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特定事業所加算

特定事業所加算とは?【訪問介護 2021年度介護報酬改定対応】

この記事では、訪問介護における特定事業所加算をご紹介してまいります。

特定事業所加算とは

「特定事業所加算」とは、要介護度の高い利用者や支援が困難な場合においても、質の高い介護サービスを積極的に提供し、専門性の高い従業員を多く配置することにより厳しい算定条件を満たす運用を実施している事業所に対して支払われる加算です。また、特定事業所加算Ⅰ及びⅡの取得をしている場合は、特定処遇改善加算(Ⅰ)の算定条件となります。

特定事業所加算は2006年(平成18年)の介護報酬改定にて創設された加算で、創設当初は『直行直帰が当たり前で月に1回程度しかサービス提供責任者と会わない』といった訪問介護員が多く存在していたことを背景に、介護事業所に対して『対面での申し送り』『全員の会議参加』『個別の研修実施』等を行わせることで事業所間での連携強化を求め、質の高い介護サービスだから他の事業所より介護報酬が高いと第三者が客観的に判断できるものを作りました。

創設当初は『他の事業所と提供される介護サービスは同じなのに高い料金を取られる』『上位資格保持者じゃなくても十分な介護サービスを受けることが出来る』『生活保護の認定を受けているご利用者には特定事業所加算事業所による介護サービス提供は行えない』(その様なルールはございません)等の、加算の認知度が低いことによる相違や、料金が高い事を理由に受け入れられることの方が珍しく、近いうちに無くなる取得の進まない加算だと言われていた加算でした。

実際に早々に特定事業所加算を算定した事業所では、既存のご利用者が解約になってしまう、介護支援専門員が単位数の増加を良く思わない等の理由から売り上げが取得後の方が低いという事態に陥ることも有りました。

16年が経過した2022年現在では、『加算要件は国が整備すべき体制を示し、加算分の報酬は取得することで収益が出る介護報酬体系になっている』といった特徴についての認知が進むとともに加算の取得も進んでいます。

特定事業所加算が存在する理由

現在国は2040年に向けて制度の構築を行っています。この年は、1971年~1974年の第二次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」が65歳〜70歳となり、これまで以上に労働人口が減るという特徴のある年で、特に日本の労働力は、2040年を目安に著しく低下し、2040年に高齢者が特に増加するのは、政令指定都市等の主要都市だといわれており、高齢者が増えることで税収が減り自治体が機能しなくなり、水道や電気、鉄道、道路などのインフラまでもが維持できなくなるともみられています。

介護業界においては、2040年に対応すべく様々な対策が取られてきていますが日本全体で労働人口が減る中で、現状で有効求人倍率が居宅系サービスで15%等、異常な数字をたたき出している介護業界に人が流れてくることは想像できません。介護サービスの質を高めるとともに、生産性の向上を目指し、2040年に向けて介護保険制度の構築を行っているのが現在の国の状態だと言えます。

この様な背景から、国がスピード感をもって進めたい、創りたい体制については『加算』を準備して介護事業所を誘導し、反対に減らしたい、無くしたいものについては『減算』を用意して介護事業所を導いていると言ったことが分かります。

例えば特定事業所加算の算定要件には、①人材要件 ②重度者要件 ③体制要件の3軸が用意されていますが上位資格の保持者が多数在籍している事、中重度のご利用者様を受け入れることができる体制があること、研修、申し送り、会議、安全衛生(健康診断)等の運営体制が入っています。

2022年現在、居宅系サービスの対象ご利用者様の介護度は介護1,2が5割を超えていますが、次期報酬改定では要介護1,2を介護給付から外すという話が出ています。この様な流れを読み解くと、『中重度者の受入れを特定事業所加算取得の要件』としてきた国の意図という背景が見て取れるかと思います。

また、特定事業所加算が存在する事業は、介護保険給付サービスの中で居宅介護支援と訪問介護のみです。施設や通いの介護サービスと比較し、連携が困難である特徴や、介護としての専門性を向上させていくことを期待して創設されているということが理由です。

特定事業所加算の種類と単位数と満たすべき要件の種類

訪問介護における算定率及び満たすべき要件は下記の通りです。Ⅰ〜Ⅴまで設けられている評価区分に合わせて、加算される割合が異なります。

【特定事業所加算】ご利用者の総単位数プラス20

算定率20%と最も高く、要件が最も厳しい加算です。以下のすべてを満たす運用を行う必要があります。

体制要件 :①、②、③、④、⑤

人材要件 :⑦、⑧

重度者要件:⑪

 

【特定事業所加算】ご利用者の総単位数プラス10

算定率は10%で、訪問介護事業所がもっとも算定しやすい項目です。

要件①~⑤をすべて満たし、かつ、⑦または⑧のいずれかを満たすこと

体制要件 :①、②、③、④、⑤

人材要件 :⑦ or ⑧

重度者要件:なし

 

【特定事業所加算】ご利用者の総単位数プラス10

算定率10%で、人材要件を満たさない場合で重度者要件を満たす場合は算定が可能ですが、人材要件を満たす事業所が増えているため、算定している事業所は多くありません。以下のすべてを満たす運用を行う必要があります。

体制要件 :①、②、③、④、⑤

人材要件 :なし

重度者要件:⑪

 

【特定事業所加算】ご利用者の総単位数プラス5

所定単位数の 5%を加算出来る項目で、全職員の個別研修の実施要件がなく、人材要件及び重度者要件が他の項目と異なります。以下のすべてを満たす運用を行う必要があります。

体制要件 :②、③、④、⑤、⑥

人材要件 :⑨

重度者要件:⑫

 

【特定事業所加算】ご利用者の総単位数プラス3%(令和4年度新設)

所定単位数の 3%を算定できる項目で、令和3年度より新設されています。以下のすべてを満たす運用を行う必要があります。

制要件 :①、②、③、④、⑤

人材要件 :⑩

重度者要件:なし

※新設加算Ⅴは、加算Ⅲ(重度者対応要件による加算)との併算定が可能ですが、加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ(人材要件が含まれる加算)との併算定はできません。

算定要件

特定事業所加算の算定要件【体制要件】

  • 計画的な研修の実施:全ての訪問介護員等に対し、訪問介護員等ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い研修を実施又は実施を予定していること。
  • 会議の定期的開催:利用者に関する情報もしくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。※テレビ電話等のICTの活用も可能(追加)
  • 文書等による指示及びサービス提供後の報告:サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること。
  • 定期健康診断の実施:当該指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施すること。
  • 緊急時における対応方法の明示:指定居宅サービス等基準第 29 条第 6 号に規定する緊急時等における対応方法が利用者に明示されていること。
  • サービス提供責任者ごとに作成された研修計画に基づく研修を実施すること

特定事業所加算の算定要件【人材要件】

⑦訪問介護員等の総数の割合が以下のどちらかを満たしていること

・介護福祉士が 30%以上

・介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、ホームヘルパー1級修了者が50%以上

⑧全てのサービス提供責任者が 以下のどちらかを満たすこと

3 年以上の実務経験を有する介護福祉士

5 年以上の実務経験を有する実務者研修修了者もしくは介護職員基礎研修課程修了者、ホームヘルパー1級修了者

⑨サービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、規定する基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること

⑩訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合30%以上であること(新設)

特定事業所加算の算定要件【重度者要件】

⑪前年度、または前3ヶ月で要介護45の利用者、認知症(日常生活自立度以上)の利用者、喀痰吸引等の行為が必要な利用者が合わせて20%以上

⑫前年度、または前3ヶ月で要介護3~5の利用者、認知症(日常生活自立度以上)の利用者、喀痰吸引等の行為が必要な利用者が合わせて60%以上

特定事業所加算を取得するメリット、デメリット

メリット

①安定した経営の維持が可能

現在、大手の法人を中心に44.2%2020年)の事業所で取得されており、その加算に加え特定処遇改善加算の取得を行うことで他事業所より多くの賃金を支払うことや、管理者・サービス提供責任者の膨大な作業を削減することに使用されています。

②質の良いサービスを提供している事業所であると評価を受ける

特定事業所加算の算定には、研修を充実させることや細かい申し送りが必要となります。これらは本来、介護事業所として行われなければいけないことではありますが、よりしっかりと行われることが求められるため、ご利用者側が『事業所を選ぶ』際のポイントになります。

③職員の採用・定着につながる

特定処遇改善加算の中でも加算率が1番高い『特定処遇改善加算』を算定できます。訪問介護の特定処遇改善加算Ⅱは4.2%の加算率ですが、特定処遇改善加算になると6.3%の加算が受けられます。これにより従業員に対し、さらなる処遇改善をすることが可能です。※特定事業所加算Ⅱの取得をしている場合に限る

④介護業界で生き残れる事業所になる

冒頭お話させて頂いた通り、近い将来要介護1,2の方は総合事業へ移行される見込みです。この時に当たり前に備えるべき事業所の体制が特定事業所加算の要件で設定されているものです。

 

デメリット

  • 手間がかかる・何をしたらいいのか分からない

特定事業所加算を取得するにあたり、特に多い声が『手間がかかる』『よくわからない』ということです。使用する書式や体制等の事前準備が非常に大切になります。

②運営指導(実地指導)で返還を求められたと聞いて怖い

要件を正しく理解せず、その運用を怠れば返還を求められてしまうのがこの加算です。実際のところ、求められる要件は決して甘くなく、数百万〜数千万円の返還を求められた事例も少なくありません。自社で正しく運用する自信がない場合は、代行サービスを利用するのも一つの手です。

③利用者の負担が増える・介護支援専門員からの紹介が減るのでは?

10年ほど前は、まだまだこの加算の認知度が低く、ご利用者も介護支援専門員の皆様も『特定事業所加算を取得している事業所』を選びにくいというお声もありました。令和4年現在では、大手を中心に特定事業所加算の取得は『当たり前』になってきており、むしろ特定事業所加算の取得がない=賃金が少ないというイメージを持っている介護職員もいます。

介護職員が不足すれば、サービスを提供することは出来ず、ご利用者にとって一番大切な『継続してサービスを提供する』ということが出来なくなります。

ご利用者の負担が増えるのは事実ですが、今まで4,000円の自己負担を支払っていた場合、加算のⅠで800円、加算の400円の負担が増える計算になります。『800円、400円を支払っても、このヘルパーさんに来てほしい』『800円、400円負担が増えるなら、このヘルパーにはもう来てもらわなくていい』多くのご利用者が、800円、400円を支払うことを選んでいるというのが実態です。

特定事業所加算の要件を満たす研修計画の立て方・書式・事例

特定事業所加算の個別研修を考えるには、まず全体で行うべき法定研修と、特定事業所加算の算定要件である個別研修を分けて考える必要があります。

  • 個別研修:職責、経験年数、勤続年数、所有資格及び本人の意向等に応じて個別に策定さする必要があります(経験年数や職責等で職員をグループ分けして作成しても良いとされています)これは、個別研修の目的が、所属する職員個々の質を向上させることにあるからです。また、全職員が年に1回以上の研修を受講する必要があるため、毎年度計画を立てることが必要だと言えます。
  • 全体研修:全体の研修計画では、特定事業所加算を取得していない場合でも、訪問介護事業所が『実施しなければいけない研修』が、いくつか存在します。例えば、感染症予防のための『感染症予防研修』食中毒予防のための『食中毒予防』高齢者虐待防止法における『虐待・身体拘束』等の研修が該当します。

全体的に実施すべき法定研修は、訪問介護事業所として特定事業所加算を取得している、していないに関わらず『発生させないための必要な措置を講じる』ために必要であることから、基本的な知識として全体研修に位置付けるべきものとされます。

このような違いから、個別の研修計画と全体の研修計画は分けて実施しなければいけないものとして取り扱われます。

個別研修計画の事例と書式

個別研修計画は、以下の項目で構成されます。

・名前

・個人目標

・研修目標

・研修内容

・実施時期等(内部研修・外部研修それぞれ)

・備考

研修計画の作成時期

新たに加算を算定するにあたっては、加算取得の届出を行うまでに、加算開始月から当年度末までの計画を策定してください。また、次年度以降も加算を継続する場合は、少なくとも次年度が始まるまでに次年度の計画を定めておく必要があります。

注)厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚労告第95号)の居宅介護支援では、“研修を実施していること”としていますが、訪問介護と同様に、“実施又は予定していること”と理解してください。

特定事業所加算申請時や運営指導(実地指導)時に確認される書類

特定事業所加算申請や運営指導(実地指導)の時に確認が求められる書類について、確認しておきましょう。自治体により多少の違いはありますが、体制要件を満たす運用・環境であることを確認するため、主に以下の書類の提出を求められます。

【確認を求められる書類】

・全体研修の年間計画

・個別研修の年間計画

・全体研修の実施状況がわかるもの

・個別研修の実施状況がわかるもの

・全体 / 個別それぞれの研修資料

・全体 / 個別それぞれの研修参加票

・全体 / 個別それぞれの研修参加記録(研修受講票や研修受講感想記録 / 受講記録等)

特定事業所加算における個別の研修計画と実施は、『全体研修とは別の、個別に立てられた研修計画があり、その計画にそった研修が実施されているか』がポイントになります。そのため、申請時の提出書類や運営指導(実地指導)では、個別の研修計画と実施状況の確認の他に、『全体の研修計画と実施状況』が確認されるという事を覚えておかなければなりません。

運営指導(実地指導)の指摘事例

研修計画において、運営指導(実地指導)での指摘事例は以下のようなものが挙げられます。

・所属している職員全員の計画を策定していなかった(勤務形態一覧表に氏名が記載されている職員はすべて必要)

・策定している年間個別研修計画に位置付けられた研修が、基本的な研修であった(特定事業所加算取得にあたっては、個別具体的な計画を立て実施しなければいけない)

・計画された研修を実施した記録の確認が取れなかった

・全体で実施される研修と同様の研修が位置付けられており、個別具体的な研修計画といえない

・研修計画に、具体的な実施時期等必要な項目の記載がない

運用するための課題と解決方法

体制要件である研修計画を正確に運用していくためには、職員ごとに計画を策定し『研修が実施されたか、目標に対しての評価があるか』が大きなポイントになって来ます。必ずしも目標を達成することが必要ではなく、『目標に対して実施した結果』である評価が出来ているかがポイントとなります。

また、個別研修で実施されるべき研修は『基礎的な研修ではなく』『介護の質をあげるためのもの』でなければならず、基礎的な研修を実施しただけでは算定要件は満たしません。

【個別研修の例】

良い事例:

①スーパービジョンにおけるスーパーバイザーとしての研修

②ファシリテーターとなる為の研修

③ユマニチュードの修得研修

④ボディメカニクスを利用した介助の修得研修

上記のように、基本的な研修や資格取得時に習得するものではなく、応用やより質を高めるための研修でなければいけません。

悪い事例:

①“○○の理解”、“○○の基礎”、“○○について”等

資格取得時の学習範囲と重なっており、特定事業所加算の趣旨と合致していることが読み取れない場合があります。専門性を高めるために何をどのレベルまで向上させたいか、明確にする必要があります。また、基本理念や基礎的な部分の復習、接遇研修など社会人として広く一般的なマナーを身につけるものなどは、通常の研修として行うべきものと考えられるものではいけません。

②“介護保険法の改正について”“倫理について”

業務を遂行するために必要な情報、研修であり特定事業所加算の趣旨とは合致しないとみなされます。また、“○○事例検討会の出席”などは修得予定の目標に合致するかが曖昧な場合が有り、特定事業所加算等の研修として相応しいと言えない場合があります。

計画

不正なく運用するには?

研修計画の策定、実施の要件を満たす運用をしていくためには、以下3点に注意する必要があります。

①要件を満たす研修計画を策定する

②研修が実施されたかの管理を行う

③評価が適正な時期に行われたか管理をする

研修の計画を策定し、実施しても『基本的な研修』では算定要件を満たしません。また、計画が策定されていても、『実施』されなければ算定要件を満たしません。

会議

特定事業所加算の算定要件を満たす会議の内容・開催方法

特定事業所加算の取得に求められる体制要件を満たすには「会議開催」を適切に行うことが必須です。しかし、実際のところ、多くの事業者様が「会議開催は難しい」と感じています。

中でも

○全社員が集まれない

○会議の内容を決められない

は、多くの事業者様に共通した悩みとしてよく耳にします。

会議開催に関するよくある悩みと解決策

会議開催に関する悩みで、最も多いのが『サービスのために1度に集まることが出来ない』『サービスの調整がつかず、集まりが悪い』といった、訪問介護事業所ならではの問題です。ここでご認識いただきたいのが「会議は、必ずしも1回で全従業員を集める必要はない」ということです。

主となる開催日を決定し、その日に出席できない職員には、同月内に同様の内容で開催、共有を行うといった場合も、参加したと認められます。この場合の注意点としては、以下です。

【会議開催の注意点】

〇会議の参加日時をそれぞれ記録に残すこと

〇議事録は、開催の都度残すこと

※主となる会議が1回、個別に開催・共有したのが3回であれば、4つの議事録が必要です

また、法人様によっては、WEB会議の導入など、対面以外の方法で実施されているケースもございますので、法人、事業所の状況によって工夫することが必要です。

【会議の項目】

  • 利用者に関する情報、サービス提供にあたっての留意事項の伝達
  • 当該指定訪問介護事業所におけるヘルパー等の技術指導

※どちらか片方で大丈夫です

特に②については研修とされ混在されやすく、運営指導(実地指導)でも多くの指摘がある項目です。

例えば『ヘルパーの技術向上のために食中毒の研修を行った』という場合は、研修を行ったとみなされ特定事業所加算における会議開催の要件を満たしたと捉えられない場合があります。

特定事業所加算における会議開催は、『あくまで会議』であることから、

〇担当利用者別にご利用者様の抱える疾患からサービスにあたっての注意点を共有する(留意事項の伝達)

〇担当利用者別の住宅環境から、危険のない移乗介助を共有する(技術指導を目的とした会議)

等、研修とはしっかりとすみ分けた議題の設定が必要です。

運営基準

特定事業所加算申請時や運営指導(実地指導)時に確認される会議開催の書類

ここで、特定事業所加算申請や運営指導(実地指導)の時に確認が求められる書類について、確認しておきましょう。自治体により多少の違いはありますが、体制要件を満たす運用・環境であることを確認するため、主に以下の書類の提出を求められます

【確認を求められる書類】

○年間の会議予定

○議事録

○実績がある場合は資料、参加表等の実施と全員参加したことが分かる書類

申請時にも、会議を開催した実績を求められ『開催時の資料と議事録、全職員が参加したことの分かる参加表を提出してください』と言われることがありますので事前に確認が必要です。申請時に年間の会議予定確認が有る理由は、要件の中で『技術指導を目的とした会議』と明記されていることから、研修として混在して実施してしまっているケースがあるためです。また、研修と会議は別々に考え、それぞれの要件を満たす運用を行わなければならず、運営指導(実地指導)の際には主に以下の4点が確認されることとなります。

【確認されるポイント】

〇会議目的が利用者に関する情報、サービス提供にあたっての留意事項の伝達、当該指定訪問介護事業所におけるヘルパー等の技術指導になっているか

〇少なくとも月に1回以上開催しているか

〇所属する全従業員が参加しているか

〇会議議事録に会議の詳細が記載されているか

これらが、書面をもって確認できる運用を行うことが大切です。定期会議に関する注意点やよくある不備への対策については資料にもまとめております。

特定事業所加算取得における健康診断の注意点とQA

特定事業所加算の取得に求められる体制要件を満たすには定期的な健康診断の実施が必要です。年に1回のみの実施であるため、仮に、健康診断に不備があることが発覚した場合は年度での返還となり、他の体制要件に不備があった場合と比較して高額な返還を求められてしまいます。

健康診断の注意点

〇年に1回とは、前回の受診日から1年(365日)以内を指す(1部自治体では年度で確認する場合もあり)

〇管理者、サービス提供責任者、非常勤を含めた直接介護を実施する全従業員に実施が必要

〇夜勤の勤務体制を引いている場合は、年に2回実施が必要

全ての介護訪問員に対して毎年1回以上の健康診断を事業所負担で行なう必要がある

健康診断の要件を満たすには、全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施していることが条件になります。さらに、少なくとも1年以内ごとに1回、事業主の費用負担により実施していることが必要です。

訪問介護員が事業者の実施する健康診断を本人の都合で受診しない場合については、他の医師による健康診断(他の事業所が実施した健康診断を含む。)を受診することでも良いとされており、この場合は事業所が費用の負担を行わなくても良いとされています。

要件の中に『少なくとも年に1回以上』とあることから、多くの自治体では前回受診日から1年以内に実施していなければいけないという解釈で運営指導(実地指導)が行われていますので、注意が必要です。

また、事業所の管理者は、必ず健康診断の結果を書面にて確認、保管し、訪問介護員としての就労が可能な状態かを確認しなければいけません。これは、事業所が実施した健康診断に参加できず、介護員が自身で健康診断を受けた場合も、同様に書類の保管が必要です。

健康診断に関するQA

Q:自治体(市や区)が行う健康診断に受診した場合、健康診断書を提出すれば要件を満たすか?

A:満たします。この場合も、管理者は健康診断書の控えを確認、保管し、健康状態を把握する必要があります

 

Q:自治体(市や区)が行う健康診断の実施時期も、前回受診日から1年以内でないといけないか?

A:1年以内でないと要件を満たしません。自治体の実施時期が1年(365日)以上となってしまう場合は、自治体での実施を待たずに健康診断を受診する必要があります。

 

Q:健康診断の結果は、何年間保存しなければいけないか?

A:特定事業所加算の請求のための根拠資料ですので、省令では2年、条例では5年の保管が必要です。(多くの条例では5年とされていますが、管轄する自治体の条例を確認しましょう)

 

Q:特定事業所加算の申請を行う前に全職員の受診が必要か?

A:必要ありません。申請の段階では、『実施を予定している事』が要件ですので、〇〇月ころ実施する予定である等、確認が出来る書類の提出が求められます。

 

Q:特定事業所加算の申請時に健康診断規定等の提出が求められるか?

A:求められる自治体が多いです。

 

自治体が確認するポイントは、『対象を全従業員としているか』『費用は事業所負担だと明記されているか』『実施は年に1回以上とされているか』『受診項目は労働安全衛生法に基づいているか』等、要件を満たすルールが敷かれているか確認があります。

サービス提供責任者

運営指導(実地指導)での指摘事例・返還事例

要件としてはとてもシンプルなものですが、実は運営指導(実地指導)時には健康診断の要件を満たさず返還することが多く、また金額も多額になってしまう恐れがあります。返還額が大きくなる理由は、他の要件が月ごとに実施することとされているのに対し、健康診断は年に1回の実施であるためです。

つまり、『年に1回以上の受診が1人でも確認できなければ、1年間分返還しなければいけない』という事になります。

特定事業所加算の指示(伝達)と報告の注意点とQA

ほとんどの事業所で直行直帰となっている訪問介護員と、自らがサービス提供を行うこともあるサービス提供責任者が、それぞれ多忙を極める中で、サービスの都度連携を図ることは容易ではなく、多くの事業所様が苦労されています。

【要件全文】

〇サービス提供責任者が訪問介護員等に対して文書等による指示を行い、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること

〇サービス提供に当たっては、そのつどサービス提供責任者が当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達を行うこと

〇伝達の内容は、少なくとも以下の事項について、その変化の動向を含めて記載(伝達)していること。

  ① 利用者のADLや意欲

  ② 利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望

  ③ 家族を含む環境

  ④ 前回のサービス提供時の状況

  ⑤ その他サービス提供に当たって必要な事項

※④は毎回必ず記載(伝達)すること(注;伝達内容が毎回「特変なし(特に変化なし)」等となっているような場合は、実質的には伝達(指示)を行っていないものとして返還(過誤)対象となる場合があります。(以外の事項は、初回および変化があった場合のみ記載することで可)

指示(伝達)と報告の注意点とQA

Q1:指示を出すタイミング、報告を受けるタイミングはいつ?

指示はサービス提供前に出し、報告はサービス提供後に受ける必要があります。報告をもとに、少なくとも『前回提供時の様子』は毎サービスごとに伝達する必要があることから、原則、報告を受けるタイミングはサービス提供後速やかに受けることが必要です。

Q2:文書等の確実な方法とは、どのような方法があるか?

具体的には、FAX、メール、システム等を指します。運営指導(実地指導)等では、サービス提供前に指示を出したことを示さないといけませんので、指示を出した日時、指示者等明確にしておく必要があります。

システムと呼ばれる中には、これらが示せない場合があるものもありますので、注意をしてください。

Q3:深夜や休みの日にも報告を受け、指示を出さなければいけないのか?

厚労省発のQAで、『サービス提供責任者が公休の場合や勤務時間外の場合等に限り、文書等による事前の指示を一括で行い、サービス提供後の報告を適宜まとめて受けることも可能である。』とされています。この場合、運営指導(実地指導)等で実際に公休であったか等の確認がある可能性があります。

Q4:システム等を使用せず、文書で実施することを考えているが注意点はあるか?

サービス提供前に指示を出し、サービス提供後に報告を受けるという流れがあることから、『タイムラグ』が発生する可能性があります。また、都度指示を出した時間、報告を受けた時間の記録を行う必要がありますので、それだけでも人件費や交通費がかさんでしまうことが懸念されます。

Q5:特定事業所加算の申請時に提出する(確認される)書類は何か?

実際に指示、報告のやり取りをした記録が確認される場合があります。サービス提供前に指示が出されているか、前回提供時の状況は最低限入っているか、報告に特変があるのに指示が適切に出ていない等の整合性が取れないといった矛盾はないか等が確認のポイントです。

まとめ

人材要件、重度者要件について直近3カ月の要件を満たすことをもって申請をしている場合は、毎月要件を満たした割合になっているかの確認が必要です。また、体制要件については毎月すべての要件を満たしているか責任をもって確認する必要があり、ICTはもちろん、人の手が必要不可欠です。

2040年に向けて備えるべき体制だということは頭ではわかっていても、現実的に現在動いている業務プロセスの中で実施しようとすると、大変に困難でありただの『業務が増える』だけで終わってしまいます。要件を十分に満たすことが出来ず業務だけが増え、運営指導で『返還』に至ってしまう結果はあまりにも悲しい結末です。

要件を十分に理解した上で、自社に何が有って、何が不足しているかを確認し、上手に業務プロセスに沿った運用を行うということが何より重要です。

 

〇加算取得できるかどうかチェックしたい方はこちら

加算獲得チェックシート(特定事業所加算 未取得の方向け)

〇実地指導準備をしたい方はこちら

返還診断チェックシート(特定事業所加算 取得済みの方向け)

 

 

 

 

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