この記事では、特定処遇改善加算の最新の算定率についてと、特定処遇改善加算を有効取得するための方法についてご紹介していきます。
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特定処遇改善加算の開始からこれまでの算定率は、2020年3月サービス提供分で59.4%と2月より0.2%高く、昨年10月の導入から上昇してきていたものの、算定率は伸び悩んでいます。
事業種別ごとでの算定率は、訪問介護は47.3%、地域密着型通所介護は33.2%、特養は84.9%、老健は75.0%、特定施設は76.6%、通所介護は59.0%。施設系が高く、在宅系が低い傾向となっています。
◇第186回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
2019年10月からスタートした『特定処遇改善加算』は、消費税率が8%から10%に引き上げられたことに伴い、この財源の一部を、リーダー格の介護職員の処遇改善に充てることを目的に創設された加算です。
職場内で最低一人、リーダー格の勤続10年以上の介護福祉士の賃金を月8万円上げるか、年収を440万円以上にするというもので、この新しくできた加算を「特定処遇改善加算(介護職員等特定処遇改善加算)」といいます。
特定事業所加算ⅠまたはⅡを取得していれば、最も高い加算Ⅰの算定が可能です。
訪問介護 加算Ⅰ:6.3% 加算Ⅱ4.2%
介護職員の賃金は、全産業の平均と比較して10万円ほど低く、介護職員の離職率の高さも改善課題とされてきました。
これまでも介護職員の職場定着のための取り組みとして、介護職員処遇改善加算等が設定されていますが、更なる定着率の向上を目指して、特に現場でリーダー的な役割を担う介護職員の賃金を全産業の平均年収440万円へ引き上げることを目的としています。
厚生労働省は、職員を3区分に分けて、それぞれ最低限の処遇改善ラインを決めています。
1)経験・技能のある介護職員:勤続年数10年以上の介護福祉士
→次の2項目を満たすように賃金を引き上げる
2)その他の介護職員対象:「経験・技能のある介護職員」以外の介護職員
→平均の引き上げ幅が「その他の職員の引き上げ幅の2倍」以上となるように、賃金を引き上げる
3)その他の職種対象:「経験・技能のある介護職員」「その他の介護職員」以外の全職員
→改善後の賃金額が「役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)」を超えない場合に、処遇改善を可能とする
先に述べた通り、特定処遇改善加算ⅠとⅡの違いは、別途用意されている特定事業所加算等の質が高いと第三者判断できる加算の取得が有るか、ないかです。
特定事業所加算とは、サービスの質の高い事業所を積極的に評価する観点から、人材の質の確保やヘルパーの活動環境の整備等を行っている事業所に加算がされる制度です。
創設当初は、他よりも金額が高いと懸念されていましたが、現在では大手を中心に取得しており、その取得率は40%に届きます。
働く求職者も特定事業所加算を取得している事業所は給与が高いという認識が広まっており、応募する際の指標になっているほどです。
【加算率】実績の総単位数+加算Ⅰ…20%、加算Ⅱ・Ⅲ…10%、加算Ⅳ…5%
2020年8月19日に法改正に向けてまとめられた議論の論点は、訪問介護は、有効求人倍率が高い・人手不足感が強い状況にあることを踏まえ、以下の通りとされました。
1.の訪問介護員等の処遇改善に向けた取組をより一層推進する観点の中には、『特定事業所加算の取得』『特定処遇改善加算の取得』が避けて通れず『特定事業所加算が区分支給限度基準額の管理対象となっていることが、弊害となっていると考えており、その一部の見直しをお願いしたい』ということが第115回・第116回社会保障審議会介護給付費分科会議事録に残されています。