定については、こちらの記事を参考にしてください。
通所介護を利用するためには、以下の4つのステップが必要です。
①要介護認定を受ける
②ケアマネジャーに相談する
③利用する事業所を選ぶ
④事業所と契約をする
専門的で、複雑に感じる方も多いと思いますので、1つずつ丁寧に解説していきます。
通所介護は、日常生活において介護が必要な方を対象として提供されるサービスのため、市区町村から要介護(介護が必要な状態)と認定された方のみ、利用することができます。
要介護の認定は、市区町村が行っている認定調査を受け、介護が必要と判断された場合に受けることになります。
申請書・介護保険証など必要な書類を市区町村に提出
→市区町村からの依頼で主治医が意見書を作成
→職員が自宅を訪問して調査
上記の流れを経て、コンピューターによる調査結果の審査、主治医の意見などを踏まえて介護度が決まります。
認定調査の内容としては、体の動きや認知力の調査など、いくつかの項目に分かれています。
時間は1時間程度で、結果が出るまでには約1ヶ月かかります。
既にケアマネージャーがついている人は、担当のケアマネージャーに通所介護の利用を検討している旨を相談しましょう。
認定調査直後の方は、まず担当のケアマネージャーを決める必要があります。
・地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターには、ケアマネージャーの所属する事業所のリストがあります。
そのリストをもらって、ケアマネージャーを探すことができます。
・主治医に相談する
主治医の先生にケアマネージャーを紹介してもらう方法もあります。
長年お世話になっている主治医の先生であれば、体の状態や性格なども理解してくれているでしょうから、自分に合ったケアマネージャーを紹介してくれるかもしれません。
・親類や友人に紹介してもらう
自身の兄弟や友人、近所の方などにケアマネージャーがついている場合は、紹介してもらうことも可能です。そのような方がいる場合には、相談してみると良いでしょう。
他にも担当ケアマネージャーを探す方法はありますが、上記のような方法が最も簡単です。
ケアマネージャーが決まったら、次は利用する事業所を選びます。
ご家族やケアマネージャーさんと相談して、食事の内容、レクリエーションや外出の頻度、事業所の規模(利用者の人数)、家からの距離などを考えながら、自分に合った事業所を選びます。
いくつかの候補を決めたら、1日体験をおすすめします。
ほとんどの事業所では、この体験を行っています。実際に利用してみて、事業所の雰囲気を体感してみると、自分に合っているかどうか判断できると思います。
利用する事業所を決めたら、契約を行います。
契約といっても、それほど堅苦しいものではありません。
回数や時間は、後からでも変更が可能ですので、まずは自分のペースで無理なく通うことを大切にしましょう。
事業所によってサービス内容は異なりますが、基本的には以下のような流れになります。
時間 | 項目 | 内容 |
8:30〜 | 送迎 | 職員が自宅まで迎えに来てくれます. |
9:30 | 健康チェック | 到着と同時に体温や血圧などを測ります。 |
10:00 | 入浴 | 順番にお風呂に入ります。 |
12:00 | 食事 | 食事前には誤嚥防止のため嚥下体操を行います。 |
13:00 | 休憩 | 食後の休憩をとります。テレビをみたりベットで寝たり過ごし方は自由です。 |
14:00 | 機能訓練 | 運動をしたり、皆でレクリエーションで頭の体操をする時間です。 |
15:00 | おやつ | お茶とおやつをいただきます。 |
16:00 | 送迎 | 自宅まで送迎してもらい、帰宅します。 |
現在は、最後まで自宅での生活を望まれる方が多くおり、通所介護のような、「自宅で生活と並行して受けられるサービス」の需要は高まっています。
「介護」としての役割だけでなく、社会との関わりや、人との繋がりを感じる上でも通所介護は大切な場所になっています。
本記事では、通所介護の細かな内容についてご紹介しました。
ご家族やご両親など、利用を検討している方が身近にいる場合は、是非参考にしてください。