この記事では、高収入の介護従事者について、給与額の表示される金額のからくりについてご紹介いたしました。
かねてから人材不足が叫ばれる介護従事者ですが、この人材不足の原因の1つに長らく低賃金があげられてきました。
介護業界外の方からすると、未だに介護のイメージは『3K』と言われることも少なくありません。
ところが、厚労省が昨年10月に発表した介護従事者の処遇調査によると、「特定処遇改善加算」を取っている事業所の介護職員の平均給与は32万5,550円です。
介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得している施設・事業所における介護職員(常勤の者)の平均給与額については、平成31年と令和2年を比較すると1万8,120円増額しています。
また、介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得している施設・事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士(常勤の者)の平均給与額については、平成31年と令和2年を比較すると2万740円も増額となっており、給与額平均は36万6,900円で、この平均額は主任ケアマネよりも高くなっています。
発表された平均給与額だけを見ると、決して他の業界と比べても『低賃金』という事でもない様に思えますが、この発表のポイントは『特定処遇改善加算を取得している事業所の平均給与額に限っては、低賃金ではない。』ということです。
裏を返すと『特定処遇改善加算の取得をしていない事業所は低賃金のままである。』という事になります。
さらに、特定処遇改善加算の上位区分を算定するには『特定事業所加算』の取得がポイントです。
この事から、平均給与額をあげるには『特定事業所加算』『特定処遇改善加算』の2つの算定を行う必要があるということです。
◆厚労省発:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
介護職員特定処遇改善加算とは、令和元年10月の介護報酬改定で、介護職員の確保・定着につなげていくため、処遇改善加算に加え特定加算を創設し、経験・技能のある介護職員に重点化しつつ、介護職員の処遇改善するために、一定程度他の職種の処遇改善・賃金改善も行えるよう認めた加算・賃金改善の制度です。
加算新設当初は、「10年以上の介護福祉士に月8万円の手当てがつく!」と話題になりましたが、どのような職員に手当てを分配するかは各事業者である程度柔軟に設定可能となっています。
サービス別の基本サービス費に各種加算減算を加えた1月当たりの総単位数にサービスごとに設定された加算率を掛け合わせて単位数を算定します。
また、処遇改善加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外され計算されます。
指定の要件を満たし、配分ルールを設定した計画の提出を行い、支払いを計画にそって行い年度末に実績の報告を行うというものになります。
処遇改善加算の算定率が90%を超えるのに対し、この加算はまだまだ取得していない事業所が多いのが特徴です。