本記事では
令和3年10月から導入される新たなケアプラン検証の制度についてご紹介していきます。
目次
平成30年の介護報酬改定において、訪問介護における生活援助中心型サービスについては、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、通常の利用状況からかけ離れた利用回数となっているケアプランについて、市町村への届出を義務付け、そのケアプランについて、市町村が地域ケア会議の開催等により検討を行うこととされています。
生活援助中心型サービスについては、利用者において様々な事情を抱える場合もあることを踏まえて、利用者の自立支援にとって、より良いサービスとするため、介護支援専門員の視点だけではなく、多職種協働による検討を行い、必要に応じて、ケアプランの内容の再検討を促すこととなりました。
厚労省発介護保険最新情報:「多職種による自立に向けたケアプランに係る議論の手引き」についてVol.685平成30年10月9日
届出の対象となる訪問介護の種類は、生活援助中心サービスであり、届出の要否の基準となる回数は、要介護度別の全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)の回数を算出したうえで、要介護度別に最大値となる月の回数を用い、要介護状態区分に応じてそれぞれ1月あたり以下の回数とされています。
要介護1:27回
要介護2:34回
要介護3:43回
要介護4:38回
要介護5:31回
この検証導入の背景には、本当に必要なサービスが要介護者に提供されているか、利益のために不必要なサービスを提供していないか等、過剰サービスの提供を未然に防ぐという『ケアプランの適正化』が隠れています。
定められた回数を超えて提供が必要なサービスは、ケアマネージャーが行政に届出を行い『本当に必要か』を多職種が集まる『地域ケア会議』で検証することが義務付けられていますから、ケアマネージャーの多くは『回数を超えない様にケアプランを作る』『超えた分は障がいやホームヘルプサービス』で補う等、届出をしなくて済む工夫を行っているのが現状です。
これまでの生活援助の回数が多いケアプランの届出義務に加え、以下に該当するケアプランの届出が義務化されます。
ケアマネ事業所ごとに見て、
①区分支給限度基準額の利用割合が7割以上
かつ
②その利用サービスの6割以上が訪問介護サービス
市町村からの求めがあった場合には、当該指定居宅介護支援事業所の居宅サービス計画の利用の妥当性
を検討し、当該居宅サービス計画に訪問介護が必要な理由等を記載するとともに、当該居宅サービス計画を市町村に届け出なければならないとされています。
厚労省発:居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証について(報告)
居宅介護支援事業所が今回の条件に該当する場合には、訪問介護の必要性を検討し、その結果必要性がなければ8月、9月頃からサービスを減らしていくことを考えることになります。
この事から、特にサ高住等では大幅に売り上げが下がることが想定されます。
今回の条件に当てはまるケースは3%とされており、決してこの条件に当てはまることが悪いわけではないと言われていますが、事実上この条件に当てはまるケアプランを作り続けることは出来なくなります。
平成30年から大きく言われている『ケアプランの適正化』では、介護給付費を適正に使う事が求められています。
過剰なサービスを位置付けて売り上げをあげていくことは、もう出来ません。
適正な提供量で、質の高いサービスを提供していくことが出来なければ、訪問介護事業で売り上げを立てていくことは困難を極めます。
8月、9月中にはその体制を整えることが訪問介護には求められています。