近年、通院したくても通院できないという高齢者が増えてきています。
重い病気や身体障害を持っている方が通院して診察を受けることは難しいです。
そこで、出てきたのが居宅療養管理指導・訪問診療というものです。
今回の記事では、居宅療養管理指導や訪問診療はどういうものなのか、
何が違うのか、併用できるのか等について解説していきます。
目次
居宅療養管理指導と訪問診療はどちらも医師が訪問してから診察をするということでは一緒ですが、大きな違いがあります。
ここでは、居宅療養管理指導と訪問診療の違いについて紹介します。
訪問診療とは、疾病、傷病で通院ができない患者に、在宅で診察して治療をする医療行為です。
訪問先は主に老人ホームや高齢の患者さんの自宅などで、医師が定期的に看護師と訪問し、その場で診療してくれます。
訪問診療で定期的に診察を受ける事で、患者の体調の悪化を予防し、症状が悪化した際はスムーズに入院できるように手続きしてもらえます。
多くの開業医や病院で訪問診療を受け付けているので、希望される方は医療機関へご相談ください。
訪問診療では、通常の通院時に行う治療の他、薬の処方や療養指導などと同等のサービスを提供しています。
そのため、訪問診療で使われる保険の種類は医療保険になり、病院で治療を受けるときに精算される保険と同じです。
訪問診療で行う内容としては、診察、血圧測定、体温測定などの健康チェック・点滴、投薬などの治療・採血、検尿などの検査・療養上の相談、指導・床ずれの処置・酸素療法、経管栄養法など・経尿道カテーテル、各種ストーマの管理、ケアなどがあります。
「通院負担を軽減」「365日24時間体制」などのメリットがあり、医療保険を使って、自宅で通常と変わらない医療を受けられるのが訪問診療なのです。
居宅療養管理指導とは、医師や看護師が患者の自宅を訪問して健康管理や指導を行う往診介護サービスのことです。
医師や薬剤師、看護婦などが、通院できないような患者に対して訪問時に療養の管理や指導を行い、患者の生活の向上をサポートします。
対象は要介護1~5に認定されている65歳以上の高齢者と、40歳から64歳でもパーキンソン病など16種類の特定疾病にかかり要介護認定を受けている人です。
居宅療養管理指導は介護保険の適用となり、1割から負担で済み、金銭的にも負担がそこまでありません。
ただし介護保険を使うためには、ケアマネージャーへの情報提供が必要です。
他にも、居宅療養管理指導を受けるには、医師の指示があって初めて受けられるサービスになります。
医師の指示により、治療上使用している機器の管理や処方している薬をどう服用すれば良いのか、副作用などについても指導が行われます。
介護保険の扱いになるため、ケアマネージャーが作成するケアプランに使う情報などを医師とケアマネージャーが共有したり、患者や患者の家族たちに対して在宅サービスや介護方法等の説明を医師が行います。
訪問診療が医療保険を使うのに対して、居宅療養管理指導の場合は介護保険が使われます。
主治医によって行われる居宅療養管理指導は、以下の通りです。
・継続的に医学的な管理
・ケアプランの作成に必要な情報提供
・利用者、その家族等に対し介護サービスの説明居宅療養管理指導と訪問診療は併用できます。
引用:厚生労働省
医師が訪問し、診察したり薬を出す際に上記の指導を行えば居宅療養管理指導となり、訪問診療と居宅療養管理指導の両方が算定されます。
ただし診療報酬改定により、同じ老人ホームなどで10人以上の患者を診察していた場合、減額になったのでご注意ください。
参考:厚生労働省
居宅療養管理指導と訪問診療について、この2つの併用について紹介してきました。ここでは、この2つの併用などについての疑問点と解決策をいくつか紹介します。
結論から言うと、居宅療養管理指導と訪問診療は併用できます。
というか、高齢者や重い病気を持っている患者の場合は、両方を併用しないと生活指導と医療による治療の両方ができないことになります。
居宅療養管理指導だけで行うと、治療が必要になった時に、病院に通院しなければいけません。
また、その逆の医療だけを行っていても、生活面の指導などができないということになります。
居宅療養管理指導と訪問診療の両方を併用することが、自宅での治療などには必要不可欠なことになるのです。
居宅療養管理指導というのは、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士などあらゆる医療関係者の診療を受けることができます。薬が必要な時は薬をもらえるようになっています。
ただし、医師の判断で行われるので、医師と十分な信頼関係あってのことになります。
薬局薬剤師が行う月に2回以上の居宅療養管理指導費を算定する場合は、算定する日の間隔は6日以上とします。
ただし、がん末期患者や中心静脈栄養を受けている患者は、週2回でなおかつ月8回に限り算定できます。
訪問診療の場合は、月に1回から4回というのが一般的な訪問医療回数になり、平均は2回となります。
厚生労働大臣が定める疾病等の患者の場合の算定可能回数は週に3回までとなっていて月に2回以上の算定は可能です。
参考:厚生労働省
結論から言いますと、訪問診療を算定した同一日に薬剤師等の居宅療養管理指導の算定はできません。
例外もあり、医療機関の薬剤師・管理栄養士が居宅療養管理指導を行った後に秒台が急変して往診が行われたときは算出できるようになっています。
参考:厚生労働省
ここまで、居宅療養管理指導と訪問診療とはどういうものなのか、メリットデメリットについて詳しく紹介してきました。
居宅療養管理指導はどういう人が受けられてどのようなサービスがあるのか、訪問診療はどういう人が受けられてどのようなサービスがあるのかについて具体的に説明してきました。
また、居宅療養管理指導と訪問診療は併用できるのか、できる場合、どういう扱いになるのかについても紹介してきました。