ケアマネジャーは介護支援専門員とも呼ばれており、今後高齢化が進む日本において、ケアマネジャーの存在はますます重要視されています。
ケアマネジャーは、要介護者や要支援者からの相談に応じて、適切な介護サービスを利用できるようにケアプランを作成し、各事業所との連絡調整をおこなうことが主な業務内容です。
そんなケアマネジャーの資格を取得するためには、国家資格に基づく業務経験や施設での相談援助業務の経験が必要なだけでなく、厳しい試験に合格する必要があります。
今回は、実際にケアマネジャー試験を受けるにあたって、合格率・受験資格・合格基準・試験対策のポイントなどを紹介します。
ケアマネジャーとしての道を目指す方にとって、資格取得への助けになれば幸いです。ぜひ、最後までお読みください。
なお、ケアマネジャー(介護支援専門員)の概要や仕事内容については以下の記事で解説をおこなっています。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?仕事内容や資格取得の流れ、受験資格などを詳しく解説
目次
過去5年分における、ケアマネジャー試験の合格率・合格基準点の推移は下記のとおりです。
受験者数 | 合格率 | 合格基準 | |
第26回 | 56,494人 | 21.0% | 41点 |
第25回 | 54,406 人 | 19.0 % | 44点 |
第24回 | 54,290 人 | 23.3 % | 39点 |
第23回 | 46,415 人 | 17.7 % | 35点 |
第22回 | 41,049 人 | 19.5% | 41点 |
ケアマネジャーの試験は、何点以上取れば合格という試験ではありません。
上記の試験科目から、介護支援分野・保健医療福祉サービス分野の両分野で、70%程度の正答率が合格基準点が必要なため、保健医療福祉サービス分野で合格基準点に達していても、介護支援分野で合格基準点に達していなければ不合格です。
この合格基準点は試験の難易度によって調整され毎年変動しますが、一般的には60〜70%程度が合格基準点となっています。
ケアマネジャーは誰でも受験資格があるわけではなく、下記の条件に該当しておく必要があります。
1つ目の条件は、下記の指定された国家資格を保有し、それらの国家資格に基づく実務経験が通算5年以上、従事した日数が900日以上である必要があります。
なお、指定された国家資格は下記のとおりです。
【指定資格】
医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科医師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士
ただし、対象となる国家資格を保有していても、営業職や事務職などに所属しており、対人援助の業務に従事していない期間は実務経験に含まれません。
実務経験はあくまで受験資格に基づく業務である必要があります。
2つ目の条件として、施設などの相談援助業務に通算5年以上従事している必要があります。
なお、施設や相談援助業務は下記です。
介護福祉士2年、生活相談員3年などのように、複数の受験資格対象業務を経験している場合は、実務経験年数の合算が認められています。
ケアマネジャーの例年の試験スケジュールは下記のように進行しています。
時期 | スケジュール |
5月下旬~6月下旬 |
都道府県によって期間の差はあるものの、一般的に6月初旬頃から試験案内の公表がおこなわれます。 |
6月下旬~7月下旬 |
試験案内を取り寄せて、申し込みをおこないます。その際、申込期間は2週間程度と短くなったいるため、注意が必要です。 |
9月中旬~10月上旬 |
申し込み後に受験資格の確認がおこなわれ、受験票が到着します。 |
10月中旬~下旬 |
受験勉強をおこない、試験当日を迎えます。 |
ケアマネジャー試験の試験科目は下記のように構成されています。
分野 | 内容 | 問題数 |
介護支援分野 |
| 25問 |
保健医療福祉サービス分野 |
| 35問 |
*配点:1問1点 | 合計:60問 |
ケアマネジャーを取得するためには、大きく下記の2つの方法があります。
ケアマネジャーの過去5年分の合格率をみると約20%となっており、福祉系の試験でも非常に難易度の高い試験であることがわかるはずです。
そのため、ケアマネジャー試験対策講座を受ける必要があると思うかもしれませんが、なるべく早くからしっかりとした学習を始めれば、独学でも十分合格が可能です。
もちろん、ケアマネジャー試験対策講座を受講すると、専門の職員から授業を聞けたり、分かりやすいテキストが使用されるなどのメリットもありますが、それと同時に通学するための時間の確保や、受講料などの金額面の負担がかかるなどのデメリットがあります。
しかし、独学であれば、自分の時間に縛られることなく勉強することができるだけでなく、費用も参考書・過去問題集など必要最小限の金額に抑えられます。
ケアマネジャー受験対策講座としては、通信講座・予備校などの手段です。
通信講座は、講義動画やウェブテストなどの内容をスマホやパソコンで学べるため、独学と同じように、自由な時間に学習できます。また、苦手な分野は繰り返し学習できるため知識を着実に身に付けることができるメリットもあります。
ケアマネジャーに合格するための勉強時間の目安は、100時間〜200時間ともいわれています。
この時間の差は、保有資格によって未経験分野があり、それらの内容を基本的な内容から覚えていく必要があるためです。
そのため勉強時間の目安は100時間として考えずに、200時間程度は必要であると理解し、比較的ゆとりを持って勉強時間を確保しましょう。
ケアマネジャーは、要介護者や要支援者の心身の状況に応じた適切なサービスを調整し、利用者が自立した日常生活を営むための支援を行う重要な役割を担っており、高齢化が進む日本においてその需要はますます高まっています。
ケアマネジャーの資格を取得するためには、国家資格に基づく実務経験や施設での相談援助業務の経験が必要なだけでなく、試験に合格する必要がありますが、簡単な試験ではないため学習時間の目安も100時間~200時間程度が必要です。
しかし、ケアマネジャーを取得することで、利用者の生活の質を向上させ、事業者との連携をスムーズに行うための橋渡し役として活躍でき、利用者が今まで以上に安心して生活できる環境を提供することにつながります。
ぜひ、今回の記事をきっかけに、ケアマネジャーの取得を1度ご検討ください。