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【2024年介護報酬改定】訪問介護の基本報酬が引き下げへ!事業所が取るべき対応は?

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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2024年1月22日におこなわれた第239回社会保障審議会・介護給付費分科会にて、令和6年度の介護報酬改定に関する事項が明らかになりました。

さまざまな変更点があるなか、とくに注目を集めたのは訪問介護サービスにおける基本報酬が引き下げになるという点です。訪問介護の介護報酬改定は、2024年4月1日から適用となりますが、どの程度引き下げとなってしまうのか、そのほかにはどのような変更点があるのか不安になってしまう方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、2024年度の介護報酬改定における訪問介護サービスの基本報酬引き下げについて詳しく解説します。引き下げがおこなわれた理由や、介護報酬改定に向けて訪問介護事業所が取るべき対応についても紹介するのでぜひ参考にしてください。

訪問介護の基本報酬が引き下げへ。新たな単位数は?

2024年4月1日から訪問介護サービスにおける基本報酬は以下のように変更される予定で案が出ています。単位数の減少率は2~3%程度と非常に高く、訪問介護事業者には大きな影響があると考えられます。

【身体介護】

区分現行の単位数
(単位)
改定後の単位数
(単位)
減少率
(%)
20分未満1671632.4
20分以上30分未満2502442.4
30分以上1時間未満3963872.3
1時間以上1.5時間未満5795672.1
以降30分を増すごとに算定84822.4

【生活援助】

区分現行の単位数
(単位)
改定後の単位数
(単位)
減少率
(%)
20分以上45分未満1831792.2
45分以上2252202.2
身体介護に引き続き
生活援助をおこなった場合
67653.0

【通院等乗降介助】

区分現行の単位数
(単位)
改定後の単位数
(単位)
減少率
(%)
片道99972.0
※単位数はすべて1回あたりのもの

訪問介護の基本報酬が引き下げられた理由は?

社会保障審議会・介護給付費分科会では、訪問介護の基本報酬引き下げはさまざまな要素を考慮したうえで決定したとされていますが、そのなかでも以下の2点が決め手になったと説明されています。以下では、訪問介護サービスの基本報酬が引き下げられた2つの理由について詳しく解説します。

近年の訪問介護の利益率が、全サービスの平均を大きく上回っていた

訪問介護サービスの基本報酬が引き下げられた理由のひとつは、近年の訪問介護サービスの利益率が、全介護サービスの平均を大きく上回っていたことがあげられます。

厚生労働省が公表している「令和5年度介護事業経営実態調査結果」によると、2022年度決算において訪問介護サービスの利益率は7.8%でした。この利益率は、全介護サービスの利益率の平均が2.4%だったことを踏まえると、高水準な数値であったことがわかります。

このようなデータから、訪問介護サービスの利益率は比較的高いと判断されたことにより、訪問介護サービスの基本報酬は引き下げられることとなったと考えられます。

介護職員以外の職種の処遇改善が優先された

訪問介護の基本報酬が引き下げられた理由のもうひとつは、介護職員以外の職種の処遇改善についても実現する必要があることがあげられます。

2024年度の介護報酬改定では、介護報酬を全体で1.59%引き上げ、うち0.98%を介護職員の賃上げに、残り0.61%を各サービスの基本報酬に振り分けることで介護職員以外の職種の処遇改善をおこなう方針が検討されています。

このような背景から、介護職員以外の職種が少ない訪問介護サービスは基本報酬が引き下げとなる方針になったと考えられます。

訪問介護事業所が介護報酬改定に向けておこなうべきことは?

訪問介護サービスにおいて厳しい状況となることが予想される2024年度の介護報酬改定。ではこの状況に立ち向かうために訪問介護事業者は何をしていくべきなのでしょうか?以下では、訪問介護事業所が2024年の介護報酬改定に向けておこなうべきことを紹介します。

新たに一本化される介護職員等処遇改善加算の取得を目指す

2024年の介護報酬改定では、処遇改善加算・ベースアップ等支援加算・特定処遇改善加算の3つが一本化され、新たな介護職員等処遇改善加算が創設されます。

これまでは、ベースアップ等支援加算・特定処遇改善加算を取得するために処遇改善加算の取得が必要であったため、一部の要件を満たしていても思うように加算が取得できないことがありましたが、今回の一本化により算定要件が見直され、加算の取得がおこないやすくなることが期待されます。

また、これまでは処遇改善加算(Ⅰ)・ベースアップ等支援加算・特定処遇改善加算(Ⅰ)を取得した最大の場合で合計22.4%の加算でしたが、一本化された介護職員等処遇改善加算では最大24.5%の加算が可能であり、加算率の面でも大きな拡充がなされています。
(※加算率は訪問介護サービスの場合)

このように介護職員等処遇改善加算の取得を目指すことで、介護報酬の改善が期待できるでしょう。
なお、処遇改善加算の一本化については以下の記事で詳しく解説しているのであわせて参考にしてください。

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【2024年改定対応】介護職員処遇改善加算とは?改定の影響や改定後の算定要件をわかりやすく解説!

特定事業所加算など未取得の加算の取得を目指す

訪問介護事業所では以下をはじめとした加算の取得が可能です。これらのうち、未取得の加算の取得を目指すことで介護報酬の改善が期待できるでしょう。

【訪問介護事業所で取得できる加算の例】

  • 処遇改善加算
  • ベースアップ等支援加算
  • 特定処遇改善加算
  • 特定事業所加算
  • 初回加算
  • 緊急時訪問介護加算
  • 生活機能向上連携加算
  • 特別地域加算
  • 中山間地域等における小規模事業所加算
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
  • 認知症専門ケア加算

このなかでも特定事業所加算は2024年の介護報酬改定で算定要件の見直しがおこなわれる予定で、中山間地域などでのサービス提供をおこなっている事業所を評価するために加算区分が新設される見込みです。

まとめ|介護報酬改定に向けた早めの動き出しが必要です

2024年の介護報酬改定にて、訪問介護サービスの基本報酬は大きな引き下げが予想されています。このような状況で今後も現在と同等の利益を確保するためには、新設される処遇改善加算や今まで未取得だった加算の取得が大切になります。

本記事を参考に、介護報酬改定に向けて今からおこなえる準備を少しずつはじめていくようにしましょう。

お役立ち資料:介護報酬改定に備えたい方に

介護事業所向けに2024年の介護報酬改定に関する情報をまとめました。
2024年の介護報酬改定に向けて、事前に準備をしておきたいという方は、ぜひご一読ください。
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