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機能訓練指導員とは

機能訓練指導員の仕事内容は?資格要件と職種の特徴について解説

2024-02-22

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護施設には、必ず機能訓練指導員が配置されています。求人で見かけることも多く、機能訓練指導員の仕事内容や特徴について気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事では、機能訓練指導員として働くために必要な資格や働ける施設の種類について解説します。この記事を読むことで、機能訓練指導員の収入や将来性について知ることが可能です。

機能訓練指導員とは?

機能訓練指導員は、介護保険法に基づいて、利用者が自立した生活を送るための機能訓練を提供する専門職です。理学療法士や作業療法士などの専門職が担う役職の名称なので「機能訓練指導員」という資格はありません。

デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護施設では、1人以上の機能訓練指導員を配置する必要があります。事業所運営においても重要なポジションなので、多くの介護施設が必要としている人材のひとつです。

機能訓練指導員の仕事内容とは?

機能訓練指導員の仕事内容は機能訓練を実施するだけではありません。主な仕事内容として、機能訓練計画の作成、機能訓練の実施、現場の介護業務などがあげられます。ここでは、機能訓練指導員の仕事内容について解説します。

機能訓練計画の作成

機能訓練指導員の仕事内容として、最初に実施すべき業務は機能訓練計画書の作成です。機能訓練計画書とは、利用者ごとに目標を設定し、目標の達成に向けた機能訓練を計画するための書類です。

まずは、利用者の状況を把握するため、利用者の心身機能、日常生活動作、社会活動などを評価します。評価の結果に基づいて、長期目標と短期目標を設定し、具体的な訓練計画を作成していきます。機能訓練計画を作成する際には、利用者本人や家族の意向も考慮しながら、必要な訓練内容を作成することが重要です。

作成した個別機能訓練計画書は、利用者へ内容を説明し、訓練内容について同意を得る必要があるため注意しましょう。

機能訓練の実施

機能訓練指導員は、利用者に対して機能訓練計画書に基づいた機能訓練を実施します。ただ、決められた訓練メニューを実施するだけでなく、利用者の体調やその日の状況に注意しながら訓練を実施しなければいけません。そのため、機能訓練に関する専門的な知識とスキルが必要とされます。

また、訓練内容や利用者の反応などを記録し、必要に応じて計画内容の修正を実施する必要があります。例えば、自宅での歩行自立を目標に訓練していた方が、病態の悪化やケガによって一時的に身体機能が低下してしまう場合もあるでしょう。その際には、利用者の状態に応じて、機能訓練計画書の内容を修正する必要があります。

機能訓練計画に沿った訓練を実施しつつ、必要に応じて計画の内容を見直す必要があることも理解しておきましょう。

介護現場の業務

機能訓練指導員は、その他の職務と兼任することも可能です。特に、個別機能訓練指導員を担当しながら、介護職員として働く職員は多いでしょう。

介護職員と兼務して働く場合、機能訓練指導員として利用者の訓練を実施しつつ、介護現場の業務も遂行する必要があります。介護業務の中でレクリエーションや入浴介助等を行う場合もあるでしょう。また、看護師が機能訓練指導員も兼務できるため、看護業務を遂行しつつ利用者の機能訓練を行う場合もあります。

担当者会議等への参加

介護施設の機能訓練指導員は、担当者会議への参加を求められる場合もあります。

担当者会議とは、定期的に要介護者が利用する介護施設の代表者が集まり、利用者の支援方針について話し合う会議のことです。各施設の相談員などが担当者会議に出席する場合が多いのですが、利用者の心身機能について話し合う場合、施設の機能訓練指導員からの意見が求められる場合もあります。

機能訓練指導員は、担当者会議へ参加し、利用者の自立支援に対して意見交換をすることも重要な業務のひとつです。

機能訓練指導員になるための条件

機能訓練指導員として働くためには、介護保険法で指定された資格を保有している必要があります。ここでは、機能訓練指導員として働くために必要な資格と、条件について解説します。

機能訓練指導員に必要な7つの資格

機能訓練指導員として働くためには、機能訓練に関する専門的な知識を持っている必要があります。そのため、機能訓練指導員になるためには、以下に紹介する7つの資格のうちいずれかを保有していなければいけません。

1.理学療法士

理学療法士は、身体的な障がいにより運動機能が低下した高齢者に対する運動療法や日常生活動作訓練を提供するリハビリ専門職です。機能障がいや能力障がいを改善し、利用者が自立した生活を送るための支援を行います。

2.作業療法士

作業療法士は、日常生活に関わる作業を通じて、基本的な動作能力や運動機能、社会適応能力を改善する支援を行うリハビリ専門職です。作業療法士は、心身機能だけでなく認知機能や精神機能へのアプローチも行います。

3.言語聴覚士

言語聴覚士は、言語や聴覚に関する問題を持つ人々に対し、言語機能の回復や障がいの軽減を目的とした訓練を実施するリハビリ専門職です。主に、コミュニケーションや嚥下障がいに対する支援を行います。

4.看護師・准看護師

看護師と准看護師は、健康上の問題を抱える人々を支援し、医療の提供や診療の補助を行っています。機能訓練指導員として働く看護職員は、医療に関する専門知識を活かして、利用者に必要な訓練を行います。

5.柔道整復師

柔道整復師は、急性のケガや痛みに対して、独自の手技を用いて治療する専門職です。機能訓練指導員として働く柔道整復師は、手技や物理療法、運動療法を組み合わせて利用者の特性に応じた訓練を行います。

6.あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師は、触診を通じて症状を確認し、独自の手技を使って治療を行います。独自の手技には様々な種類があり、症状に応じて治療法を調整します。

7.はり師・きゅう師

はり師・きゅう師は、東洋医学で伝統的な鍼灸治療を提供します。通常は、経穴に鍼を刺したり、灸をあてたりして症状を改善しますが、介護サービス利用中の施術はできません。そのため、介護施設の機能訓練指導員として働く場合は、専門知識を活かした機能訓練が中心となります。

はり師・きゅう師は実務経験が必要

機能訓練指導員に求められる7つの資格のうち、はり師・きゅう師だけは実務経験の条件があります。

条件の内容は「鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設で半年以上の実務経験を積んでいること」です。この条件を満たすには、従事していた事業所から書類を受け取る必要があるため注意しましょう。

機能訓練指導員が働く職場

機能訓練指導員が働く職場として代表的な施設として、デイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホーム、介護型ケアハウスがあげられます。各施設の特徴が異なるため、同じ機能訓練指導員でも施設ごとに求められる役割が異なります。ここでは、機能訓練指導員が働く職場を紹介しつつ、各施設ごとで求められる役割について解説します。

デイサービス(通所介護)

デイサービスとは、自宅で生活する利用者の日常生活において、日中の支援を主に提供する通所施設です。デイサービスを運営するためには、機能訓練指導員を1名以上配置する必要があります。そのため、全国のデイサービスには必ず機能訓練指導員が常駐しています。

デイサービスでは、在宅生活を送る方へ機能訓練を提供しなければいけないため、利用中の心身機能だけでなく、在宅における日常生活動作も考慮して機能訓練メニューを考える必要があります。

ショートステイ(短期入所生活介護)

ショートステイとは、在宅生活を送る利用者が一時的に宿泊して介護サービスを受けられる施設です。

ショートステイを運営するためには、1名以上の機能訓練指導員の配置が必要です。ショートステイを利用する利用者は、他施設を併用している場合が多いため、他施設での訓練内容等を踏まえた機能訓練が求められます。ほかの施設と異なる点として、より関連施設との密な連携が求められることを理解しておきましょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームとは、入浴、排泄、食事などの介護、その他の日常生活の世話や機能訓練などを行う入所施設です。特別養護老人ホームを運営するためには、必ず機能訓練指導員を配置する必要があります。

特別養護老人ホームは、自宅で生活できなくなった方が多く利用しています。そのため、特別養護老人ホームに勤務する機能訓練指導員は、可能な限り在宅復帰を目指しつつ、残存している能力を維持するための訓練を行うことが重要です。

介護型ケアハウス

ケアハウスとは、60歳以上の高齢者が低料金で食事や洗濯などの介護サービスを受けられる福祉施設です。

ケアハウスには一般型と介護型があり、一般型のケアハウスには機能訓練指導員の配置義務がありませんが、介護型には機能訓練指導員の配置が義務付けられています。

ケアハウスは、在宅での生活が困難になった方が暮らす新たな住居でもあります。施設が生活の中心となっているため、ケアハウス内で生活リズムに注目して機能訓練を提供することが重要です。

機能訓練指導員の年収

機能訓練指導員の年収は、厚生労働省の資料「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」で公開されています。この資料によると、令和4年9月時点の機能訓練指導員の平均給与額は、常勤者が354,770円、非常勤者が237,260円でした。令和3年12月時点の平均給与額と比較すると、常勤者で11,810円、非常勤者で15,060円低くなっています。

同年の介護職員と比較すると平均給与は高く設定されていますが、1年間で1万円以上も下がっているため、今後の動向には注意しておきましょう。

機能訓練指導員に将来性はある?

現在、日本は団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年問題の解決に向けて、限られた資源をどのように活かすのかが問われています。高齢者は増加し、介護人材が不足する未来がすぐそこまできているといえるでしょう。

そのような問題を解決するためには、高齢者ができるだけ介護サービスを使わずに元気でいることも重要です。

そこで、各介護施設での自立支援サービスを強化する必要性が高まっています。介護施設 の自立支援サービスの中心となる機能訓練指導員は、今後も需要が拡大していく可能性は高いでしょう。

機能訓練指導員の配置で算定できる加算

以下で紹介する加算率や算定要件は、2024年4月1日施行予定の介護報酬改定による変更点を反映したものになります。
現行の算定要件と異なる場合がございますのでご注意ください。
また2024年の介護報酬改定に伴う変更点は赤字で記載を行っています。

事業所運営を安定させるために、取得できる加算は積極的に取得するとよいでしょう。機能訓練を実施することで算定できる加算は以下のとおりです。

施設加算
デイサービス個別機能訓練加算(Ⅰ)イ:56単位/日
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ:76単位/
個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/月
入浴介助加算(Ⅱ):55単位/月
特別養護老人ホーム個別機能訓練加算(Ⅰ):12単位/日
個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/月
個別機能訓練加算(Ⅲ) 20単位/月
ショートステイ個別機能訓練加算(Ⅰ):56単位/日


なお個別機能訓練加算については以下の記事もあわせて参考にしてください。

関連記事

通所介護における個別機能訓練加算とは?取得後の運用方法と注意点もご紹介します!

参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
   厚生労働省「社会保障審議会 介護給付費分科会(第239回) 参考資料1 令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

まとめ:資格保有者は機能訓練指導員としての就職に有利

機能訓練指導員は、介護施設の利用者が自立した日常生活を送れるように機能訓練を実施する役職です。機能訓練指導員という資格があるのではなく、要件を満たした専門職を機能訓練指導員として配置できます。

機能訓練指導員として働くためには、特定の資格を保有していなければいけないため注意しましょう。また、はり師・きゅう師の資格保有者が機能訓練指導員として働く場合、実務経験が問われる点には注意が必要です。デイサービスなどの介護施設では、機能訓練指導員の配置が必須条件となっているため、多くの介護事業所において機能訓練指導員は重要な役割を持っています。

今後、高齢者が増加し、介護人材が不足する日本において、いかに介護施設で質の高い自立支援を行えるかが重要になります。そのため、機能訓練指導員の需要は今後ますます拡大していくでしょう。

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