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要支援と要介護の違いは?それぞれの特徴やサービスの違いについて解説!

 「要支援」と「要介護」、どちらも耳にしたことがあるけれど、明確な違いがわからないという方が多いのではないでしょうか?

こちらの記事では、要支援と要介護の違いはもちろん、それぞれの支給限度額や利用できるサービス内容の違いについても詳しくお伝えします。

要支援と要介護は何が違う?

要支援とは、日常生活は概ね1人で送れるものの、要介護になった場合の予防として支援が必要な状態であること。

それに対して要介護とは、ひとりで日常生活を送ることが困難であり、介護が必要な状態であることです。

以下は要支援と要介護の異なる点です

①要支援よりも要介護の方がより支援が必要

②介護保険の支給限度額が違う

③ケアプランの作成元が違う

この3点について解説していきます。

①要支援よりも要介護の方がより支援が必要

要支援は2段階、要介護は5段階の区分が設定されており、それぞれの特徴は以下の通りです。

要支援1

日常生活での動作は基本的にひとりで行える

一部動作で助けや見守りが必要な状態

要支援2

筋力の衰えがあり歩行や立ち上がりの動作が不安定

介護が必要となる可能性が高い状態

要介護1

日常生活・歩行・立ち上がりにおいて一部介助が必要

認知機能低下が少々ある状態

要介護2

日常生活での動作において要介護1よりも介助が必要

認知機能低下がある状態

要介護3

日常生活での動作全般において介助が必要

歩行や立ち上がりの際に杖・歩行器・車いすを使用

認知機能低下のため見守りが必要な状態

要介護4

日常生活のあらゆる面で要介護3の状態よりも介助が必要

理解力や思考力が低下している状態

要介護5

日常生活のあらゆる面で介助が必要

コミュニケーションを取るのが困難な状態

要支援・要介護それぞれの段階の基準からもわかるように、運動機能のみならず理解力や思考力などの低下がみられる要介護の方が、介護の必要性が高いと言えます。

どの段階に認定されるかによって、受けることができるサービスの種類や支給限度額に違いがあります。

わかりにくいのが「要支援2」と「要介護1」の違いですが、これは、認知症の有無と状態の安定性が区別のポイント。

認知症の疑いがあると判断されたり、現在の状態が半年以内に大きく変化する可能性があると判断されたりすると、要介護1と認定されます。

②介護保険の支給限度額が違う

介護に関するサービスを利用するにあたっては、介護保険が適用されます。

原則的に自己負担額1割(所得によっては2〜3割)ですが、無制限というわけではありません。

要支援・要介護それぞれの段階によって支給限度額が定められていて、限度額を超えた場合は自己負担となります。

各段階の支給限度額は以下の通りです。

要支援1

50,320円

要支援2

105,310円

要介護1

167,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

参考:厚生労働省

③ケアプランの作成元が違う

ケアプランは、利用者やその家族の要望を取り入れて作成される介護計画書です。

要支援と認定された場合に受けられる「介護予防サービス」と要介護と認定された場合に受けられる「介護サービス」を利用するにはケアプランが必要ですが、それぞれの作成元が異なります。

ちなみに、ケアプランの作成費用は、要支援・要介護どちらの場合でも介護保険が適用されるので、利用者が負担する必要はありません。

作成元

要支援(介護予防サービス)

地域包括支援センター

要介護(介護サービス)

ケアマネージャー

地域包括支援センターとは、市町村が設置している機関です。

市町村の役所内で実施されていたり、市町村から運営を委託された医療法人や社会福祉法人、また、各介護事業所に併設されたりしています。

場所の詳細は各市町村の介護保険担当窓口で問い合わせてみてください。

要支援と要介護の利用できるサービス内容の違い

要支援と要介護では状態に違いがあるため、利用できるサービスの内容にも違いがあります。

要支援の場合は、要介護の状態に進行するのを予防するための「介護予防サービス」。

それに対して要介護の場合は、必要な介護を受けることができる「介護サービス」の利用が可能です。

両方とも多種多様のサービスを受けられるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

要支援は介護予防サービスを利用できる

要支援の段階で利用できる介護予防サービスは、現状よりも悪化したり、要介護の状態になったりするのを防ぐなど、生活機能の改善が主な目的です。

介護予防サービスの内容や金額は地域によって異なるので、利用前に調べておく必要があります。

具体的にどんなサービスがあるのかをリストアップしてみました。

なお、利用金額は基本的に要介護1より要介護2の方が高い傾向があります。

①介護予防サービス

自宅で受けることができる介護予防サービスには以下のような種類があります。

・介護予防訪問入浴介護

・介護予防訪問看護

・介護予防訪問介護

・介護予防訪問・通所リハビリテーション

・介護予防居宅療養管理指導

・介護予防福祉用具貸与 

・特定介護予防福祉用具販売 

・介護予防短期入所生活介護(福祉施設等のショートステイ)

・介護予防短期入所療養介護(医療施設等のショートステイ)

・介護予防特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)

参考:厚生労働省

介護予防サービスには各々特徴があります。

自分や家族が利用するのであればどのサービスが一番いいのか、いくつか比較してから選ぶようにするといいでしょう。

②地域密着型介護予防サービス

住み慣れた地域での生活ができるようにするための支援が、地域密着型介護予防サービスです。

2006年の介護保険制度改正で創設された制度で、市町村によって指定された介護事業所が行っています。

施設の規模が小さく、きめ細かいサービスが受けられるのが特徴です。

事務所も地域の住民と交流を持ちやすい場所にあり、孤立することなく親しみやすい環境でサービスを受けられます。

また、月額報酬のサービスもあり、馴染みの職員による介護が受けられるのもメリットのひとつです。

具体的には以下の4種類になります。

・介護予防認知症対応型通所介護

・介護予防小規模多機能型居宅介護

・介護予防認知症対応型共同生活介護

・介護予防支援

参考:厚生労働省

すべて小規模多機能型居宅介護と訪問介護がミックスされたサービスで、医療依存度が高い利用者に対しての対応も可能です。

③介護予防・日常生活支援総合事業

こちらも2015年の介護保険改正によって創設され、2017年4月より各市町村において実際にサービスが始まりました。

対象となるのは、要介護1・2の該当者に加えて日常生活において手助けが必要な65歳以上の高齢者です。

また、25項目の質問から成る「基本チェックリスト」にて対象者と判断された場合もサービスを受けられます。

これにより、要支援の状態に近い高齢者もサービスを受けられるようになりました。

大きく分けると「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」がありますが、それぞれの特徴は以下の通りです。

介護予防・生活支援サービス事業

一般介護予防事業 

対象者

要支援認定者

基本チェックリスト該当者

第1号被保険者

支援活動に関わる者

サービス

訪問型サービス

通所型サービス

その他の生活支援サービス

介護予防ケアマネジメント

介護予防把握事業

介護予防普及啓発事業

地域介護予防活動支援事業

一般介護予防事業評価事業

地域リハビリテーション活動支援事業

参考:厚生労働省

要介護は介護サービスを利用できる

要介護の該当者が受けられるサービスは以下の3種類です。

①居宅型介護サービス

②施設型介護サービス

③地域密着型介護サービス

利用できるサービスや場所にはそれぞれ違いがあるので、生活環境や条件に合うものを選びましょう。

①居宅型介護サービス

住み慣れた自宅での介護サービス、また、一定時間の通所や短期の入所による介護サービスです。

通所や入居というと施設サービスなのでは?と思われがちですが、高齢者向けの一般住宅や住宅型老人ホームはあくまでも住宅であり施設とは区別され、それらでサービスを受ける場合は、居宅となります。

居宅型介護サービスは以下の4種類で、それぞれサービスの種類が異なります。

訪問サービス

・訪問介護(ホームヘルプサービス)

・訪問入浴介護

・訪問看護

・訪問看護訪問リハビリテーション

・居宅療養管理指導

通所サービス

・通所介護(デイサービス)

・通所リハビリテーション

短期入所サービス

・短期入所生活介護(ショートステイ)

・短期入所療養介護

その他

・特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)

・福祉用具貸与

・特定福祉用具販売

参考:厚生労働省

②施設型介護サービス

施設型介護サービスでは、自宅ではなく、施設に入所してサービスを受けます。

あくまでも在宅での生活に復帰できることを目的とした入所が理想ですが、最近では看取りケアが可能な施設も増えてきています。

施設型介護サービスの例は以下の通りです。

・介護老人福祉施設

・介護老人保健施設

・介護療養型医療施設

・介護医療院

参考:厚生労働省

③地域密着型介護サービス

2006年の介護保険制度改正にて創設された、市町村の指定事業者による地域の特性を活かした介護サービスです。

地域密着型介護サービスの例は以下の通りです。

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護

・夜間対応型訪問介護

・地域密着型通所介護

・認知症対応型通所介護

・小規模多機能型居宅介護

・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

・地域密着型特定施設入居者生活介護

・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

・複合型サービス居宅介護支援(ケアプラン)

参考:厚生労働省

地域密着型介護サービスは、高齢化の進行状況に差がある大都市と町村部のどちらにおいても介護サービスが平等に行われるようになるよう整備されました。

規模は小さいですが、その分きめ細かい配慮が行われる点や、要介護該当者となっても住み慣れた地域で生活できるのは利用者にとって負担がすくないでしょう。

対象者は要介護認定を受けていて、サービス事業所と同じ市町村に住んでいる方となります。

まとめ

要支援や要介護は、誰にでも起こり得る可能性がある状態であることは否めません。

そんな時でも、介護保険で賄えるそれぞれのサービス内容を覚えておけば、自分や家族が該当者となった時に安心です。

ぜひご紹介した情報を活用し、サービス選択などの参考にしてください。