本記事では、
・返還請求される事業所にありがちな2つのパターン
・実際にあった返還事例
・返還請求されないようにするための心構え
について解説します。
目次
実地指導で返還請求される事業所の多くは、指摘された事項に対し、以下の2つのどちらかであることが多いです。
1:やらなくてはいけない事を知っているが、時間がなくて出来なかった
2:やらなくてはいけない事を知らなかった
要するに、悪意があったわけではなく、実施すべき事項を何かしらの理由で実施できていなかったのです。
特に、『やらなくてはいけないことを知らなかった』という管理者やサービス提供責任者の多くは
・もっと早く教えてほしかった
・もっとはやく知っていればお金を返さずに済んだ
とおっしゃいます。
そして自分が知らなかったこと、知っていたけど時間が無くて出来なかった、やらなかったことで発生した返すお金の数百万というその額に、責任を感じて肩を落とされています。
少なくとも『やらなくてはいけないことを知らなかった』ということのないように、事前知識を網羅しましょう。
20名の非常勤ヘルパーの内、1名のヘルパーが健康診断を受けていなかった
非常勤を含む全ヘルパーに健康診断を年1回(365日)以上受けさせることが加算の算定要件です。1名でも受けていなければ、その月からの分算定することは出来ません。
また、健康診断は労働基準法に準じて実施する必要があるため、夜勤を行っている場合は年に2回実施している必要があります。
定期健康診断の実施
※当該指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施すること。
13名のヘルパーの内、非常勤1名の参加が確認できなかった。
非常勤を含む全ヘルパーは、月に1回以上会議に参加しなければいけません。参加が確認できなければ、その月からの分算定することは出来ません。
会議の定期的開催
※利用者に関する情報もしくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催。(テレビ電話等のICTの活用も可能)
その他、多いのは毎回の指示報告のやり取りが出来ていないケースでも多額の返還を生みます。
各サービスに対して『毎回』実施している必要があり、1回でも出来ていなければ『返還』になり得ますので、注意しましょう。
返還をうまないためには、下記2点を確実に実施する必要があります。
①出来ていることと出来ていないを1つずつ管理する
②1つずつ確実に実施する
当たり前のことの様ですが、実際のところ、特定事業所加算の取得をしている事業所の管理者の方で、自信をもってこの2つが出来ていると答えれる方は多くありません。
この2つを書面等第三者に明示出来る状態をもってはじめて『返還がない』という状態になります。
実地指導は、指摘を受けて、数百万円〜数千万円の返還を求められた例がありますので、甘くみてはいけません。
『知らなかった』では済まされず、問答無用で返還を求められますので、介護事業の運営には細心の注意を払いましょう。